110Q225|第110回 薬剤師国家試験 過去問
55 歳女性。身長162 cm、体重51 kg。腹痛と微熱が続くため総合病院内科 を受診した。来院時の体温37.6 ℃。血液検査で炎症所見、及び左下腹部に圧痛を ともなう腫瘤が認められたため精査目的で入院となり、直腸がんStage Ⅳb と診断 された。コンパニオン診断が実施され、その結果をもとにmFOLFOX6 (レボホ リナート、フルオロウラシル、オキサリプラチン)にセツキシマブを組合せた治療 を実施する方針となった。 前問で参照された検査項目で確かめられたのはどれか。1つ選べ。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
RASは細胞増殖シグナルを担うがん原遺伝子です。抗EGFR抗体を使うには、活性化変異が存在しない野生型であることが必要です。
解説
KRAS・NRASは正常細胞でも増殖シグナルを伝える低分子量GTP結合タンパク質をコードするがん原遺伝子です。活性化変異が起こるとRASが恒常的に作動し、上流のEGFRをセツキシマブで遮断してもシグナルが止まりません。したがって前問の検査では、特定のがん原遺伝子であるRASに変異が存在しない、すなわちRAS野生型であることを確かめました。遺伝子そのものの存在を調べる検査ではなく、がん抑制遺伝子変異、薬物代謝酵素の一塩基多型、染色体転座を調べるものでもありません。
選択肢の確認
1.特定のがん遺伝子が存在すること。:RAS遺伝子の有無ではなく変異の有無を調べます。
2.特定のがん抑制遺伝子に変異が存在すること。:RASはがん抑制遺伝子ではなくがん原遺伝子です。
3.特定のがん原遺伝子 (注)に変異が存在しないこと。:正答。RAS野生型を確認します。
4.特定の薬物代謝酵素遺伝子の一塩基多型のタイプが存在すること。:UGT1A1などの検査とは異なります。
5.転座した異常染色体が存在すること。 (注)がん原遺伝子:原がん遺伝子ともいう:ALK融合などの検査とは異なります。
覚えるポイント
RAS=がん原遺伝子。抗EGFR抗体の適応は「変異なし=野生型」で判断します。