76AM74第76回 診療放射線技師国家試験 過去問

理工学・放射線科学放射線の細胞に対する作用物理学的過程

LET で正しいのはどれか。

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

この問題では、**LET〈linear energy transfer:線エネルギー付与〉**の定義が問われています。

LET は、荷電粒子が物質中を進むとき、飛跡の単位長さあたりに局所的に物質へ付与するエネルギーを表します。

単位は一般に keV/µm などのエネルギー毎長さで表されます。

解説

LET は、放射線生物学で非常に重要な量です。

同じ吸収線量でも、LET が高い放射線ほど飛跡に沿って密にエネルギーを付与します。そのため、DNA 二重鎖切断などの修復困難な損傷を生じやすく、生物効果が強くなります。

代表的には、次のように整理できます。

  • 低 LET 放射線:X 線、γ 線、電子線
  • 高 LET 放射線:α 線、重粒子線、中性子線により生じる反跳粒子など

LET には、二次電子のエネルギーをどこまで局所付与として含めるかという考え方があります。

このとき設定するエネルギーの上限を カットオフエネルギーといいます。

カットオフエネルギーを無限大にすると、すべての衝突損失を含めることになります。この場合の LET は、線衝突阻止能と同義になります。

したがって、正しいのは カットオフエネルギーが無限大のとき線衝突阻止能と同義であるです。

ひっかけポイント
LET は「単位質量あたりのエネルギー」ではなく、単位長さあたりのエネルギー付与です。
吸収線量が同じでも、エネルギーの空間分布が違えば LET は異なります。

選択肢の確認

1.誤り。
LET の単位は m-1 ではありません。エネルギーを長さで割った量なので、代表的には keV/µm や J/m などで表されます。

2.誤り。
LET は荷電粒子の電荷の 2 乗に反比例するのではなく、おおまかには電荷の 2 乗に比例します。電荷が大きい粒子ほど、物質に密にエネルギーを付与しやすくなります。

3.誤り。
LET は荷電粒子の運動エネルギーに単純に比例するわけではありません。一般に、同じ粒子では速度が遅くなるほど LET は大きくなりやすく、飛程終端付近で高くなります。

4.正しい。
カットオフエネルギーが無限大のとき、すべての衝突損失を含めるため、LET は線衝突阻止能と同義になります。

5.誤り。
単位質量当たりに付与する全エネルギーが同じ、つまり吸収線量が同じでも、LET が同じとは限りません。低 LET 放射線と高 LET 放射線では、同じ線量でもエネルギー付与の密度が異なります。

覚えるポイント

  • LET は 単位長さあたりのエネルギー付与です。
  • LET の単位は keV/µm などです。
  • 高 LET 放射線は、飛跡に沿って密にエネルギーを付与します。
  • カットオフエネルギーが無限大の LET は 線衝突阻止能と同義です。
  • 同じ吸収線量でも、LET が異なれば生物効果は異なります。

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