77AM62|第77回 診療放射線技師国家試験 過去問
重荷電粒子の質量衝突阻止能で正しいのはどれか。
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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
この問題では、重荷電粒子の質量衝突阻止能の依存性が問われています。
重荷電粒子の衝突阻止能は、主に物質中の電子とのクーロン相互作用によってエネルギーを失う過程を表します。
非相対論的な範囲では、重荷電粒子の阻止能はおおまかに 1 / v² に比例します。
速度 v が大きくなる、つまり入射粒子のエネルギーが高くなると、単位長さあたりのエネルギー損失は小さくなります。
したがって、正しいのは 入射粒子のエネルギーに反比例するです。
解説
重荷電粒子とは、陽子、α 粒子、重イオンなど、電子より質量の大きい荷電粒子を指します。
これらの粒子は、物質中を進むときに、主に軌道電子との相互作用でエネルギーを失います。
このエネルギー損失の大きさを表す量が阻止能です。
阻止能には、次のような種類があります。
- 線阻止能
- 質量阻止能
- 衝突阻止能
- 放射阻止能
重荷電粒子では、放射損失よりも衝突損失が主になります。
質量衝突阻止能は、線衝突阻止能を物質の密度で割った量です。
そのため、単純に物質の密度に反比例する量として考えるのではなく、物質の種類や電子密度、粒子の速度、粒子の電荷に依存します。
ひっかけポイント
「質量阻止能」という名前から密度に反比例すると考えたくなりますが、質量阻止能は密度で規格化した量です。
密度そのものではなく、粒子の速度やエネルギー、電荷、物質の電子密度が重要です。
Bethe の式のイメージ
重荷電粒子の衝突阻止能は、概略として次のような依存性をもちます。
- 入射粒子の電荷数 z の 2 乗 に比例する。
- 入射粒子の速度 v の 2 乗に反比例する。
- 非相対論的には、速度が大きいほど阻止能は小さくなる。
- 同じ粒子では、エネルギーが高いほど阻止能は小さくなる傾向がある。
この問題では、最も適切な選択肢として 5.入射粒子のエネルギーに反比例する。 を選びます。
選択肢の確認
1.誤り。
質量衝突阻止能は、線衝突阻止能を密度で割って規格化した量です。
物質の密度に単純に反比例すると考えるのは適切ではありません。
2.誤り。
物質の原子番号に単純に反比例するわけではありません。
阻止能は物質中の電子密度や Z/A などに関係します。
原子番号が大きいほど小さくなる、という単純な反比例ではありません。
3.誤り。
重荷電粒子の衝突阻止能は、入射粒子の質量に単純に反比例するわけではありません。
主に粒子の速度、電荷、物質の電子密度に依存します。
4.誤り。
衝突阻止能は、入射粒子の電荷数 z に比例するのではなく、概略として z² に比例します。
したがって、「電荷数に比例する」は不正確です。
5.正しい。
非相対論的な重荷電粒子では、衝突阻止能はおおまかに 1 / v² に比例します。
同じ粒子で考えると、エネルギーが高いほど速度が大きくなり、質量衝突阻止能は低下します。
したがって、入射粒子のエネルギーに反比例するという記述が最も適切です。
覚えるポイント
- 重荷電粒子の主なエネルギー損失は電子との衝突損失。
- 衝突阻止能は概略として z² に比例する。
- 衝突阻止能は概略として 1 / v² に比例する。
- 同じ粒子では、エネルギーが高いほど阻止能は小さくなりやすい。
- 質量阻止能は密度で規格化した量であり、密度に単純反比例とは考えない。