76PM73|第76回 診療放射線技師国家試験 過去問
X 線の発生で正しいのはどれか。2 つ選べ。
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正解: 2・3
正答
2、3
この問題のポイント
この問題では、X 線管で発生する 制動 X 線と 特性 X 線の違いが問われています。
「2 つ選べ。」なので、正しい選択肢は 2 と 3です。
重要な整理は次の通りです。
- 制動 X 線:連続スペクトルを示し、最大エネルギーは管電圧で決まる
- 特性 X 線:ターゲット原子の内殻電子の結合エネルギー差で決まる
- Kα 線のエネルギー:原子番号が大きい元素ほど高い
解説
X 線管では、陰極から放出された電子が管電圧で加速され、陽極ターゲットに衝突します。
このとき発生する X 線には、主に 制動 X 線と 特性 X 線があります。
制動 X 線
制動 X 線は、入射電子がターゲット原子核の電場で減速・方向変化を受けたときに発生する X 線です。
連続スペクトルを示し、最大エネルギーは入射電子の最大運動エネルギー、つまり 管電圧で決まります。
制動 X 線の全強度は、おおまかに次の関係で表されます。
- 制動 X 線全強度 ∝ 管電流 × ターゲット原子番号 × 管電圧²
したがって、他の条件が一定で管電圧を 2 倍にすると、
2² = 4
となり、制動 X 線の全強度は約 4 倍になります。
特性 X 線
特性 X 線は、ターゲット原子の内殻電子がはじき出され、その空孔に外側の軌道電子が遷移するときに発生します。
そのエネルギーは、軌道電子の結合エネルギー差で決まります。
したがって、特性 X 線のエネルギーはターゲット物質の原子番号に依存し、管電圧に比例するわけではありません。
モリブデンよりタングステンの方が原子番号が大きいため、K 殻や L 殻の結合エネルギーも高くなります。
そのため、Kα 線のエネルギーはモリブデンよりタングステンの方が大きいです。
ひっかけポイント
制動 X 線の「最大エネルギー」は管電圧で決まります。
特性 X 線の「エネルギー」はターゲット元素の電子殻の結合エネルギー差で決まります。
選択肢の確認
1.誤り。
特性 X 線のエネルギーは、ターゲット原子の内殻電子の結合エネルギー差で決まります。管電圧に比例するわけではありません。ただし、特性 X 線を発生させるには、入射電子エネルギーが内殻電子の結合エネルギーを上回る必要があります。
2.正しい。
制動 X 線の全強度は、管電圧の 2 乗にほぼ比例します。他の条件が一定で管電圧を 2 倍にすると、全強度は約 4 倍になります。
3.正しい。
Kα 線のエネルギーは原子番号が大きいほど高くなります。タングステンはモリブデンより原子番号が大きいため、Kα 線のエネルギーも大きくなります。
4.誤り。
制動 X 線の最大エネルギーは管電圧で決まり、ターゲットの原子番号で決まるものではありません。ターゲット原子番号が大きいほど制動 X 線の発生効率や強度は増加しますが、最大エネルギーは増加しません。
5.誤り。
K 特性 X 線は、入射電子が K 殻電子をはじき出して K 殻空孔ができたときに発生します。そのため、入射電子エネルギーは K 殻軌道電子の結合エネルギーより大きい必要があります。
覚えるポイント
- 制動 X 線は 連続スペクトルです。
- 制動 X 線の最大エネルギーは 管電圧で決まります。
- 制動 X 線全強度は、おおよそ 管電圧²に比例します。
- 特性 X 線のエネルギーは ターゲット元素の電子殻の結合エネルギー差で決まります。
- Kα 線のエネルギーは、原子番号が大きい元素ほど高くなります。
- K 特性 X 線を発生させるには、入射電子エネルギーが K 殻結合エネルギーを上回る必要があります。