78PM5|第78回 診療放射線技師国家試験 過去問
腹部MR像を別に示す。 このアーチファクトを軽減する方法で正しいのはどれか。

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正解: 3
正答
3.バンド幅を広げる。
この問題のポイント
腹部MR像にみられるアーチファクトを、画像所見から判断する問題です。
この画像では、脂肪と水成分の境界に沿って、明るい帯と暗い帯がずれて見えています。
特に、腹壁の皮下脂肪や腹腔内脂肪と、筋肉・臓器などの水成分が接する部分で、境界が不自然に強調されて見えます。
これは ケミカルシフトアーチファクト の所見です。
ケミカルシフトアーチファクトを軽減する代表的な方法は、受信バンド幅を広げること です。
画像の見方
MR画像では、脂肪と水は同じ場所にあっても、共鳴周波数が少し異なります。
そのため、脂肪信号と水信号が周波数エンコード方向に少しずれて記録されます。
その結果、脂肪と水の境界で、
- 片側が黒く抜ける
- 反対側が白く重なって見える
- 境界が帯状に強調される
といった所見が出ます。
この画像でも、脂肪と臓器・筋肉の境界に沿って、明暗の帯状変化がみられます。
これは水と脂肪の周波数差による位置ずれであり、ケミカルシフトアーチファクトと判断します。
なぜバンド幅を広げると軽減できるのか
ケミカルシフトアーチファクトは、水と脂肪の周波数差によって起こります。
周波数エンコード方向では、周波数の違いを位置情報として画像化します。
そのため、水と脂肪の周波数が異なると、本来同じ位置にあるはずの脂肪信号が少しずれた位置に表示されます。
ここで受信バンド幅を広げると、1画素あたりに対応する周波数幅が大きくなります。
すると、水と脂肪の周波数差による「画素単位のずれ」が小さくなります。
したがって、ケミカルシフトアーチファクトを軽減するには、バンド幅を広げるのが有効です。
選択肢の確認
1.加算回数を増やす。
誤りです。
加算回数を増やすとSNRは改善しますが、水と脂肪の周波数差による位置ずれは改善しません。
そのため、ケミカルシフトアーチファクトの主な軽減法ではありません。
また、加算回数を増やすと撮像時間が長くなります。
2.磁場強度を上げる。
誤りです。
磁場強度を上げると、水と脂肪の共鳴周波数の差は大きくなります。
周波数差が大きくなると、ケミカルシフトによる位置ずれはむしろ目立ちやすくなります。
したがって、軽減法としては不適切です。
3.バンド幅を広げる。
正しいです。
バンド幅を広げると、1画素あたりの周波数幅が広くなります。
その結果、水と脂肪の周波数差によって生じる画素単位のずれが小さくなり、ケミカルシフトアーチファクトを軽減できます。
ただし、バンド幅を広げるとSNRは低下しやすい点に注意します。
4.マトリクス数を増やす。
誤りです。
マトリクス数を増やすと空間分解能には影響しますが、ケミカルシフトアーチファクトを直接軽減する方法ではありません。
条件によっては撮像時間の延長やSNR低下にもつながります。
5.背側の脂肪信号を飽和パルスで抑制する。
誤りです。
脂肪信号を抑えることで脂肪由来の信号は低下しますが、この選択肢のように「背側の脂肪信号だけ」を飽和パルスで抑制する方法は、ケミカルシフトアーチファクトの基本的な軽減法ではありません。
本問で問われている水と脂肪の位置ずれを軽減するには、受信バンド幅を広げることが最も適切です。
覚えるポイント
ケミカルシフトアーチファクトは、脂肪と水の共鳴周波数の違いで起こります。
- 出やすい場所:脂肪と水成分の境界
- 見え方:境界に明るい帯・暗い帯が出る
- 出る方向:周波数エンコード方向
- 軽減法:受信バンド幅を広げる
- 注意点:バンド幅を広げるとSNRは低下しやすい
この画像では、腹部の脂肪と臓器・筋肉の境界に明暗のずれがみられるため、ケミカルシフトアーチファクトと考えます。
したがって、正しい軽減法は
「3.バンド幅を広げる。」です。
