111AM017|第111回 看護師国家試験 過去問
深部体温に最も近いのはどれか。
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正解: 4
正答
4.直腸温
この問題のポイント
体温には、身体の中心部の温度である深部体温(核心温度)と、外気の影響を受ける体表近くの外殻温度があります。この問題は、日常の検温で使う測定部位のうち、どれが深部体温を最もよく反映するかを問うています。部位ごとの値の高低(直腸温>口腔温>腋窩温)と、そうなる理由を結びつけて覚えることが鍵です。
解説
深部体温と外殻温度
体温は、測る場所によって値が異なります。
- 深部体温(核心温度):脳、心臓、腹部内臓など身体の中心部の温度です。視床下部の体温調節中枢が一定に保とうとしている温度にあたります。
- 外殻温度:皮膚、皮下組織、四肢など体表に近い部分の温度です。室温、衣服、発汗、皮膚の血流量によって大きく変動します。
問題文の「深部体温に最も近い」という言葉から、身体の中心部に近く、外気と接しにくい部位を選べばよいと判断できます。
測定部位の比較
深部体温を最も正確にとらえる方法には、次のようなものがあります。
- 肺動脈カテーテルで測る血液温
- 食道温
- 膀胱温
これらは集中治療や手術中の体温管理に用いますが、カテーテルなどの器具が必要で侵襲を伴います。そのため、日常の看護で行う検温には使いません。
選択肢の4部位は、いずれも日常的に用いる測定部位です。このうち直腸は骨盤腔内にあって腹部内臓に囲まれ、外気に触れないため、中心部の温度をよく反映します。同じ人を同じ時点で測ると、一般に直腸温が最も高く、次いで口腔温、腋窩温の順になります。中心部に近く外気の影響を受けにくい部位ほど、深部体温に近い値を示すためです。部位間の差の大きさは個人や測定条件で変わるので、数値で換算するよりも「順序」と「理由」を押さえておくことが大切です。
鼓膜温も深部体温を反映しやすい部位とされますが、測定手技による誤差が出やすい点に注意が必要です。看護の教科書で日常的な測定部位を比べるときは、直腸温を最も深部体温に近いものとして扱います。
臨床での使い分け
実際の測定部位は、正確さだけでなく、安全性、苦痛や羞恥心、患者の状態から選びます。
- 直腸温:深部体温に近い一方、不快感や羞恥心を伴います。直腸や肛門の手術後、肛門周囲に病変がある場合、下痢がある場合には避けます。
- 腋窩温:最も安全で簡便なため、日常の検温の中心になります。
体温には生理的な変動もあります。
- 日内変動は、早朝に最も低く夕方に高くなり、その幅は通常1℃以内です。
- 食事、運動、入浴の後は上昇します。
- 女性では、排卵後にプロゲステロンの作用で高温相になります。
このため、経過をみるときは同じ部位・同じ時間帯・同じ条件で測り、記録には測定部位を明記します。部位を変えて比べると、値の差を病状の変化と誤って判断するおそれがあります。
選択肢の確認
1.腋窩温:腋窩は体表の一部で、外殻温度の性質をもつため、4つの部位の中で最も低い値を示します。腋を閉じて皮膚と体温計が密着し、深部から伝わる熱で温度が一定になる(平衡温に達する)までに時間がかかります。実測式体温計では目安として10分程度を要し、口腔や直腸より長くかかります。汗が残っていると、気化熱で低く出ます。正確に測るには、汗を拭き、体温計を前下方から腋窩の最深部に向けて差し込み、腋をしっかり閉じます。麻痺のある人では、麻痺側は血流が低下して低めに出るため、健側で測ります。簡便さと安全性では最も優れていますが、深部体温に最も近いとはいえません。
2.口腔温:口腔温は、舌下の奥(舌小帯の脇)に体温計の先端を当てて口を閉じて測り、一般に腋窩温より高く、直腸温より低い値を示します。口は外気と通じているため、次のような影響を受けます。
- 飲食、喫煙、会話の直後や、口呼吸をしている場合は値がずれます。
- 乳幼児、意識障害のある人、呼吸困難のある人、口腔の手術後の人、けいれんのおそれがある人では、安全に保持できないため適しません。
腋窩温よりは深部体温に近いものの、最も近いのは直腸温です。
3.鼓膜温:鼓膜は視床下部に近く、頭部の深部の血流の影響を受けるため、深部体温を反映しやすい部位とされます。赤外線式の耳式体温計で、数秒と短時間で測れるのが利点です。ただし、次のような要因で値がばらつきやすくなります。
- 外耳道の曲がりやプローブの向きで鼓膜を正しくとらえられないと、外耳道の壁の温度を測ってしまい、低めに出ます。
- 耳垢、外耳道の炎症、寒い屋外から戻った直後なども誤差の原因になります。
測定時は外耳道をまっすぐにするため、成人では耳介を後上方に引きます。条件が整えば深部体温をよく反映しますが、日常の測定部位の中で最も近いとして選ぶのは直腸温です。
4.直腸温:正答。直腸は骨盤腔内にあり、周囲を腹部内臓に囲まれて外気と接しないため、日常的な測定部位の中で深部体温に最も近い値を示します。一方で、次の点に注意します。
- 体温が急に変化する場面(冷却療法中など)では、変化が遅れて現れることがあります。
- 便の存在が値に影響することがあります。
- 羞恥心への配慮が必要です。
- 直腸や肛門の術後、下痢のある場合には避けます。
- 新生児・乳児では、粘膜損傷や穿孔を起こさないよう慎重に行います。
覚えるポイント
- **深部体温(核心温度)**は身体中心部の温度で、視床下部が一定に保とうとする温度です。外殻温度は体表の温度で、環境の影響を受けます。
- 日常の測定部位で深部体温に最も近いのは直腸温です。値の高さの順は直腸温>口腔温>腋窩温で、外気から遠い部位ほど高くなります。
- より正確な深部体温は、肺動脈血温、食道温、膀胱温で測ります。いずれも侵襲的で、集中治療や手術中に用います。
- 鼓膜温は短時間で測れて深部体温を反映しやすい一方、外耳道の向き、耳垢、外気温による誤差が出やすい部位です。
- 腋窩温は最も安全で簡便ですが、平衡温に達するまで時間がかかります。汗を拭き、腋窩の最深部に当て、麻痺があれば健側で測ります。
- 経過観察では、部位・時間帯・条件をそろえ、記録に測定部位を残します。日内変動は早朝に最低、夕方に高く、その幅は1℃以内です。
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