111AM018|第111回 看護師国家試験 過去問

呼吸パターンを図に示す。 Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸はどれか。

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正解: 1

正答

1.①

この問題のポイント

4つの呼吸曲線から、Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸の波形を選ぶ問題です。見るべき点は2つあります。波が途切れて平坦になる部分(無呼吸期)があるか、そして波の振れ幅(呼吸の深さ)がなめらかに大きくなってから小さくなる変化を周期的に繰り返しているかです。図には無呼吸を含む波形が2つあるので、漸増・漸減の規則的な周期があるかどうかでBiot〈ビオー〉呼吸と区別できるかが決め手になります。

解説

呼吸曲線では、一般に縦の振れ幅が呼吸の深さ(1回換気量)を、横方向が時間の経過を表します。この図には時間の目盛りがないため、呼吸数を数値として読むことはできません。そこで、波の大きさの変化、規則性、平坦な部分があるかという「形」で判断します。4つの波形は次のように読めます。

  • ①は、小さな波から始まって振れ幅がしだいに大きくなり、中央で最大になります。その後しだいに小さくなって平坦な線に移ります。この「大きくなって小さくなる波のまとまり」と「平坦な部分」が、ほぼ同じ間隔で4回繰り返されています。
  • ②は、①よりずっと振れ幅が小さい波形です。大きさのそろわない波が数個続いたあと、なめらかに小さくなることなく急に平坦になります。平坦な部分の長さもまちまちです。
  • ③は、振れ幅の大きい波が同じ高さ・同じ間隔で途切れずに続き、平坦な部分はありません。
  • ④は、振れ幅の小さいなだらかな波が一定の間隔で続き、平坦な部分はありません。③と比べると波の間隔が広く、振れ幅も小さくなっています。

Cheyne-Stokes呼吸は、無呼吸期のあとに浅い呼吸が始まり、しだいに深くなって頂点に達したあと、しだいに浅くなって再び無呼吸になる、という周期を規則的に繰り返す呼吸です。無呼吸期は数秒から数十秒続きます。定義の核心は漸増・漸減と無呼吸の規則的な反復です。

この呼吸は、呼吸中枢による動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の調節が不安定になることで起こります。無呼吸のあいだにPaCO2が上がると呼吸が再開し、しだいに強まります。換気が行き過ぎてPaCO2が下がりすぎると呼吸が弱まって止まります。この揺れが繰り返されるのです。心不全では、肺を通った血液が化学受容器に届くまでの時間(循環時間)が延びるため、反応が遅れて揺れが大きくなりやすくなります。

代表的な原因は、重症心不全、脳血管障害や脳腫瘍などの中枢神経の障害、尿毒症、麻薬や睡眠薬などによる呼吸抑制です。臨死期にもみられ、健康な高齢者でも睡眠中にみられることがあります。なお、Cheyne-Stokes呼吸の無呼吸は、呼吸中枢からの指令そのものが止まる中枢性の無呼吸で、胸郭の動きも止まります。閉塞性睡眠時無呼吸は、上気道がふさがって、胸郭や腹部は呼吸しようと動いているのに気流が止まるもので、仕組みが異なります。

Cheyne-Stokes呼吸と一緒に問われやすい異常呼吸は、次の2つです。

  • Biot〈ビオー〉呼吸:深さもリズムも不規則な呼吸と無呼吸が、周期性なく現れます。髄膜炎、脳腫瘍、脳外傷などで頭蓋内圧が亢進したり、延髄を含む脳幹が障害されたりしたときにみられ、重篤な状態を示します。
  • Kussmaul〈クスマウル〉呼吸:異常に深く大きい呼吸が規則正しく続き、無呼吸はありません。糖尿病性ケトアシドーシスや腎不全による代謝性アシドーシスでみられます。二酸化炭素を多く吐き出して血液のpHを正常に近づけようとする呼吸性代償です。特徴は呼吸数よりも、深さと規則性にあります。

図に当てはめると、③と④には平坦な部分がないので、この時点で候補から外れます。無呼吸期をもつ①と②のうち、振れ幅がなめらかに漸増・漸減し、同じ形の周期が規則正しく繰り返されているのは①だけです。②は浅く不ぞろいな呼吸が急に途切れて無呼吸になり、その間隔も一定しないため、Biot呼吸にあたります。したがって、Cheyne-Stokes呼吸は①です。

臨床では、呼吸の数だけでなく深さとリズムも観察します。呼吸は本人が意識すると変わりやすいので、脈拍測定に続けて、気づかれないように胸郭の動きを見ながら1分間かけて数えます。Cheyne-Stokes呼吸のような周期性の異常は短い観察では見逃しやすいため、周期全体をとらえるまで観察を続けます。そのうえで、無呼吸の持続時間と周期、無呼吸期のSpO2低下やチアノーゼ、意識レベルを記録します。脳血管障害や心不全の患者に新たに現れた場合は、病状悪化のサインとして速やかに医師へ報告します。終末期では、下顎呼吸とともに死が近づいたことを示す変化の一つです。家族には自然な経過であることを伝え、そばで過ごせるよう支援します。

選択肢の確認

1.①:正答。小さい波からしだいに振れ幅が大きくなり、頂点を過ぎるとしだいに小さくなって平坦な無呼吸期に移ります。このまとまりが、ほぼ一定の間隔で繰り返されています。漸増・漸減と無呼吸の規則的な反復という、Cheyne-Stokes呼吸の定義どおりの波形です。

2.②:浅く大きさのそろわない呼吸が数回続いたあと、なめらかに小さくなることなく急に途切れて無呼吸になり、無呼吸の長さも一定しません。このためBiot呼吸の波形と読めます。無呼吸を含む点は選択肢1と共通しているため取り違えやすいのですが、漸増・漸減の規則的な周期がない点で区別できます。Biot呼吸を問われた場合は、この形の波形を選びます。

3.③:振れ幅の大きい深い呼吸が同じ大きさ・同じ間隔で途切れずに続き、無呼吸期も周期的な振れ幅の変化もないため、Kussmaul呼吸の波形にあたります。糖尿病性ケトアシドーシスなどの代謝性アシドーシスでみられ、ケトアシドーシスでは呼気にアセトン臭を伴うことがあります。Cheyne-Stokes呼吸にも深い呼吸の時期がありますが、無呼吸期と振れ幅の周期的な変化がある点が異なります。

4.④:振れ幅の小さいなだらかな波が一定の間隔で規則正しく続き、無呼吸期も振れ幅の周期的な増減もないため、Cheyne-Stokes呼吸ではありません。リズムに異常のない規則的な呼吸で、正常な呼吸パターンを示したものと読めます。時間の目盛りがないので、この図だけから頻呼吸や徐呼吸といった呼吸数の異常を判定することはできません。

覚えるポイント

  • Cheyne-Stokes呼吸:無呼吸→浅い→深い→浅い→無呼吸の周期を規則的に繰り返します(漸増・漸減+無呼吸)。重症心不全、脳血管障害などの中枢神経障害、尿毒症、薬物による呼吸抑制、臨死期でみられます。
  • Biot呼吸:深さもリズムも不規則な呼吸と無呼吸が、周期性なく現れます。髄膜炎・脳腫瘍・脳外傷など、頭蓋内圧亢進や脳幹の障害を示す重篤なサインです。
  • Kussmaul呼吸:深く大きい呼吸が規則正しく続き、無呼吸はありません。糖尿病性ケトアシドーシスや腎不全などの代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償です。
  • 波形は、まず平坦な部分(無呼吸)があるかで見分けます。無呼吸があり、なめらかな漸増・漸減が規則的ならCheyne-Stokes呼吸、不規則ならBiot呼吸です。無呼吸がなく、深く大きい規則的な波ならKussmaul呼吸です。
  • 数と深さの異常の用語も整理します。呼吸数だけが増減するのが頻呼吸・徐呼吸、深さだけが増減するのが過呼吸・減呼吸、数と深さがともに増減するのが多呼吸・少呼吸です。
  • 周期性の呼吸異常は短時間の観察では見逃しやすいので、周期全体を観察します。無呼吸の持続時間・周期、SpO2、意識レベルを記録し、新たに現れたら病状変化として報告します。

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