111PM069|第111回 看護師国家試験 過去問

感染徴候のない在宅療養者に対する床上での排便の援助において、訪問看護師が行う感染対策で適切なのはどれか。

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正解: 1

正答

1.援助時には使い捨てのエプロンを着用する。

この問題のポイント

在宅での排泄援助に、標準予防策をどう当てはめるかを問う問題です。鍵となる手がかりは「感染徴候のない」と「床上での排便の援助」の2つです。感染症の有無にかかわらず排泄物には標準予防策を適用すること、一方で感染症が疑われない場合には過剰な消毒や特別な廃棄は不要であることを、区別して判断できるかが問われています。

解説

問題文の手がかり

「感染徴候のない在宅療養者」とあるので、ノロウイルスなどの特定の感染症を想定した対策(感染経路別予防策)は必要ありません。ただし、「感染徴候がない=何もしなくてよい」ではありません。便には腸内細菌が大量に含まれ、症状のない保菌者もいるため、排泄物は常に感染の可能性があるものとして扱います。

標準予防策の考え方

標準予防策(スタンダードプリコーション)は、感染症の有無にかかわらず、すべての人の血液・体液・分泌物・排泄物(汗を除く)・傷のある皮膚・粘膜を感染性があるものとして扱う考え方です。個人防護具(PPE)は、行う処置でどのような曝露が予想されるかによって選びます。

  • 排泄物に手が触れる可能性がある → 手袋
  • 衣服や体の前面が汚染される可能性がある → 使い捨てのエプロン(腕まで汚れる可能性があれば長袖ガウン)
  • 飛沫が顔に飛ぶ可能性がある → マスク、ゴーグル

床上での排便の援助では、便器の出し入れ、殿部の清拭、陰部洗浄などを行うため、便や洗浄水が看護師の衣服に付く可能性があります。そのため、手袋とあわせて使い捨てのエプロンを着用します。

訪問看護ならではの意味

訪問看護師は1日に複数の療養者宅を回ります。衣服が汚染されたまま次の家を訪問すると、看護師自身が病原体を運ぶ媒介になりかねません。使い捨てのエプロンを使い、援助ごとに外して廃棄することは、療養者どうしの交差感染を防ぐうえで特に重要です。外すときは汚染面に触れないように裏返して丸め、手袋を外したあとに手指衛生を行います。

過剰な対策をしないことも大切

感染徴候がない場合、オムツ・寝衣・物品の扱いは日常の家庭生活の方法で足ります。在宅では家族が継続して介護することも多いため、消毒剤の常用のように負担が大きく、効果に見合わない方法を勧めないことも看護師の役割です。家族には、手袋の使用、援助後の手洗い、汚れ物の扱い方など、続けやすい方法を指導します。

選択肢の確認

1.援助時には使い捨てのエプロンを着用する。:正答。排便の援助では便や洗浄水で衣服が汚染される可能性があるため、標準予防策として手袋とともに使い捨てのエプロンを着用します。感染徴候の有無にかかわらず行う対策であり、訪問先を移動する看護師が病原体を持ち運ばないためにも欠かせません。

2.使用済みのオムツは感染性廃棄物として処分する。:在宅療養で出る使用済みのオムツは、廃棄物処理法上は一般廃棄物にあたり、市町村の分別・収集のルールに従って処分します。感染性廃棄物は、医療関係機関等から出る廃棄物のうち感染のおそれがあるものを指す区分であり、在宅の家庭から日常的に出るオムツは該当しません。家庭では、便を取り除いてから袋に入れ、口をしっかり縛って捨てるよう指導します。

3.使用済みの寝衣は次亜塩素酸ナトリウム液に浸す。:感染徴候がない場合、使用済みの寝衣は付着した便を取り除いたうえで、家庭用洗剤による通常の洗濯で十分です。次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎が疑われる吐物・便で汚染されたリネンに行う対策です。アルコールが効きにくい病原体への対応として覚えておきましょう。日常的に使うと衣類の脱色や傷みの原因となり、家族の負担も増えます。

4.陰部洗浄で使用したボトルの洗浄に中性洗剤は用いない。:陰部洗浄用ボトルは、使用後に中性洗剤で洗浄し、十分にすすいで乾燥させるのが基本です。洗剤で汚れ(有機物)を落とすことは消毒の前提であり、洗剤を使わない理由はありません。湿ったまま保管すると細菌が繁殖しやすいため、乾燥させることも重要です。

覚えるポイント

  • 標準予防策は感染症の有無に関係なく、血液・体液・分泌物・排泄物・傷のある皮膚・粘膜を感染性ありとして扱う考え方です。
  • 個人防護具は予想される曝露で選びます。手に触れる場合は手袋、衣服の汚染には使い捨てのエプロン(腕まで汚れる場合はガウン)、顔への飛散にはマスクとゴーグルを使います。
  • 外す順序は、手袋 → ゴーグル → エプロン・ガウン → マスクで、最後に手指衛生を行います。手袋を外したあとの手指衛生も省略しません。
  • 在宅医療で出る廃棄物(オムツなど)は一般廃棄物で、市町村のルールに従います。注射針などの鋭利物は、医療機関や薬局に返却する方法が一般的です。
  • 次亜塩素酸ナトリウムはノロウイルスなど特定の病原体が疑われる場合の消毒に使います。感染徴候がなければ、寝衣は汚れを除いてから通常の洗濯、物品は中性洗剤で洗浄して乾燥させます。

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