112AM021|第112回 看護師国家試験 過去問
オートクレーブによる滅菌法はどれか。
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正解: 2
正答
2.高圧蒸気滅菌
この問題のポイント
「オートクレーブ」という装置名から、それを用いる滅菌法を答える基礎問題です。オートクレーブは、飽和水蒸気に圧力をかけて100℃を超える温度で器材に作用させる圧力容器です。「水蒸気」と「圧力」という2つの手がかりから高圧蒸気滅菌を選べます。各滅菌法の原理と、どの器材に向くかを整理しておくと、関連問題にも対応できます。
解説
まず、滅菌と消毒を区別します。
- 滅菌は、芽胞を含むすべての微生物を死滅または除去することです。処理後に微生物が生き残る確率が100万分の1以下(無菌性保証水準)であることが基準とされています。
- 消毒は、病原微生物を感染を起こさない程度まで減らすことです。芽胞まで殺滅できるとは限りません。
- 煮沸(100℃)は消毒にとどまります。芽胞を確実に死滅させるには、より高い温度が必要です。
オートクレーブは、器材を入れて密閉した缶体に飽和水蒸気を送り込み、圧力を高める装置です。水の沸点は圧力が高いほど上がるため、大気圧では100℃の水蒸気が、約2気圧(絶対圧)では約121℃になります。この高温の蒸気が器材の表面で凝縮するときに、大量の潜熱を放出します。さらに水分があると微生物の蛋白質は凝固・変性しやすくなります。このため、乾いた熱より低い温度・短い時間で芽胞まで死滅させることができます。代表的な条件は121℃で15分以上(臨床では15〜20分とされることが多い)です。真空ポンプで缶内の空気を抜くプレバキューム式では、132〜134℃で短時間処理する方法も用いられます。
高圧蒸気滅菌の利点と限界は次のとおりです。
- 利点:確実性が高く、短時間で安価に行え、有害な残留物がありません。そのため、耐熱性・耐湿性のある器材では第一選択です。鋼製器具(鉗子・鑷子・剪刀)、ガラス器具、リネン・ガーゼ類、耐熱性のゴム・シリコーン製品などが対象です。
- 熱や水分に弱いものには使えません:耐熱性のないプラスチック製品、精密機器、軟性内視鏡などが該当します。
- 油脂や粉末には向きません:蒸気が浸透しないためです。
- 空気が残ると滅菌不良になります:缶内や包みの内部に空気が残ると蒸気が行き渡りません。詰め込みすぎないことや、包装・容器の置き方が重要です。
滅菌の質は、複数のインジケータで確認します。
- 化学的インジケータ(包装に貼るインジケータテープや滅菌バッグの変色)は、工程を通過したことを示します。ただし、内部の無菌を保証するものではありません。
- 生物学的インジケータは、滅菌効果そのものを確認します。高圧蒸気滅菌では、熱に強い細菌の芽胞を用います。
- ボウィー・ディックテストは、プレバキューム式で空気除去の性能を確認する検査です。
臨床では、看護師が滅菌物を使う前に次の点を確認します。
- インジケータが変色しているか
- 包装に破損・汚染がないか
- 濡れていないか
- 有効期限内か
濡れた滅菌物は、水分を介して微生物が包装を通り抜けるおそれがあるため、不潔とみなします。また、滅菌の前には必ず洗浄で血液・体液などの有機物を除きます。有機物が残ると、蒸気や薬剤が微生物に届きにくくなるためです。
どの処理が必要かは、スポルディングの分類で考えます。
- 無菌の組織や血管内に入る器材(手術器械、血管内カテーテルなど)は「クリティカル」で、滅菌が必要です。
- 粘膜に触れる器材(軟性内視鏡など)は「セミクリティカル」で、高水準消毒以上が必要です。
- 健常な皮膚にだけ触れる器材(血圧計のマンシェット、聴診器など)は「ノンクリティカル」で、低水準消毒または洗浄で足ります。
滅菌が必要な器材について、材質に合わせて方法を選ぶ、という順に考えると整理しやすくなります。
選択肢の確認
1.酸化エチレンガス滅菌:酸化エチレンガスのアルキル化作用で微生物の蛋白質や核酸を変性させる方法で、60℃程度以下の低温で処理できます。そのため、プラスチック製品、カテーテル、精密機器など熱に弱い器材に用いられます。処理には専用のガス滅菌装置を使い、オートクレーブは用いません。ガスには毒性・発癌性・引火性があり、器材に残ったガスを除くエアレーションに長時間かかるため、使用できるまでに時間を要します。同じく熱に弱い器材に用いる過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌と並べて問われやすい方法です。
2.高圧蒸気滅菌:正答。オートクレーブ内で加圧した飽和水蒸気を作用させる方法で、121℃で15分以上などの条件により、芽胞を含むすべての微生物を死滅させます。確実・迅速・安価で有害な残留物がありません。このため、鋼製器具、ガラス器具、リネン類など耐熱性・耐湿性のある器材では第一選択となります。
3.放射線滅菌:ガンマ線や電子線を照射して微生物のDNAを損傷させる方法で、蒸気と圧力を使うオートクレーブとは原理がまったく異なります。熱をほとんど加えずに、最終包装のまま大量に処理できます。そのため、注射器、カテーテル、ガーゼなど単回使用(ディスポーザブル)の医療材料の製造工程で用いられます。大規模な照射施設が必要なので、病院の中央材料室で行う方法ではありません。
4.乾熱滅菌:乾燥した高温の空気で微生物を酸化・変性させる方法で、熱風で加熱する専用の乾熱器を用い、オートクレーブは使いません。乾いた熱は湿った熱より熱の伝わり方が効率的でないため、160〜170℃で約2時間、170〜180℃で約1時間など、高温・長時間の処理が必要です。蒸気が浸透しない油脂類(ワセリンなど)や粉末、耐熱性のガラス器具・金属器具に用いられます。高温に耐えられないリネン類やゴム・プラスチック製品には使えません。
覚えるポイント
- オートクレーブ=高圧蒸気滅菌です。約2気圧・121℃・15分以上が代表的な条件で、耐熱・耐湿の器材の第一選択です。
- 熱に弱い器材には低温滅菌を用います。酸化エチレンガスは毒性・発癌性があり、エアレーションが必要です。過酸化水素低温ガスプラズマは短時間で済みますが、リネン・紙などのセルロース類、粉末、液体には使えません。
- 乾熱滅菌は油脂・粉末・ガラス器具向けで、高温・長時間を要します。放射線滅菌はディスポーザブル製品の工業的滅菌に用いられます。
- 滅菌は芽胞を含む全微生物が対象、消毒は病原微生物を減らす処理です。煮沸は消毒にとどまります。スポルディングの分類で必要な処理水準を判断します。
- インジケータテープの変色は工程通過の目印で、無菌の保証ではありません。滅菌効果は生物学的インジケータで確認し、濡れた滅菌物は不潔として扱います。
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