112PM022|第112回 看護師国家試験 過去問
看護師が行う処置で滅菌手袋を使用すべきなのはどれか。
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正解: 4
正答
4.尿道カテーテルの挿入
この問題のポイント
看護師が行う処置について、滅菌手袋と未滅菌手袋のどちらを使うべきかを判断する問題です。判断の鍵は器具が滅菌物かどうかではなく、無菌の部位に入る器具や清潔野に、手で直接触れて操作する必要があるかどうかです。筋肉内注射も無菌の組織に滅菌の針を刺しますが、外筒を持てば針や消毒後の刺入部に触れずに実施できるため、未滅菌手袋で足ります。4つの処置のうち、無菌の膀胱に入るカテーテルそのものを手で持って進めるのは尿道カテーテルの挿入だけであり、滅菌手袋が必要になります。
解説
手袋を着ける2つの目的
- 未滅菌手袋(使い捨て手袋):標準予防策に基づいて着用します。血液、汗を除く体液・分泌物・排泄物、粘膜、損傷のある皮膚に触れる可能性があるときに使います。主な目的は、医療者を守ることと、手を介した交差感染を防ぐことです。
- 滅菌手袋:無菌操作で用います。無菌の体腔・組織に入る器具や清潔野に、手で直接触れて操作する処置で使います。主な目的は、患者の無菌部位に微生物を持ち込まないことです。
判断の基準は「汚れに触れるか」ではなく、「無菌の部位に入る器具や清潔野に、手で直接触れて操作する必要があるか」です。排泄物に触れる処置でも、無菌の部位に入らなければ未滅菌手袋で足ります。必要な場面で滅菌手袋を使わなければ患者の感染リスクが高まります。逆に不要な場面で使えば物品の浪費になるため、目的に応じて使い分けます。
器具の滅菌と滅菌手袋の要否は別の問題
器具をどこまで処理するかは、スポルディング分類で整理されます。
- クリティカル器具(無菌の組織や血管系に入るもの):滅菌が必要です。
- セミクリティカル器具(粘膜や損傷した皮膚に接するもの):高水準消毒が必要です。
- ノンクリティカル器具(健常な皮膚に接するもの):低水準消毒などで足ります。
注射針も、膀胱に入る尿道カテーテルもクリティカル器具で、どちらも滅菌済みのものを使います。「無菌の部位に滅菌の器具を入れる」点は同じなので、それだけでは手袋の種類は決まりません。違いは、無菌の部位に入る部分を手で直接扱うかどうかです。
- 注射は、外筒を持てば針や消毒後の刺入部に触れずに実施できます。採血や末梢静脈カテーテルの挿入も同様です。米国CDCの血管内カテーテル関連感染予防ガイドラインでも、末梢静脈カテーテルは消毒後の刺入部に触れなければ未滅菌手袋で挿入してよいとされています。
- 尿道カテーテルは、カテーテルそのものを手で持って尿道から膀胱へ進めます。そのため、カテーテルを扱う手を滅菌手袋で覆う必要があります。
尿道カテーテル挿入の無菌操作
膀胱内は通常無菌ですが、外尿道口の周囲には細菌が存在します。挿入時にその細菌を膀胱へ押し込むと、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)の原因になります。CAUTIは医療関連感染のなかでも頻度の高い感染です。米国CDCのカテーテル関連尿路感染予防ガイドライン(2009年)も、急性期病院では滅菌手袋・滅菌ドレープなどの滅菌物品を用い、無菌操作で挿入するよう推奨しています。看護師は次の点を押さえて実施します。
- 手指衛生を行ってから滅菌手袋を装着し、滅菌ドレープなどで清潔野を作ります。
- 女性は小陰唇を開き、尿道口を中心に前から後ろへ消毒し、綿球は1回ごとに替えます。男性は尿道口から外側へ円を描くように消毒します。
- 陰唇や陰茎を保持した手は不潔になるため、カテーテルは反対の手で扱います。
- 挿入の長さは女性で約4〜6cm、男性で約18〜20cmです。男性は陰茎を体幹に対して垂直に近い角度に持ち上げて挿入します。
- 留置する場合は、尿の流出を確認してからさらに少し進め、バルーンを滅菌蒸留水で膨らませます。尿道内で膨らませると尿道を損傷します。
- 留置中は閉鎖式導尿システムを保ちます。蓄尿バッグは膀胱より低い位置に置き、床につけません。留置期間が長いほど感染リスクが高まるため、不要になったら早く抜去します。
なお、在宅で本人が行う間欠的自己導尿は、手洗いと清潔なカテーテルを用いる清潔操作(清潔間欠自己導尿)で行われます。医療機関で看護師が行う導尿や留置は、無菌操作が原則です。
選択肢の確認
1.筋肉内注射:この処置も無菌の筋組織に滅菌の注射針を刺入しますが、看護師はシリンジの外筒を持ち、針や消毒後の刺入部に触れずに実施できるため、手袋まで滅菌にする必要はありません。出血などで血液に触れる可能性に備えて着ける手袋も、未滅菌の使い捨て手袋で足ります。刺入部はアルコール綿などで消毒し、乾燥を待ってから刺入します。「無菌の部位に滅菌物を入れる処置」と「滅菌手袋が必要な処置」を同じものと考えると、この選択肢を選んでしまうので注意してください。
2.口腔内吸引:口腔にはもともと多数の常在菌が存在し、無菌の部位ではないため、無菌操作は求められず、未滅菌手袋で行います。分泌物が飛散する可能性があるため、必要に応じてマスクやゴーグルなどの個人防護具も併用します。比較して押さえたいのは気管吸引です。気管吸引は声門より下の気道にカテーテルを入れるため、カテーテルを滅菌手袋や滅菌鑷子で扱うなど、清潔度の高い操作が求められます。口腔や鼻腔を吸引したカテーテルで、続けて気管を吸引してはいけません。
3.ストーマパウチの交換:ストーマは体表に開口して細菌が存在する部位で、無菌の部位ではないため、パウチ交換に無菌操作は必要ありません。排泄物から手を守る目的で、未滅菌手袋を着けて行います。ストーマには、腸管を腹壁に開口させた消化管ストーマ(コロストミー、イレオストミー)と、尿を体外に排出する尿路ストーマ(回腸導管、尿管皮膚瘻など)があります。消化管ストーマでは便や腸液に、尿路ストーマでは尿に触れますが、どちらも未滅菌手袋で行うという結論は変わりません。ストーマ周囲の皮膚は消毒薬を使わず、石けんとぬるま湯で汚れを落とし、よく乾かしてから装具を貼ります。面板の穴はストーマより2〜3mm程度大きくカットし、皮膚の露出と粘膜の圧迫を避けます。「排泄物で汚れる処置だから滅菌手袋」と考えるのは、手袋の目的の取り違えです。
4.尿道カテーテルの挿入:正答。通常無菌である膀胱内へ、滅菌カテーテルを手で持って尿道から進める処置です。外尿道口周囲の細菌を持ち込むとカテーテル関連尿路感染症の原因になります。そのため滅菌手袋を着用し、陰部の消毒と清潔野の確保を行ったうえで、無菌操作で実施します。一時的導尿でも膀胱留置でも、挿入時の原則は同じです。
覚えるポイント
- 手袋の選択は「汚れに触れるか」でも「器具が滅菌か」でもなく、「無菌の部位に入る器具や清潔野に、手で直接触れて操作する処置か」で判断します。注射・採血のように、器具が滅菌でも針や消毒後の刺入部に触れずに行える処置は未滅菌手袋で行います。
- 未滅菌手袋は、標準予防策として医療者を守り、交差感染を防ぐために使います。滅菌手袋は、患者の無菌部位に微生物を持ち込まないために使います。
- 滅菌手袋を用いる代表的な処置は、導尿・膀胱留置カテーテルの挿入、手術、中心静脈カテーテルの挿入です。中心静脈カテーテルでは、帽子・マスク・滅菌ガウン・滅菌手袋・大きな滅菌ドレープを用いるマキシマルバリアプリコーションをとります。気管吸引も清潔度の高い操作です。
- 未滅菌手袋でよい処置は、注射、採血、末梢静脈カテーテルの挿入(消毒後の刺入部に触れない場合)、口腔・鼻腔吸引、ストーマ装具やおむつの交換、排泄物の処理などです。
- 導尿では女性は前から後ろへ消毒し、挿入長は女性約4〜6cm、男性約18〜20cmです。留置では、尿の流出を確認してからバルーンを滅菌蒸留水で膨らませます。閉鎖式を保ち、蓄尿バッグは膀胱より低く床につけずに置き、不要になれば早期に抜去します。
- 滅菌手袋の装着後は、手を腰より上で視野内に保ちます。不潔なものに触れたら交換します。
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