112PM023|第112回 看護師国家試験 過去問

静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。

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正解: 1

正答

1.15〜20度

この問題のポイント

静脈血採血で、皮膚に対して針を刺す角度を問う基礎看護技術の問題です。採血に使う肘窩の表在静脈は皮膚のすぐ下の浅い層を走っているため、浅い角度で刺すと判断できます。皮内・皮下・筋肉内注射の刺入角度と並べ、「刺したい組織が深いほど角度を大きくする」という対応で整理すると確実に解けます。

解説

手がかりは「静脈」と「皮膚に対する角度」

問題文の「静脈血採血」から、穿刺の対象は肘窩の表在静脈だとわかります。表在静脈は皮下組織の浅い層を走り、内腔は数mm程度しかありません。壁は動脈より薄くて柔らかいのが特徴です。針先を血管の前壁だけ貫いて内腔にとどめ、後壁は突き抜けないようにすることが、静脈穿刺の目標です。

角度と針先の到達深度の関係

  • 角度が大きいと、少し進めただけで針先が深く届きます。前壁を貫いた直後に後壁まで突き抜けて血管外に出やすく、皮下の血腫の原因になります。さらに深部を走る動脈や神経を傷つける危険も高まります。
  • 角度が小さすぎると、針先が皮内や皮下を長く進むだけで血管に届きません。血管の上を滑ってしまうこともあります。
  • 15〜20度前後の浅い角度なら、短い距離で前壁に達します。そのまま内腔に入り、血管の走行に沿って針を進められます。多くの看護技術の教科書でも、静脈血採血と静脈内注射は10〜30度の範囲、とくに15〜20度程度が標準とされています。

採血手技の流れ(角度以外の頻出事項)

  • 部位は肘窩の肘正中皮静脈が第一選択で、次に橈側皮静脈、尺側皮静脈を用います。肘窩の尺側(内側)は深部を上腕動脈や正中神経が走るため、穿刺には注意が必要です。
  • 乳房切除術で腋窩リンパ節郭清を受けた側、透析用シャントのある腕、点滴を行っている腕は避けます。
  • 駆血帯は穿刺部位より7〜10cm程度中枢側に巻き、長時間の駆血は避けます。患者には母指を中に入れて手を軽く握ってもらいます。手の開閉を繰り返すと検査値(とくにカリウム)に影響するため、繰り返させません。
  • アルコール綿で消毒し、乾燥を待ってから刺入します。乾かないうちに刺すと痛みが強くなり、溶血の原因にもなります。
  • 穿刺部より末梢側の皮膚を軽く引いて血管を固定します。針の刃面(切り口)を上に向け、血管の走行に沿って15〜20度で刺入します。
  • 血液の逆流を確認したら針を少し寝かせ、わずかに進めて固定します。採血が終わったら手を開いてもらい、駆血帯を外してから抜針します。抜針後は揉まずに圧迫止血します。
  • 刺入時や採血中にしびれや電撃痛の訴えがあれば、神経損傷を疑って直ちに抜針し、医師に報告します。気分不快、顔面蒼白、冷汗が出た場合は血管迷走神経反射を疑います。採血を中止し、臥位にして観察します。

他の注射法との比較

刺入角度は、目的の組織の深さで決まります。皮内注射は皮膚とほぼ平行、皮下注射は10〜30度、静脈内注射・静脈血採血は15〜20度前後、筋肉内注射は45〜90度(三角筋では90度)と覚えておきましょう。本問はこの対応を理解していれば、選択肢1以外が深すぎることにすぐ気づけます。

選択肢の確認

1.15〜20度:正答。肘窩の表在静脈は皮膚のすぐ下を走るため、浅い角度で刺入すると前壁だけを貫いて内腔に針先をとどめやすくなります。血管の走行に沿って進めやすく、血腫や深部組織の損傷も起こしにくい角度です。静脈内注射でも同程度の角度を用います。

2.35〜40度:静脈穿刺の標準範囲(おおむね30度以下)を超えており、針先が前壁を貫いた直後に後壁まで突き抜けやすい角度です。血管外への漏出や皮下血腫の原因となります。皮下注射の上限とされる30度も超えています。「浅く刺す注射の中では深め」という感覚で選ぶと誤答につながります。

3.55〜60度:筋肉内注射で用いる45〜90度の範囲に入る深い角度です。表在静脈を簡単に貫通し、その奥にある動脈や神経を傷つける危険があります。筋肉のような深部組織に薬液を届けたい場合に選ぶ角度であり、浅い層にある静脈を狙う採血には適しません。

4.75〜80度:皮膚にほぼ垂直で、三角筋への筋肉内注射(90度)に近い角度です。細い表在静脈の内腔に針先をとどめることはほぼできず、血管を貫通して深部の神経・動脈を損傷するおそれが最も大きくなります。筋肉内注射の角度と取り違えないよう注意が必要です。

覚えるポイント

  • 刺入角度は目的の組織の深さで決まります。皮内はほぼ平行、皮下は10〜30度、静脈内注射・静脈血採血は15〜20度前後、筋肉内は45〜90度(三角筋は90度)です。
  • 静脈穿刺では刃面を上にし、血管の走行に沿って浅く刺します。逆血を確認したら針を寝かせて少し進めます。角度が大きすぎると後壁を貫通して血腫になります。
  • 駆血帯は穿刺部位の7〜10cm程度中枢側に巻きます。母指を中にして軽く握ってもらい、手の開閉は繰り返させません。消毒後は乾燥を待ってから刺入します。
  • 部位の第一選択は肘正中皮静脈です。肘窩の尺側は上腕動脈や正中神経が近いため注意します。乳房切除(腋窩郭清)側、シャント側、点滴中の腕は避けます。
  • 終了時は「手を開いてもらう、駆血帯を外す、抜針する」の順です。止血は揉まずに圧迫します。しびれや電撃痛の訴えがあれば、直ちに抜針して報告します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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