111PM022|第111回 看護師国家試験 過去問
注射針の刺入角度が45〜90度の注射法はどれか。
解答・解説を見る
正解: 3
正答
3.筋肉内注射
この問題のポイント
注射法ごとの刺入角度を問う基本問題です。刺入角度は「薬液をどの深さの組織に届けるか」で決まり、目的の層が深いほど針を立てて角度を大きくします。皮膚の層構造(表皮・真皮・皮下組織・筋層)と対応させて覚えると、角度だけでなく針の太さや吸収の速さもまとめて整理できます。
解説
刺入角度は目的の層の深さで決まる
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織(脂肪層)と重なり、その下に筋層があります。注射法の名前は、薬液を届ける層を表しています。浅い層に薬液をとどめたいときほど針を寝かせ(角度を小さく)、深い層に確実に届けたいときほど針を立てます(角度を大きく)。
問題文の「45〜90度」は、4つの注射法の中で最も針を立てる角度です。皮下組織を貫いて筋層まで針先を届かせる必要があるのは筋肉内注射なので、これが正答です。
各注射法の特徴
- 皮内注射:表皮直下の真皮内に、ごく少量の薬液を入れます。針は皮膚とほぼ平行に、刃面(針先の切り口)を上に向けて浅く刺します。注入すると皮膚が白く盛り上がる膨疹ができます。ツベルクリン反応や薬剤の皮内反応など、主に検査・診断に用います。反応の判定に影響するため、注射部位はもみません。
- 皮下注射:皮下組織に薬液を入れます。皮膚をつまみ上げ、10〜30度程度で刺すのが基本です。吸収は緩やかで持続的です。インスリン、ヘパリン、一部のワクチンなどに用います。
- 筋肉内注射:皮下組織を越えて筋層に薬液を入れます。45〜90度で刺します。筋は血流が豊富なので、皮下注射より吸収が速く、ある程度の量の薬液も注入できます。刺激性のある薬液や油性の薬液に用いられ、新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチンも三角筋への筋肉内注射です。
- 静脈内注射:静脈内に直接薬液を入れます。血管の走行に沿って10〜20度程度の浅い角度で刺し、逆血を確認してから注入します。
作用の現れる速さは、一般に静脈内注射が最も速く、次いで筋肉内注射、皮下注射の順です。静脈内注射は効果が速い一方、誤薬やアナフィラキシーの影響もすぐに現れます。そのため、投与速度を守ることと、投与中・投与後の観察が特に重要です。
筋肉内注射の部位選択と安全
筋肉内注射は深く刺すため、神経や血管の損傷を避ける部位選択が要点です。
- 三角筋:肩峰から約3横指下の、三角筋の中央部に刺します。これより下方では腋窩神経や橈骨神経を損傷するおそれがあります。
- 中殿筋:クラークの点(上前腸骨棘と上後腸骨棘を結ぶ線の前方3分の1の点)や、四分三分法で決めた殿部の外側上方の部位に刺します。殿部の下内側を走る坐骨神経を避けるためです。
刺入後は、しびれや電撃痛(手足に走る鋭い痛み)がないかを必ず確認します。訴えがあれば直ちに抜針します。やせた人では骨に当たらないよう、皮下脂肪の厚さに合わせて刺入の深さを調整します。
選択肢の確認
1.皮下注射:皮下組織に薬液を入れる方法で、皮膚をつまみ上げて10〜30度程度で刺入するのが基本です。45〜90度で刺すと、針先が皮下組織を越えて筋層に達するおそれがあります。なお、インスリンのペン型注入器では、非常に短い針を皮膚に垂直に刺します。これは針が短いため直角でも皮下組織にとどまるからで、角度は針の長さと皮下組織の厚さで決まるという原則の応用です。
2.皮内注射:真皮内という最も浅い層に少量の薬液を入れる方法で、針は皮膚とほぼ平行に刺入します。正しく注入できたかは、膨疹ができるかどうかで確認します。角度を立てると薬液が皮下に入り、ツベルクリン反応などの判定が不正確になります。
3.筋肉内注射:正答。皮下組織の下にある筋層へ薬液を届ける方法で、45〜90度の角度で刺入します。三角筋や中殿筋を選び、腋窩神経・橈骨神経・坐骨神経などの損傷を避けることが重要です。
4.静脈内注射:皮膚の下を走る静脈に、血管の走行に沿って10〜20度程度の浅い角度で刺入する方法です。角度を大きくすると血管を貫通して血管外に針先が出やすくなります。刺入後は逆血を確認してから注入します。
覚えるポイント
- 刺入角度の目安:皮内はほぼ平行、皮下は10〜30度、静脈内は10〜20度、筋肉内は45〜90度です。
- 目的の層が深いほど角度は大きくなります(皮内→皮下→筋肉内)。静脈内は血管を突き抜けないよう浅く刺します。
- 作用の現れる速さは、静脈内>筋肉内>皮下の順です。皮内注射は主に検査・診断(ツベルクリン反応、皮内反応)に用い、膨疹を確認し、注射部位はもみません。
- 三角筋の筋肉内注射は肩峰から約3横指下に刺し、腋窩神経・橈骨神経を避けます。中殿筋はクラークの点や四分三分法で部位を決め、坐骨神経を避けます。
- 筋肉内注射の刺入後は、しびれ・電撃痛の有無を確認します。あれば直ちに抜針します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。