111PM023|第111回 看護師国家試験 過去問

点滴静脈内注射で輸液ポンプを使用する際に設定する項目はどれか。

解答・解説を見る

正解: 4

正答

4.1時間あたりの流量

この問題のポイント

輸液ポンプが何を制御する機器なのかを理解しているかを問う問題です。輸液ポンプは「決められた速さで、決められた量を送る」機械です。看護師が入力するのは**流量(mL/時)と予定量(mL)**です。薬剤名や日時はポンプに入力するものではなく、指示書・薬剤ラベル・記録で確認する情報だと区別できれば正答できます。

解説

輸液ポンプの役割と設定項目

輸液ポンプは、輸液を一定の速度で正確に送り出すための機器です。自然滴下はクレンメで滴下数を調節します。この方法では、患者の体位、腕の屈伸、輸液バッグの高さ、静脈圧などによって速度が変わりやすいという弱点があります。輸液ポンプは機械的に送液を制御するため、速度が安定します。そのため次のような場面で用いられます。

  • 速度の誤差が状態に直結する薬剤:カテコールアミンなどの循環作動薬、抗不整脈薬、インスリン、抗がん薬など
  • 水分管理が厳しい患者:小児、心不全の患者など
  • 一定量を持続投与したい輸液:中心静脈栄養など

ポンプが制御しているのは「どれだけの速さで」「どれだけの量を」送るかです。したがって設定する基本項目は次の2つです。

  • 流量:1時間あたりに送る量(mL/時)。本問の正答です。
  • 予定量:今回投与する総量(mL)。積算量が予定量に達すると完了アラームで知らせます。

流量と予定量が決まれば、所要時間は「予定量÷流量」で自動的に決まります。たとえば500mLを100mL/時で投与すれば5時間で終了します。終了時刻は、設定の結果として決まるものです。医師の指示が「500mLを5時間で」のように時間で出ている場合は、看護師が500÷5=100mL/時と換算して流量を入力します。

安全に使うための知識

輸液ポンプは正確である反面、設定を誤ると誤った量をそのまま確実に送り続けます。臨床では次の点が重要です。

  • 設定の確認:流量と予定量の入れ違いや、桁の誤りは典型的なインシデントです。入力後は指示と照合し、ダブルチェックを行います。開始前には前回の積算量をクリアします。
  • 専用の輸液セット:機種ごとに指定された輸液セットを使います。指定外のセットでは流量の精度が保証されません。
  • フリーフローの防止:輸液セットをポンプから外すときは、先にクレンメを閉じてからドアを開けます。クレンメを開けたまま外すと、輸液が制御されずに一気に流れ込む危険があります。
  • 刺入部の観察:ポンプは閉塞や気泡をアラームで知らせます。一方、血管外漏出では回路内圧が十分に上がらず、アラームが鳴らないまま送液が続くことがあります。刺入部の腫脹・発赤・疼痛・冷感を定期的に観察し、輸液の残量が設定どおりに減っているかも目で確かめます。
  • アラーム対応:消音だけで済ませてはいけません。閉塞・気泡・完了・バッテリー低下・ドア開放などの原因を確認し、対処してから再開します。移動時はバッテリー残量も確認します。

薬剤名・日時の確認と、シリンジポンプとの違い

薬剤名、投与日、投与時刻は、注射指示書、薬剤ラベル、患者のリストバンドなどで照合する情報です。いわゆる6R(正しい患者、薬剤、目的、用量、用法、時間)の確認として扱います。ポンプの設定とは別の段階の安全確認であり、両方がそろって初めて安全な点滴静脈内注射になります。

シリンジポンプは、シリンジに入れた少量の薬剤を、輸液ポンプよりさらに微量かつ精密に持続注入する機器です。こちらも流量をmL/時で設定します。シリンジや押し子の固定が不十分なままポンプを患者より高い位置に置くと、落差で薬液が急速に流れ込むサイフォニング現象が起こります。これを防ぐため、確実に固定し、刺入部と大きな落差が生じない高さに設置します。

選択肢の確認

1.薬剤名:薬剤名は注射指示書・薬剤ラベル・実施記録で患者と照合する情報であり、輸液ポンプに入力する基本の設定項目ではありません。準備時と接続時に6Rの「正しい薬剤」として確認します。なお、薬剤ライブラリを備えたスマートポンプでは薬剤を選択する機種もあります。ただしその場合も送液を決めるのは流量であり、本問で問われる基本の設定項目には当たりません。

2.終了時間:終了時刻はポンプに直接入力するものではなく、予定量÷流量によって結果として決まるものです。指示が「〇時間で投与」と時間で出ている場合でも、看護師が流量(mL/時)に換算して入力します。所要時間から流量を計算する手順と、ポンプへの入力項目とを混同しないことが大切です。

3.投与月日:投与する日付は指示書で確認し、実施記録に残す情報です。ポンプは日付をもとに送液を制御するわけではなく、設定項目ではありません。6Rの「正しい時間」に関わる確認として、ポンプ操作とは別に扱います。

4.1時間あたりの流量:正答。輸液ポンプは1時間あたりの流量(mL/時)で送液速度を制御します。予定量(mL)とともに入力する中心的な設定項目です。入力値は指示と照合し、桁や入れ違いの誤りがないかダブルチェックします。

覚えるポイント

  • 輸液ポンプの設定項目は**流量(mL/時)と予定量(mL)**です。所要時間=予定量÷流量で決まり、終了時刻は設定の結果です。
  • 自然滴下の計算式は、1分間の滴下数=総量(mL)×1mLあたりの滴数÷(時間×60)です。一般用は約20滴/mL、小児用(微量用)は約60滴/mLです。60滴/mLのセットでは、1分間の滴下数とmL/時の値が一致します。
  • 輸液ポンプは血管外漏出を検知できないことが多いため、刺入部の観察が欠かせません。アラームは消音で終わらせず、原因を確認して対処します。
  • 着脱時はクレンメを閉じてからドアを開けます(フリーフロー防止)。専用の輸液セットを使い、設定値はダブルチェックします。
  • 薬剤名や日時は6Rで確認する情報で、ポンプの設定とは別の安全確認です。
  • シリンジポンプは微量・精密な持続注入に用い、流量はmL/時で設定します。シリンジを確実に固定し、設置の高さに注意してサイフォニングを防ぎます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。

関連問題

← 111PM022111PM024 →
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)