111PM024|第111回 看護師国家試験 過去問
褥瘡の深達度分類で水疱形成のステージはどれか。
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正解: 2
正答
2.Ⅱ
この問題のポイント
褥瘡の深達度分類(NPUAP分類)で、損傷がどの組織の層まで及ぶかを問う問題です。判断の鍵は、水疱が「表皮が真皮から浮き上がった状態」であり、損傷が真皮までにとどまる部分層損傷に当たるという点です。発赤だけの段階、皮下組織に達する段階、骨・腱・筋が露出する段階との違いを、皮膚の層構造と結びつけて整理しておきましょう。
解説
深達度分類の考え方
褥瘡は、骨突出部などに持続的な圧迫やずれが加わり、軟部組織の血流が低下して虚血性の障害が起きたものです。深達度分類は、その損傷がどの層まで及んでいるかで重症度を段階分けするもので、国家試験では米国褥瘡諮問委員会(NPUAP、現在のNPIAP)の分類が主に問われます。皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織(脂肪層)で構成され、その下に筋膜・筋、腱、骨があります。この層構造に沿って考えると、各ステージを覚えやすくなります。
- ステージⅠ:皮膚の損傷はないが、指で押しても消退しない発赤がある
- ステージⅡ:真皮までの部分層損傷。漿液性の水疱、びらん、創底がピンク〜赤色の浅い潰瘍として現れ、黄色の壊死組織(スラフ)は伴わない
- ステージⅢ:皮下組織に達する全層損傷。皮下脂肪が見えることはあるが、骨・腱・筋は露出しない。ポケットを伴うことがある
- ステージⅣ:骨・腱・筋が露出する全層損傷。ポケットを伴いやすく、骨髄炎を合併することがある
- 判定不能:スラフや黒色壊死(エスカー)に覆われ、深さを判定できない
- 深部損傷褥瘡(DTI)疑い:皮膚は保たれているが紫色・栗色に変色している、または血液を含む水疱(血疱)がある
なお、2016年の改訂で用語は pressure injury に改められ、ステージ表記も算用数字になりましたが、各段階の考え方は変わっていません。
水疱がステージⅡになる理由
水疱は、表皮と真皮の結合が断たれて表皮が浮き上がり、その間に滲出液がたまったものです。皮膚が一見つながっていても組織の損傷は真皮レベルに及んでいるため、「皮膚損傷のない発赤」であるステージⅠとは区別されます。水疱が破れてできるびらんや浅い潰瘍も、同じステージⅡです。
注意したいのは水疱の中身です。透明〜淡黄色の漿液性水疱はステージⅡですが、血疱や紫色の変色は深部組織の損傷を示すDTIを疑う所見で、見た目より深い損傷が隠れており、後に深い潰瘍へ進むことがあります。
日本で用いられる評価(DESIGN-R)
日本褥瘡学会のDESIGN-R(出題当時はDESIGN-R2020)では、深さをd0(皮膚損傷・発赤なし)、d1(持続する発赤)、d2(真皮までの損傷)、D3(皮下組織までの損傷)、D4(皮下組織を越える損傷)、D5(関節腔・体腔に至る損傷)、DDTI(深部損傷褥瘡疑い)、DU(壊死組織で深さ判定不能)で評価します。小文字のdは浅い褥瘡、大文字のDは深い褥瘡を表し、水疱はd2に当たります。深さのほか、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケットも評価して経過を追います。
看護実践での活用
- 発赤の判定:指押し法やガラス板圧診法で圧迫し、白く消退すれば反応性充血、消退しなければステージⅠと判断します。この段階で圧迫を除けば回復が期待できるため、早期発見が重要です。
- 水疱のケア:水疱蓋は創面を保護する役割があるため、原則として破らずに残します。緊満して破れそうな場合は内容液だけを抜き、水疱蓋は残して被覆します。透明なフィルム材を使うと、はがさずに観察できます。
- 予防:ブレーデンスケールでリスクを評価し、体圧分散寝具、定期的な体位変換(30度側臥位など)、ずれ・摩擦の防止、失禁などによる湿潤の管理、栄養状態の改善を組み合わせます。
選択肢の確認
1.Ⅰ:この段階は、皮膚表面の損傷がなく、指で押しても白く消退しない持続する発赤があるだけの状態です。水疱は表皮が真皮から浮き上がった損傷を伴うため、この段階には含まれません。押して消退する発赤は反応性充血であって褥瘡ではないという鑑別も、この段階とあわせてよく問われます。
2.Ⅱ:正答。真皮までの部分層損傷の段階で、漿液性の水疱、びらん、創底がピンク〜赤色の浅い潰瘍として現れます。水疱蓋は創面の保護に役立つため、原則として破らずに観察と保護を行います。
3.Ⅲ:この段階は損傷が皮下組織まで達した全層損傷で、創底に皮下脂肪が見えることはありますが、骨・腱・筋は露出しません。水疱のように表皮と真皮の範囲にとどまる変化ではなく、組織が欠損した深い潰瘍であり、ポケットを伴うこともあります。
4.Ⅳ:この段階は骨・腱・筋が露出するほどの全層損傷で、骨髄炎などの重い合併症につながります。水疱とは損傷の深さがまったく異なります。ただし、血疱や紫色の変色はDTIを疑う所見で、経過とともにこの段階まで進行することがあるため、漿液性水疱と区別して観察することが大切です。
覚えるポイント
- NPUAP分類は層で覚えます。Ⅰ=消退しない発赤(皮膚損傷なし)、Ⅱ=真皮まで(水疱・びらん・浅い潰瘍)、Ⅲ=皮下組織まで(骨・腱・筋は見えない)、Ⅳ=骨・腱・筋が露出。
- 漿液性の水疱はⅡ、血疱や紫色・栗色の変色は深部損傷褥瘡(DTI)疑いで、見た目より深い損傷を想定します。
- 指押し法・ガラス板圧診法で消退すれば反応性充血、消退しなければⅠです。
- 水疱蓋は原則として破らずに保護し、緊満時は内容液だけを抜いて水疱蓋を残します。
- DESIGN-Rでは小文字dが浅い褥瘡、大文字Dが深い褥瘡で、d2がⅡに相当します。
- ブレーデンスケールは6項目で、点数が低いほど危険です。日本では病院で14点以下、介護施設・在宅で17点以下が危険の目安とされています。
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