112AM042|第112回 看護師国家試験 過去問
真空採血管とホルダーを用いて静脈血採血を実施するときに、駆血を解除するタイミングで適切なのはどれか。
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正解: 4
正答
4.ホルダーから真空採血管を抜去した後
この問題のポイント
真空採血管法で静脈血を採るとき、駆血帯をいつ外すかを問う問題です。判断の鍵は、採血管がホルダーに刺さっている間は、採血管の中身と患者の静脈が針を通してつながっているという点です。流入が止まった後に採血管を刺したまま駆血を解除すると、静脈圧だけが下がり、採血管内の血液や添加物が血管内へ逆流するおそれがあります。反対に、流入が終わる前に解除すると必要量が採れないことがあるため、採血管を抜去 → 駆血解除 → 抜針の順序が正しくなります。
解説
真空採血管法のしくみ
真空採血管法では、両端に針がある採血針をホルダーに取り付けて静脈に穿刺します。次に、内部が陰圧になった採血管をホルダーに差し込みます。ホルダー内の針が採血管のゴム栓を貫くと、陰圧によって血液が自動的に吸引されます。血液が入るにつれて採血管内の圧は上がり、静脈側の圧と釣り合ったところで流入が止まります。
駆血は静脈を怒張させて静脈圧を高め、陰圧がかかっても血管がつぶれずに血液が流れ込み続けるよう支えています。そのため、流入が終わる前に駆血を解除すると、流入が弱まったり血管が虚脱したりして、十分な量の血液が採れないことがあります。
逆流が起こる条件
採血管をホルダーに差し込んでいる間は、採血管の内容物と静脈が針を介して1本の管でつながった状態です。流入が止まった時点では、採血管内の圧は駆血中の高い静脈圧と釣り合っています。この状態のまま駆血帯を外すと、静脈圧だけが急に下がり、採血管内の圧の方が高くなります。すると、採血管内の血液や添加物が静脈内へ逆流する危険が生じます。また、採血管が穿刺部位より高い位置にあると、採血管内の血液や添加物が針の側へ流れて逆流しやすくなります。
添加物には、抗凝固薬(EDTA塩、クエン酸ナトリウム、ヘパリン)、解糖阻止剤(フッ化ナトリウム)、凝固促進剤、分離剤などがあります。採血管が汚染されていれば、感染の原因にもなります。わが国では真空採血管からの逆流による感染リスクが問題となり、滅菌された採血管の使用などについて注意喚起が行われた経緯があります。
逆流と、それに伴う感染を防ぐための基本は次のとおりです。
- 駆血帯は、最後の採血管をホルダーから抜去した後に外します。
- 採血中は腕を下向きに保ち、採血管が穿刺部位より低い位置になるようにします。
- 滅菌済みの採血管を使い、ホルダーは患者ごとに使い捨てにします。
一連の手順と各段階の理由
手順は、駆血 → 消毒 → 穿刺 → 採血管の差し込み → 流入が止まったら採血管を抜去(複数本なら順に交換)→ 最後の採血管を抜去 → 駆血解除 → 抜針 → 圧迫止血、です。
抜針より前に駆血を解除するのは、駆血したまま針を抜くと、静脈圧が高い状態で穿刺孔が開き、出血や皮下血腫を起こしやすいためです。この点は注射器採血でも同じで、必要量が採れたら駆血帯を外してから抜針します。抜針後は穿刺部を5分程度しっかり圧迫し、揉まないように説明します。
検査値を正しく得るための注意
駆血が長くなるほど、血管外へ水分が移動して血液が濃縮します。その結果、蛋白や、蛋白と結合する成分が偽高値になりやすくなるため、駆血は1分以内を目安にします。手を強く握ったり開いたりを繰り返させる(クレンチング)と、カリウムが偽高値になります。抗凝固薬入りの採血管は、採取後すぐに静かに転倒混和します。激しく振ると溶血し、赤血球内に多いカリウムやLDが偽高値になります。採血は「安全に採る」だけでなく「正しい値が出る検体を採る」技術です。この点を意識すると、手順の意味が理解しやすくなります。
選択肢の確認
1.採血針を皮膚に穿刺した直後:この時点ではまだ採血管を差し込んでおらず、採血は始まっていません。ここで駆血を解除すると静脈の怒張が消えて静脈圧が下がるため、採血管を差し込んでも血液が十分に流入しません。陰圧で血管が虚脱して採れなかったり、規定量に満たなかったりします。駆血は、採血を終えて採血管を抜去するまで保ちます。静脈内注射や点滴では、穿刺して逆血を確認したら駆血帯を外してから薬液を注入するため、この手順と混同しやすい選択肢です。
2.真空採血管内への血液の流入が始まったとき:流入の途中で駆血を解除すると静脈圧が下がり、流入が遅くなったり、血管が虚脱して途中で止まったりして、規定量に満たないことがあります。採血量が不足すると、添加物と血液の比率が崩れます。たとえば凝固検査用のクエン酸ナトリウム入り採血管は、薬液1に対して血液9の比率を前提に作られています。量が足りないとクエン酸が相対的に過剰となり、凝固時間が見かけ上延長するなど、正しい結果が得られません。流入が始まった後も、駆血は採血管を抜去するまで保ちます。
3.真空採血管内への血液の流入が終わったとき:流入が止まった時点では、採血管内と静脈内の圧がほぼ釣り合っており、採血管はまだホルダーに刺さっています。ここで駆血を解除すると静脈圧だけが下がり、採血管内の圧が上回って逆流が起こりやすくなります。見た目では採血が終わったように見えるため外したくなりますが、先に採血管をホルダーから抜く必要があります。
4.ホルダーから真空採血管を抜去した後:正答。採血管を抜去すると、採血管と静脈のつながりが断たれます。この後に駆血を解除すれば、静脈圧が下がっても採血管内の血液や添加物が逆流することはありません。また、流入が終わるまで駆血が保たれているので、必要量も確保しやすくなります。そのうえで抜針し、圧迫止血を行うのが正しい手順です。
覚えるポイント
- 真空採血管法の順序は「穿刺 → 採血管挿入 → 採血管抜去 → 駆血解除 → 抜針 → 圧迫止血」です。
- 流入が止まった採血管をホルダーに刺したまま駆血を解除すると、採血管から静脈へ逆流するおそれがあります。駆血解除は最後の採血管を抜去してから行い、採血中は腕を下向きにして採血管を穿刺部位より低く保ちます。
- 抜針は必ず駆血解除の後に行います(出血・皮下血腫の防止)。注射器採血でも同じです。
- 静脈内注射・点滴では、逆血を確認したら駆血を解除してから注入します。採血の手順と区別して覚えます。
- 駆血は1分以内が目安です。長時間の駆血やクレンチングは偽高値の原因になります。抗凝固薬入り採血管は静かに転倒混和し、激しく振ると溶血してカリウムやLDが偽高値になります。
- 凝固検査用(クエン酸ナトリウム:血液=1:9)や赤沈用(同1:4)の採血管は、必ず規定量まで採取します。
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