112AM041|第112回 看護師国家試験 過去問

輸血用血液製剤と保存温度の組合せで正しいのはどれか。

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正解: 2

正答

2.赤血球成分製剤 ― 2〜6℃

この問題のポイント

輸血用血液製剤の保存温度を問う問題です。保存条件は、その製剤で守りたい成分がどの温度で最も機能を保てるかで決まっています。赤血球と全血は冷蔵(2〜6℃)、血小板は室温(20〜24℃)で振とう、血漿は凍結(−20℃以下)という3区分を、理由と一緒に押さえれば確実に解けます。

解説

保存温度の3区分

日本赤十字社が供給する輸血用血液製剤には、赤血球成分製剤、血小板成分製剤、血漿成分製剤(新鮮凍結血漿)、全血製剤があります。保存温度は次の3つに分かれます。

  • 冷蔵(2〜6℃):赤血球成分製剤、全血製剤
  • 室温(20〜24℃)で水平振とう:血小板成分製剤
  • 凍結(−20℃以下):血漿成分製剤(新鮮凍結血漿)

それぞれの温度になる理由

赤血球成分製剤は、低温にすることで赤血球の代謝を抑えて機能の低下を遅らせ、細菌の増殖も抑えます。一方で、凍結させると細胞内外に氷の結晶ができて赤血球膜が壊れ、溶血します。そのため「冷やすが凍らせない」2〜6℃に保ちます。上限を超えると細菌増殖などで品質が劣化するため、上限も守ります。有効期間は従来、採血後21日間とされてきましたが、現在は採血後28日間に延長されています。全血製剤も赤血球を主な成分として含むため、同じく2〜6℃で保存します。

血小板成分製剤は、低温にさらされると血小板の形が変わって活性化し、輸血後すぐに体内から除かれてしまいます。その結果、止血効果が得られにくくなるため、室温の20〜24℃で保存します。また、静置すると代謝によって酸性に傾き凝集が起こるため、振とう器で水平に揺らし続け、バッグを通したガス交換を保ちます。室温は細菌が増えやすい条件でもあるため、有効期間は採血後4日間と非常に短くなっています。

**血漿成分製剤(新鮮凍結血漿)**は、凝固因子の補充に使う製剤です。凝固第Ⅴ因子や第Ⅷ因子などは不安定で失活しやすいため、採血後に凍結し、−20℃以下で保存します。有効期間は採血後1年間です。使用時には30〜37℃の恒温槽などで融解します。高温で温めるとたんぱく質が変性するため、熱湯での融解は行いません。融解後は速やかに使用し、再凍結はしません。

臨床での取り扱い

  • 血液製剤は、輸血部門などが温度記録計と警報装置を備えた専用の保冷庫・冷凍庫・振とう器で管理します。病棟の一般冷蔵庫には保管しません。
  • 払い出しを受けたら、速やかに使用します。受け取った血小板製剤を冷蔵庫に入れるのは典型的な誤りです。
  • 赤血球製剤は通常は加温しません。急速大量輸血や新生児の交換輸血などで加温が必要な場合も、専用の輸血用加温器を使います。お湯につける方法は用いません。
  • 移植片対宿主病(GVHD)を予防するため、放射線照射した赤血球製剤では、保存中に赤血球からカリウムが漏れ出して上清のカリウム濃度が上がります。腎機能障害のある患者、新生児、急速大量輸血では高カリウム血症に注意します。

以上から、正しい組合せは赤血球成分製剤と2〜6℃です。

選択肢の確認

1.血小板成分製剤 ― 2〜6℃:2〜6℃は赤血球成分製剤と全血製剤の保存温度です。血小板成分製剤は20〜24℃で水平に振とうしながら保存します。冷蔵すると血小板が活性化して形が変わり、輸血後すぐに除かれて止血効果が落ちます。「冷やせば長持ちする」と赤血球と同じように考えてしまう点が落とし穴です。

2.赤血球成分製剤 ― 2〜6℃:正答。赤血球成分製剤は2〜6℃で冷蔵保存します。低温で代謝と細菌増殖を抑えつつ、凍結による溶血を防ぐための温度です。有効期間は従来、採血後21日間でしたが、現在は28日間に延長されています。

3.血漿成分製剤 ― 20〜24℃:20〜24℃は血小板成分製剤の保存温度です。血漿成分製剤(新鮮凍結血漿)は、凝固因子の活性を保つため−20℃以下で凍結保存します。室温に置くと、不安定な凝固因子が失活してしまいます。また、30〜37℃は融解するときの温度であり、保存温度ではない点も区別しておきます。

4.全血製剤 ― 20〜24℃:全血製剤は赤血球を含むため、赤血球成分製剤と同じく2〜6℃で冷蔵保存します。室温の20〜24℃で保存するのは血小板成分製剤だけです。なお、現在は必要な成分だけを補う成分輸血が原則で、全血製剤が使われる場面は限られています。

覚えるポイント

  • 赤血球成分製剤・全血製剤は2〜6℃で冷蔵し、凍結させません(凍結すると溶血します)。
  • 血小板成分製剤は20〜24℃で水平振とうしながら保存し、有効期間は採血後4日間です。冷蔵庫には入れません。
  • 新鮮凍結血漿は−20℃以下で凍結保存し、有効期間は採血後1年間です。30〜37℃で融解し、融解後は速やかに使用して再凍結しません。
  • 血液製剤は専用の保冷庫・冷凍庫・振とう器で管理します。病棟の一般冷蔵庫には保管せず、払い出し後は速やかに使用します。
  • 照射赤血球製剤は保存中に上清のカリウム濃度が上がるため、腎障害のある患者、新生児、急速大量輸血では高カリウム血症に注意します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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