112AM019|第112回 看護師国家試験 過去問
全身清拭時に皮膚に触れるタオルの温度で適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
3.40〜42 ℃
この問題のポイント
全身清拭で、実際に皮膚に触れるときのタオルの温度を問う基礎看護技術の問題です。問題文の「皮膚に触れる」という言葉が鍵です。問われているのは準備する湯の温度ではなく、絞ったタオルを当てる瞬間の温度です。皮膚温より高くて心地よい温かさを与え、しかも熱傷を起こさない温度として、40〜42℃を選びます。
解説
問題文の手がかり
清拭の温度には次の2つがあり、両者を取り違えさせるのがこの問題のねらいです。本問は後者を問うています。
- 準備する湯の温度
- 皮膚に触れるタオルの温度
なぜ40〜42℃が適切なのか
- 心地よい温熱刺激になる:皮膚表面温度は部位によって異なりますが、体幹でおおむね30℃台前半〜半ばです。それより数℃高い40℃前後のタオルは、快い温かさとして感じられます。
- 血流の促進とリラクセーション:温熱刺激で末梢血管が拡張し、皮膚の血流が促されます。筋の緊張も和らぎます。
- 清潔効果が高まる:温かいタオルは皮脂や汚れを浮かせやすくします。
- 熱傷を防げる:皮膚に直接触れる温度が40℃台半ばを超えると、熱傷の危険が高まります。50℃前後では短時間の接触でも熱傷を起こし得ます。40〜42℃は、温熱効果と安全を両立できる範囲です。
湯を高めの温度で準備する理由
タオルは湯から出して絞り、広げて皮膚に当てるまでの間に、空気に触れて急速に冷えます。そのため湯は皮膚に当てる温度より高く、一般に50〜55℃程度で準備します。清拭中も湯が冷めたら差し湯をして温度を保ちます。
タオルを皮膚に当てる前には、看護師自身の前腕内側に当てて温度を確かめます。高温の湯を扱うので、絞る看護師の手の熱傷にも注意が必要です。
安全で安楽に行うための周辺知識
- 環境調整:室温は22〜26℃程度に整えます。すきま風を防ぎ、カーテンなどでプライバシーを守ります。
- 露出を最小限にする:バスタオルで身体を覆い、拭く部位だけを出します。
- 気化熱への対応:濡れた皮膚は、水分が蒸発するときに熱を奪われます。拭いたらすぐに乾いたタオルで水分を拭き取ります。
- 石けんの拭き残しを防ぐ:石けんを使った場合は、成分が残ると皮膚への刺激になるため、湯で絞ったタオルで十分に拭き取ります。
- 拭く方向:四肢は静脈還流を促すため末梢から中枢へ拭きます。腹部は腸の走行に沿って「の」の字に拭きます。
- 観察:実施前後にバイタルサイン、疲労感、皮膚の発赤や損傷を観察します。食事の直後は避けます。
- 熱さを訴えにくい人への配慮:高齢者、乳幼児、麻痺や糖尿病性神経障害などで感覚が低下した人、意識障害のある人は、熱さを訴えられないことがあります。看護師による温度確認が特に重要です。
臨床での意味
全身清拭は、入浴やシャワー浴ができない患者の清潔を保つケアです。同時に、皮膚を含む全身を観察する機会であり、関節を動かす機会やコミュニケーションの場にもなります。
選択肢の確認
1.20〜22 ℃:室温と同程度で、皮膚温よりかなり低い温度です。皮膚に触れると冷たく感じ、寒冷刺激になります。末梢血管が収縮するため、血流促進やリラクセーションの効果は得られません。拭いた後は気化熱も加わり、体温低下や悪寒を招きます。清拭時に整える室温(22〜26℃程度)の数値と紛らわしいので注意が必要です。
2.30〜32 ℃:皮膚表面温度とほぼ同じか、やや低い温度です。温かさを感じられず、ぬるく、かえって冷たく感じます。温熱による血管拡張や筋緊張の緩和は期待できず、拭いた後の気化熱で身体が冷えやすくなります。
3.40〜42 ℃:正答。皮膚に触れたときに心地よい温かさを感じられる温度です。末梢血管を適度に拡張させて血流を促し、筋緊張の緩和や清潔効果も得られます。熱傷を起こさない安全な範囲にも収まっています。
4.50〜52 ℃:皮膚に直接触れさせると、短時間でも熱傷を起こし得る温度です。皮膚の薄い高齢者や感覚が低下した人では特に危険です。この温度帯は皮膚に触れる温度ではなく、冷めることを見込んで準備する湯の温度の目安にあたるため、取り違えやすい選択肢です。
覚えるポイント
- 全身清拭では、皮膚に触れるタオルは40〜42℃にします。準備する湯は、冷めることを見込んで50〜55℃程度にします。
- 問題文が「皮膚に触れる温度」を問うのか、「準備する湯の温度」を問うのかを必ず読み分けます。
- 清拭の環境は室温22〜26℃程度とし、露出は最小限にします。拭いたらすぐに水分を拭き取り、気化熱による体温低下を防ぎます。
- タオルは看護師の前腕内側で温度を確かめてから当てます。高齢者、乳幼児、感覚障害のある人は特に熱傷に注意します。
- 入浴・洗髪・足浴など湯そのものが皮膚に触れるケアでは、湯温はおおむね40℃前後です。高めに準備する清拭の湯温との違いを整理しておきます。
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