111AM021|第111回 看護師国家試験 過去問

成人の静脈血採血で適切なのはどれか。

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正解: 4

正答

4.刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。

この問題のポイント

成人の静脈血採血の基本手技を、駆血帯の位置、刺入角度、抜針と圧迫の順序、止血時間の4つの場面で問う問題です。どの手順も「静脈をどう怒張させるか」「血管や神経の損傷をどう避けるか」「どう確実に止血するか」という目的から考えると判断できます。止血は、抜針後に刺入部を5分以上、もまずに圧迫するのが基本です。

解説

採血の流れと各手順の目的

静脈血採血は、次の順に進みます。各手順の「なぜそうするのか」をつかむことが、手技の問題を解く近道です。

  • 患者確認:フルネームで名乗ってもらうなどして本人を確認し、採血管やラベルと照合します。
  • 穿刺部位の選択:成人では肘窩の皮静脈を使い、肘正中皮静脈と橈側皮静脈を第一選択にします。尺側皮静脈は近くを上腕動脈と正中神経が走るため、ほかに適した血管がないときに限ります。点滴中の側、透析用シャントのある腕、乳房切除術でリンパ節郭清をした側は避けます。
  • 駆血:穿刺部位から7〜10cm中枢側に駆血帯を巻き、手を軽く握ってもらいます。目的は静脈の還流だけを止めて、末梢側の静脈を怒張させることです。動脈の血流までは止めないので、橈骨動脈の拍動が触れる程度の強さにします。駆血は1分以内を目安にします。長く続けると血液が濃縮し、検査値が変わってしまいます。また、手を何度も握ったり開いたりさせる動作(クレンチング)は血清カリウム値を上昇させるため行いません。
  • 消毒:アルコール綿で消毒し、乾燥してから刺入します。
  • 刺入:針の刃面を上に向け、皮膚を末梢側に軽く引いて血管を固定します。血管の走行に沿って、15〜20度程度の浅い角度で刺入します。
  • 刺入中の観察:しびれや電撃痛を訴えたら、神経損傷を疑って直ちに抜針します。気分不快、冷汗、顔面蒼白が出たら血管迷走神経反射を疑い、採血を中止して臥床させます。
  • 抜針:必要量を採ったら、手を開いてもらい、駆血帯を外してから抜針します。駆血したまま抜くと、静脈内圧が高いまま針穴から血液が漏れ、皮下出血を起こします。アルコール綿(または乾綿)は刺入部に軽く当てるだけにして針を抜き、抜いた直後から圧迫します。
  • 止血:刺入部を5分以上圧迫し、もまないよう説明します。
  • 後始末:使用済みの針はリキャップせず、ただちに耐貫通性の廃棄容器に捨てます。針刺し事故を防ぐための原則です。

止血の考え方

静脈は内圧が低い血管です。そのため、皮膚の針穴と血管壁の穴を一定時間しっかり押さえておけば、血小板血栓とフィブリンの形成によって閉じます。圧迫が短かったり、もんだりすると、固まりかけた血栓がはがれ、皮下に血液が漏れて内出血(皮下血腫)になります。

抗凝固薬や抗血小板薬を服用している人、血小板減少や凝固異常のある人は止血しにくくなります。こうした人では圧迫時間を延ばし、止血を確認してからその場を離れます。臨床では採血前に服薬状況を確認しておくことが、止血トラブルの予防につながります。

正答に至る判断

  • 選択肢1は、駆血帯の位置が穿刺部位に近すぎます。
  • 選択肢2は、刺入角度が急すぎます。
  • 選択肢3は、圧迫を始めるタイミングが早すぎます。

以上の3つは、いずれも基本手技から外れています。選択肢4は止血の基本そのものであり、これが正答です。

選択肢の確認

1.採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く。:駆血帯は穿刺部位から7〜10cm中枢側に巻くのが基本であり、2〜3cmでは近すぎます。刺入部のすぐそばに駆血帯があると、針やホルダーを操作する邪魔になります。消毒した範囲に駆血帯が触れて汚染するおそれもあります。逆に遠すぎると、十分な怒張が得られにくくなります。「7〜10cm」と「駆血は1分以内」をセットで覚えておきましょう。

2.血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。:静脈血採血の刺入角度は15〜20度程度の浅い角度であり、60度では急すぎます。「血管の走行に合わせる」という点は正しい内容です。しかし、皮下の浅いところを走る静脈に急角度で刺すと、針先が血管の後壁まで突き抜けてしまいます。その結果、血腫をつくったり、深部の神経や動脈を傷つけたりする危険があります。注射法の角度と混同しやすいので注意します。皮下注射は10〜30度、筋肉注射は45〜90度であり、静脈注射は採血と同じく浅い角度で刺入します。

3.採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。:刺入部を押さえつけたまま針を抜くと、針先が血管壁や皮下組織に押し当てられて組織を傷つけます。これが痛みや血管損傷の原因になります。正しくは、アルコール綿(または乾綿)を刺入部に軽く当てた状態で針を抜き、抜いた直後から圧迫します。「抜いた後すぐに押さえる」ことと「押さえながら抜く」ことは別の操作である、と区別しておきましょう。抜針の前に駆血帯を外しておくことも必須です。

4.刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。:正答。抜針後は刺入部を5分以上しっかり圧迫し、止血を確認します。もむと血栓がはがれて皮下出血が広がるため、もまずに押さえるよう患者にも説明します。抗凝固薬や抗血小板薬を服用している人、血小板減少のある人では、さらに長く圧迫します。

覚えるポイント

  • 駆血帯は穿刺部位の7〜10cm中枢側に巻き、駆血は1分以内にします。止めるのは静脈だけで、動脈は止めません。クレンチングはカリウム値上昇を招くので避けます。
  • 刺入は刃面を上にし、血管の走行に沿って15〜20度程度の浅い角度で行います。急な角度は血管後壁の貫通につながります。
  • 抜針の順序は「手を開く → 駆血帯を外す → アルコール綿を軽く当てて抜針 → 抜針後に圧迫」です。
  • 止血は5分以上、もまずに圧迫します。抗凝固薬・抗血小板薬の服用者や血小板減少のある人は長めに圧迫します。
  • 第一選択は肘正中皮静脈と橈側皮静脈です。尺側皮静脈は正中神経・上腕動脈に近いため避けます。しびれや電撃痛があれば直ちに抜針し、気分不快や冷汗があれば血管迷走神経反射を疑って中止し、臥位にします。
  • 使用済み針はリキャップせず、耐貫通性容器に廃棄します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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