112AM043|第112回 看護師国家試験 過去問

MRI 検査室に持ち込んでよいのはどれか。

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正解: 1

正答

1.耳栓

この問題のポイント

MRI検査室の特殊な環境で、どの物品が事故・故障・データ消失を起こすかを判断する問題です。特殊な環境とは、強力な静磁場、傾斜磁場による騒音、高周波による発熱の3つです。「磁性体を含むか」「電子機器か」「磁気で情報を記録しているか」「発熱の原因になるか」の視点で選択肢を見ると、正答が分かります。持ち込めるのは、非磁性の素材でできていて騒音対策にも使われる耳栓だけです。

解説

MRI検査室に存在する3つの危険要因

MRI(磁気共鳴画像)検査は、X線を使わず、強い磁場と電波で体内の水素原子核の信号をとらえて画像にする検査です。検査室には次の3つが存在し、それぞれ別の危険を生みます。

  • 静磁場:装置の周囲に強力な磁場が常にかかっています。超電導磁石を用いる装置では、撮像していない時間帯も磁場は消えていません。鉄などの強磁性体は強く引き寄せられ、高速で装置に向かって飛びます(吸引事故)。そのため、患者や職員が重大なけがをする危険があります。磁気カードの記録消去や電子機器の故障も、この磁場によって起こります。
  • 傾斜磁場:位置の情報を得るために磁場を高速で切り替えます。このときコイルが振動し、大きな打撃音が続きます。装置や撮像条件によっては100デシベルを超えることもあります。
  • 高周波(ラジオ波):撮像中に電波を照射します。そのため、金属や導電性の物体、皮膚どうしが接して作るループに電流が流れ、発熱や熱傷の原因になります。

持ち込みの可否をどう判断するか

持ち込めない物は、大きく次のように整理できます。

  • 金属・磁性体:ヘアピン、アクセサリー、腕時計、鍵、硬貨、ベルトのバックル、眼鏡、入れ歯の金属部分、使い捨てカイロ
  • 電子機器:携帯電話、補聴器
  • 磁気記録媒体:キャッシュカード、クレジットカード、診察券

本人の持ち物だけでなく、医療者が持ち込む物にも注意が必要です。はさみ、聴診器、院内用の携帯端末などがこれにあたります。酸素ボンベ、車椅子、ストレッチャー、点滴スタンドは、MRI対応の非磁性製品に替えて使います。検査中に急変した場合は、患者を検査室の外へ移動させてから蘇生処置を行うのが原則です。

看護師が行う検査前の確認と援助

  • 体内の金属や植込み機器の有無と手術歴を確認します。心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、人工内耳、脳動脈瘤クリップなどが該当します。ペースメーカーは従来は禁忌とされていましたが、現在は条件付きでMRIに対応した機種があります。機種と条件の確認が必要です。
  • 妊娠の可能性、閉所への不安、造影剤を使う場合のアレルギー歴や腎機能を確認します。
  • 検査着に着替えてもらい、所持品は検査室外のロッカーに預けてもらいます。化粧品(マスカラなど)、入れ墨・アートメイク、金属を含む貼付剤も熱傷の原因になりうるため確認します。
  • 撮像中は大きな音がすること、体を動かさないこと、手や足を組まないことを事前に説明します。耳栓やヘッドホン、緊急時の呼び出しブザーを渡し、不安の軽減を図ります。

選択肢の確認

1.耳栓:正答。一般的な製品は発泡ポリウレタンやシリコーンなどの非磁性素材でできています。そのため、磁場に引き寄せられることも、高周波で発熱することもありません。撮像中は傾斜磁場の切り替えによる大きな音が続くため、聴覚の保護と不安の軽減を目的に、むしろ装着を勧める物品です。施設で検査用のものやヘッドホンが用意されていることが多く、金属部品を含まない物を使います。

2.携帯電話:精密な電子機器であり、強い磁場や高周波によって故障するおそれがあります。さらに、スピーカーの磁石やねじなど磁性体の部品を含むため、装置に引き寄せられて飛ぶ危険もあります。同じ理由で、補聴器や腕時計も持ち込めません。医療者が携帯する院内用の通信端末も、検査室に入る前に外しておきます。

3.使い捨てカイロ:中身の主成分は鉄粉で、鉄が酸化するときの熱を利用した製品です。鉄粉は強磁性体なので磁場に引き寄せられ、さらに高周波によって発熱し、熱傷を起こすおそれがあります。背中や腰に貼っていると本人も忘れやすいため、検査前の確認で見落とさないようにします。寒さを訴える患者には、タオルケットなどの掛け物で対応します。

4.キャッシュカード:磁気ストライプに記録された情報が強い静磁場によって消え、使えなくなるおそれがあります。人体への直接の危険というより所持品の損傷の問題ですが、持ち込み禁止物に含まれます。クレジットカード、診察券、磁気式の乗車券も同様で、ICカードも故障のおそれがあります。財布の小銭や留め金も磁性体になりうるため、財布ごと検査室外に預けてもらいます。

覚えるポイント

  • MRI検査室の静磁場は撮像していないときも存在し、強磁性体は吸引事故を起こします。酸素ボンベ、車椅子、ストレッチャー、点滴スタンドはMRI対応品を使います。
  • 持ち込み禁止は「金属・磁性体」「電子機器」「磁気記録媒体」の3分類で整理します。具体的には、ヘアピン、時計、鍵、硬貨、補聴器、カイロ、携帯電話、キャッシュカード、診察券などです。
  • 高周波による熱傷の原因になるのは、カイロ、金属を含む貼付剤、化粧品、入れ墨・アートメイク、皮膚どうしの接触です。撮像中は手足を組まないよう説明します。
  • 撮像中は傾斜磁場による大きな騒音が生じるため、耳栓やヘッドホンを使います。緊急時の呼び出しブザーを持たせます。
  • 検査前には、体内金属・植込み機器(ペースメーカー、人工内耳、脳動脈瘤クリップなど)、手術歴、妊娠、閉所恐怖症を確認します。CTと異なり、MRIは放射線被ばくがありません。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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