112AM062|第112回 看護師国家試験 過去問

不妊症 infertility について正しいのはどれか。

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正解: 2

正答

2.検査に基礎体温測定がある。

この問題のポイント

不妊症の定義、原因の内訳、検査、治療、年齢の影響という基本事項を横断的に問う問題です。判断の鍵は、基礎体温測定が排卵の有無と黄体機能を把握する基本的な不妊検査だという知識です。あわせて、「不妊手術」は避妊のための手術で不妊症の治療ではないこと、女性の加齢が妊娠率を大きく下げることを押さえておけば、他の選択肢を確実に除外できます。

解説

定義と原因

不妊症は、妊娠を望む男女が避妊せずに性交しているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態をいいます。日本産科婦人科学会は、この一定期間を一般に1年としています。女性の年齢が高い場合などは、1年を待たずに検査や治療を始めることがあります。

不妊の原因は、女性側・男性側・その両方にあります。WHOの調査では、男性因子が関わる例(男女双方に原因がある例を含む)はおよそ半数と報告されています。

  • 女性因子:排卵因子(多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、極端な体重変化など)、卵管因子(クラミジア感染後の閉塞や癒着、子宮内膜症)、子宮因子(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ)、頸管因子、免疫因子(抗精子抗体)
  • 男性因子:造精機能障害(最も多い。精索静脈瘤など)、精路通過障害、性機能障害(勃起障害、射精障害)

検査を尽くしても原因が特定できないものを機能性不妊(原因不明不妊)といいます。割合は報告によって幅がありますが、おおむね1〜3割程度です。

検査

不妊検査は男女同時に進めるのが原則です。

  • 基礎体温測定:婦人体温計を使い、毎朝目覚めた直後に床の中で安静のまま舌下で測って記録します。排卵後は、黄体から分泌されるプロゲステロンが体温調節中枢に作用して体温が上がります。このため排卵のある周期では、低温相と高温相の二相性を示します。
    • 一相性なら無排卵を疑います。
    • 高温相が短い(おおむね10日未満)場合や、低温相との温度差が0.3℃未満の場合は黄体機能不全を疑います。
    • 侵襲がなく、自宅で費用をかけずに続けられるため、最初に用いられる検査であり、タイミング指導にも活用されます。
  • 内分泌検査:LH、FSH、エストラジオール、プロラクチン、黄体期のプロゲステロンを測定します。卵巣予備能の指標として抗ミュラー管ホルモン(AMH)も測ります。
  • 経腟超音波検査:卵胞の発育、子宮内膜の厚さ、筋腫や嚢腫の有無を確認します。
  • 子宮卵管造影:卵管の通過性と子宮腔の形を評価します。月経終了後から排卵前に行います。
  • フーナーテスト(性交後試験):排卵期の性交後に頸管粘液を採取し、運動精子の有無をみます。
  • 精液検査:精液量、精子濃度、運動率、形態を評価します。

治療

原因と年齢に応じて、タイミング法、排卵誘発、人工授精、生殖補助医療(体外受精・顕微授精)へと段階的に進めるのが基本です。女性の年齢が高いほど、早めに次の段階へ進みます。卵管閉塞、子宮内膜症、子宮筋腫などには、腹腔鏡や子宮鏡による手術が行われます。

出題当時(2023年2月)には、2022年4月から人工授精や生殖補助医療が公的医療保険の適用となっていました。生殖補助医療には、治療開始時の女性の年齢が43歳未満という要件が設けられています。年齢が治療効果を左右することは、制度にも反映されているのです。

看護の視点

検査や治療は長期化しやすく、身体的・経済的・精神的な負担が大きくなります。看護師には次のような支援が求められます。

  • 基礎体温の正しい測り方と記録の指導
  • パートナーと一緒に受診・検査を受けることの勧め
  • 夫婦関係や自己評価の揺らぎへの配慮
  • 不妊専門相談センターなど相談窓口の紹介

選択肢の確認

1.約6割は原因不明である。:検査で原因が特定できない機能性不妊は、報告によって幅はあるもののおおむね1〜3割程度で、約6割ではありません。多くの例では、女性因子、男性因子、またはその両方が見つかります。「男性因子が約半数に関与する」というデータと数字を混同しないよう注意します。

2.検査に基礎体温測定がある。:正答。二相性の有無で排卵の有無を、高温相の持続日数と温度差で黄体機能を推定でき、排卵時期の目安も得られます。ただし排卵日を正確に特定する検査ではないため、超音波検査やホルモン検査と組み合わせて評価します。

3.治療の1つに不妊手術がある。:不妊手術は、母体保護法に定められた、生殖腺を除去せずに生殖を不能にする手術です。卵管結紮術や精管結紮術などがあり、妊娠を防ぐための永久的な避妊法にあたります。妊娠を目指す不妊症治療とは目的が正反対です。不妊症に対して行う手術は、卵管形成術、腹腔鏡下の癒着剥離や子宮内膜症病巣の処置、子宮筋腫核出術などで、名称の似た「不妊手術」と取り違えないようにします。

4.女性の年齢は治療効果に影響しない。:女性は加齢とともに卵巣内の卵子の数が減り、質も低下して染色体異常が増えます。その結果、妊娠率が下がり、流産率が上がります。この傾向は30歳代後半から強まり、生殖補助医療でも40歳を超えると成功率が大きく低下します。年齢は治療法の選択や段階を進める時期を決める重要な要素で、保険適用の年齢要件にも反映されています。

覚えるポイント

  • 不妊症は、避妊せずに一般に1年妊娠しない状態です。検査と治療は男女双方に行い、男性因子は約半数に関与します。
  • 基礎体温は、起床直後に安静のまま舌下で測ります。判定の目安は次のとおりです。
    • 二相性なら排卵あり、一相性なら無排卵を疑う
    • 高温相が短い、または温度差が小さいと黄体機能不全を疑う
    • 高温相が3週間以上続くと妊娠を疑う
  • 主な検査は、ホルモン検査(AMHで卵巣予備能)、経腟超音波、子宮卵管造影(卵管通過性)、フーナーテスト、精液検査です。
  • 治療はタイミング法、排卵誘発、人工授精、体外受精・顕微授精の順に進め、女性の年齢が高いほど早めに段階を上げます。
  • 不妊手術(卵管結紮・精管結紮)は母体保護法に規定された避妊のための手術で、原則として本人と配偶者の同意が必要です。不妊症の治療ではありません。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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