112AM072|第112回 看護師国家試験 過去問
看護マネジメントのプロセスの「統制」はどれか。
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正解: 4
正答
4.病棟の1年間の業務評価に基づき看護活動の計画を修正する。
この問題のポイント
看護マネジメント(看護管理)を「計画・組織化・指揮・統制」という管理過程に分け、各選択肢がどの段階の行為かを見分ける問題です。判断の鍵は「業務評価に基づき」「計画を修正する」という言葉です。統制とは、実績を測って目標と比べ、ずれを正す働きを指します。「統制」から「締め付け」や「命令」を連想すると誤りやすいので、評価と是正の段階だと理解しておきましょう。
解説
管理過程の4段階
組織の目標を、人・物・資金・情報などの資源を使って達成するための働きを、段階ごとに整理したものが管理過程です。ファヨールが管理の要素を示したことが始まりです。看護管理の教科書では、一般に「計画 → 組織化 → 指揮 → 統制」の4段階で説明されます。人事(人員配置)を独立させて5段階とする考え方もあります。統制の結果が次の計画に生かされるため、この過程は循環します。
- 計画:目標を設定し、現状を分析して、達成の方法・手順・期限・評価指標を決めます。病棟目標の設定や年間計画の立案がこれにあたります。
- 組織化:計画を実行するための体制をつくります。業務を分け、担当者やチームを決め、役割・権限・責任を割り当てます。
- 指揮:人に働きかけて、実際に動かします。指示・命令、動機付け、調整、教育、コミュニケーションが含まれ、リーダーシップが発揮される段階です。
- 統制:活動の結果が目標どおりかを確かめ、ずれを正します。次の4つの流れで進みます。
- ①基準(目標値)を定める
- ②実績を測定する
- ③基準と比べて、差とその原因を分析する
- ④是正措置をとる
PDCAサイクルとの対応
管理過程は、PDCAサイクルと重ねると理解しやすくなります。対応はおおむね次のとおりです。
- Plan(計画)=計画
- Do(実行)=組織化と指揮
- Check(評価)とAct(改善)=統制
選択肢4は、1年間の業務評価(Check)をもとに計画を修正する(Act)行為です。したがって統制に該当します。
看護現場での統制の実際
統制を行うには、評価の基準を測定できる形にしておく必要があります。病棟では、次のような指標を目標値と比べます。
- 褥瘡の新規発生率
- 転倒・転落の件数
- インシデント報告の内容
- 平均在院日数
- 患者満足度
- 看護職員の超過勤務時間や離職率
目標に届かなかった場合は、原因がどこにあるかを分析します。計画そのものに無理があったのか、体制(組織化)に不備があったのか、実行の働きかけ(指揮)に課題があったのかを見極め、計画・体制・方法を修正します。統制は、達成度を確認するだけの段階ではありません。次の計画の出発点をつくる段階でもあります。
看護部門で広く用いられる目標管理(MBO)はドラッカーが提唱した手法で、組織の目標と個人の目標を結びつけ、職員自身による目標設定と自己評価(自己統制)を重視します。ここでも「目標設定 → 実行 → 評価・修正」という管理過程の流れが基本になっています。
選択肢の確認
1.看護職員の仕事への動機付けを行う。:職員の意欲を引き出して実際の行動につなげる働きかけなので、指揮にあたります。指揮には、指示・命令のほか、動機付け、調整、教育、コミュニケーションが含まれます。マズローの欲求階層説やハーズバーグの二要因理論などの動機付け理論は、この段階で活用される知識です。「統制=職員を管理して従わせること」と取り違えると選びやすいので注意します。
2.病棟の目標をもとに看護活動の年間計画を立案する。:目標を具体的な活動方針・手順・期限に落とし込む働きなので、管理過程の最初の段階である計画にあたります。選択肢4にも「計画」という語が含まれますが、こちらは評価を行う前の立案です。評価結果を受けて計画を直しているかどうかが、統制との分かれ目です。
3.褥瘡ケアの改善に取り組むための担当チームを構成する。:計画を実行するために人を集め、役割と責任を割り当てて体制をつくる働きなので、組織化にあたります。「褥瘡ケアの改善」という目的の言葉に引きずられず、「チームを構成する」という行為そのものに注目して判別します。人事(人員配置)を独立させる考え方をとっても、統制には該当しません。
4.病棟の1年間の業務評価に基づき看護活動の計画を修正する。:正答。1年間の実績を評価して目標との差を明らかにし、その結果に基づいて計画を修正するという是正措置をとっているので、統制にあたります。PDCAサイクルではCheck(評価)とAct(改善)に相当し、修正した計画は次年度の計画段階に引き継がれます。
覚えるポイント
- 管理過程は「計画 → 組織化 → 指揮 → 統制」の循環です。言い換えると「決める → 体制をつくる → 人を動かす → 評価して直す」です。
- 統制は「基準の設定 → 実績の測定 → 基準との比較 → 是正措置」の順に行います。キーワードは「評価」「測定」「比較」「修正」「是正」です。
- 指揮に含まれるのは、指示・命令、動機付け、調整、教育、コミュニケーションです。「統制=命令して従わせる」ではありません。
- 組織化は、業務の分担、チーム編成、役割・権限・責任の明確化です。
- PDCAとの対応は、Plan=計画、Do=組織化・指揮、Check・Act=統制です。
- 動機付け理論では、ハーズバーグの二要因理論がよく出題されます。動機付け要因は達成・承認・仕事そのもの・責任など、衛生要因は給与・作業条件・対人関係・監督・組織の方針などです。
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