111AM072|第111回 看護師国家試験 過去問

病棟で患者の口腔ケア改善に取り組むために担当チームを作った。これは看護管理のプロセスのどれか。

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正解: 4

正答

4.組織化

この問題のポイント

看護管理のプロセス(管理過程)を構成する4つの機能、計画・組織化・指揮・統制の区別を問う問題です。手がかりは「口腔ケア改善に取り組むために」「担当チームを作った」という表現です。改善するという目的はすでに決まっており、それを実行するために人を集めて役割の枠組みを整えた段階だと読み取れます。「人を配置し、役割・権限・責任を割り当てて体制を作る」機能が組織化だと理解していれば正答できます。

解説

看護管理のプロセスとは

看護管理とは、組織の目標を達成するために、人・物・金・情報・時間といった資源を効果的に活用する活動です。その進め方は、フランスの経営者ファヨールが示した管理の要素(計画・組織・命令・調整・統制)を源流とする「管理過程論」で説明されます。看護管理では一般に、計画 → 組織化 → 指揮 → 統制の4段階として整理されます。文献によっては人員配置(人事)を独立させて5段階とすることもありますが、国家試験ではこの4つの区別が問われます。各段階は一度で終わるものではありません。統制で得た評価が次の計画に反映され、循環していきます。

  • 計画:現状を分析して課題を明らかにし、目標、達成の方法、期限、評価指標を決める段階です。「何を、いつまでに、どのように達成するか」を決めます。
  • 組織化:計画を実行できるよう、業務を分担し、人を配置し、役割・権限・責任を明確にする段階です。必要な物品や時間、連絡経路もここで整えます。チームや委員会の編成、係の決定はここに含まれます。
  • 指揮:編成された人々に働きかけて、実際に活動を動かす段階です。方針や指示を伝える、動機づける、教育・指導する、メンバー間を調整する、リーダーシップを発揮する、といった行為が該当します。
  • 統制:活動の結果を目標や基準と照らして測定・評価し、ずれがあれば原因を分析して修正する段階です。

問題文からの判断

問題文では「患者の口腔ケア改善に取り組む」という目的が先にあり、そのために「担当チームを作った」とされています。目的に向けて人を集め、担当として割り当てる行為は、活動を実行するための体制づくりです。したがって組織化にあたります。問題文には、活動の中身を決める(計画)、メンバーを動かす(指揮)、結果を評価する(統制)にあたる記述はありません。

同じ取り組みを段階ごとに置き換えると、区別がはっきりします。

  • 計画:口腔ケアの実施状況や口腔内の汚染状況を調べ、統一した方法で実施するという目標と、方法・期限を決める
  • 組織化:担当チームを編成し、リーダー、手順書作成係、物品管理係などの役割を割り振る
  • 指揮:チームリーダーが方針を伝え、勉強会でスタッフに手技を指導し、勤務帯ごとの実施を調整する
  • 統制:実施率、口腔内の評価、誤嚥性肺炎の発生状況などを目標と比べ、方法を見直す

PDCAサイクルに当てはめると、計画がPlan、組織化と指揮がDo、統制がCheckとActにおおむね対応します。病棟の業務改善や委員会活動でこの枠組みを意識すると、体制が整わないまま始めてしまう失敗や、評価しないまま終えてしまう失敗を防げます。管理者だけでなく、改善活動に参加するスタッフにとっても役立つ考え方です。

選択肢の確認

1.計画:現状分析にもとづいて目標・方法・期限・評価指標を定め、「何をどう改善するか」を決める段階です。問題文では、改善に取り組むという目的はすでにあります。そのうえで実行のために人を集め、担当を決めた場面なので、この段階にはあたりません。「口腔ケアの実施状況を調査して改善目標を設定した」という記述であれば、この選択肢が正答になります。

2.指揮:メンバーに方針や指示を伝え、動機づけ、教育・指導し、互いの活動を調整して実際に活動を推し進める段階です。チームを作っただけの時点では、メンバーを動かす働きかけはまだ始まっていません。「リーダーが勉強会を開いて手技を指導した」「担当者に役割の遂行を促した」という記述であれば、この段階にあたります。チームに関わる行為という点で選択肢4と混同しやすいため、「体制を作る」のか「人を動かす」のかで区別します。

3.統制:活動の結果を目標や基準と比較して評価し、差があれば原因を分析して修正する段階です。問題文は取り組みを始める前の体制づくりの場面で、結果の測定や評価はまだ行われていません。「口腔ケアの実施率や誤嚥性肺炎の発生状況を集計して方法を見直した」という記述であれば、この段階にあたります。語感から命令や取り締まりを連想しがちですが、管理過程では「評価と修正」を意味する点を押さえておきます。

4.組織化:正答。立てた目標を実行に移せるように、業務を分担し、人を配置して役割・権限・責任を割り当て、連絡経路や必要な資源を整える段階です。口腔ケア改善のために担当チームを編成することは、実行のための人的な体制づくりそのものであり、この段階にあたります。委員会やプロジェクトチームの設置、係・担当者の決定、看護方式の整備もここに含まれます。

覚えるポイント

  • 看護管理のプロセスは「計画 → 組織化 → 指揮 → 統制」の循環で、統制の結果は次の計画に生かされます。
  • 計画は「決める」段階です(現状分析、目標・方法・期限・評価指標の設定)。
  • 組織化は「体制を作る」段階です(チーム・委員会の編成、人員配置、役割・権限・責任の割り当て、資源の準備)。
  • 指揮は「人を動かす」段階です(指示・伝達、動機づけ、教育、調整、リーダーシップ)。
  • 統制は「評価して直す」段階です(結果と目標の比較、原因分析、修正)。命令や規制という意味ではありません。
  • PDCAサイクルでは、計画がP、組織化と指揮がD、統制がCとAにおおむね対応します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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