111AM071|第111回 看護師国家試験 過去問
チューブ型の胃瘻の管理について、介護する家族に看護師が指導する内容で正しいのはどれか。
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正解: 1
正答
1.「栄養剤の注入後に白湯を注入してください」
この問題のポイント
在宅でチューブ型胃瘻を管理する家族への指導内容を問う問題です。判断の軸は、チューブの閉塞の予防、交換を行う人、瘻孔周囲の皮膚と胃壁への圧迫の回避、下痢の原因と対処の4点です。「チューブ型」という条件からは、体外に長いチューブがあり、内腔に栄養剤が残りやすいことを意識します。
解説
胃瘻カテーテルの種類
胃瘻カテーテルは、胃の中で抜けないように留める内部ストッパーの形と、体の外に出ている部分の形の組み合わせで分類されます。
- 内部ストッパーの形:バンパー型は抜けにくく、交換の間隔が長いです。バルーン型は蒸留水で膨らませて留めるため交換は容易ですが、バルーンが破れると抜けることがあります。
- 体外部分の形:ボタン型は腹壁の上に小さな本体があるだけなので目立ちにくく、引っ張られにくいです。チューブ型は体外に長いチューブが出ているため接続しやすい一方、引っ張られやすく、内腔が汚れやすいという特徴があります。
チューブ型は栄養剤の通り道が長いため、チューブ内の汚染と閉塞への対策が特に重要になります。
注入後の白湯
栄養剤がチューブ内に残ると、逆流した胃酸でタンパク質が固まったり、残った栄養剤で細菌が増えたりして、閉塞や汚染の原因になります。そのため、栄養剤の注入が終わったら白湯を注入し、チューブ内を洗い流します。薬を注入したあとも同じように白湯を通します。閉塞するとカテーテルを交換しなければならなくなるため、これは家族が毎回行う最も基本的な手技です。
交換を行う人と抜けたときの対応
胃瘻カテーテルの交換は医行為です。原則として医師が行い、特定行為研修を修了した看護師が手順書に基づいて行う場合もあります。交換の目安は、バンパー型でおよそ4〜6か月、バルーン型でおよそ1〜2か月です。家族に指導するのは交換の方法ではありません。抜けてしまったときの対応を伝えます。瘻孔はカテーテルが抜けると短い時間で狭くなり始めるため、すぐに医療機関へ連絡するよう伝えます。
固定の仕方と瘻孔周囲のケア
チューブを同じ位置・同じ角度で固定し続けると、同じ場所に圧迫が続きます。その結果、瘻孔周囲の皮膚潰瘍や不良肉芽が生じます。また、内部ストッパーが胃粘膜に食い込み、胃壁の中に埋まり込むバンパー埋没症候群の原因にもなります。予防のために次のように指導します。
- 外部ストッパーと皮膚の間に少しゆとり(あそび)をもたせます。
- 1日1回程度、チューブを軽く回転させたり上下に動かしたりして、スムーズに動くことを確かめます。
- チューブをテープで腹部に留めるときは、貼る位置を毎回少しずらし、チューブが引っ張られないようにします。
- チューブの目盛りを見て、挿入の長さが変わっていないかを確認します。
瘻孔周囲は、石けんを泡立てて洗い、微温湯で流したあと、よく乾かします。発赤・腫脹・滲出液・栄養剤の漏れ・肉芽の有無を観察し、異常があれば相談するよう伝えます。瘻孔が安定していれば、覆わずにそのまま入浴できます。
下痢への対処
経管栄養中の下痢には、次のような原因があります。
- 注入速度が速い
- 栄養剤が冷たい
- 栄養剤の浸透圧が高い
- 栄養剤や容器の細菌汚染
- 抗菌薬などの薬剤
家族には、速度を落とすこと、栄養剤を常温で使うこと、容器を清潔に保つことを指導します。続く場合は医師や看護師に相談するよう伝え、栄養剤の種類の変更や半固形化栄養剤の使用を検討します。下痢が続くと脱水を起こしやすいため、尿量や口の渇きも観察します。
誤嚥の予防
胃瘻でも、胃食道逆流による誤嚥性肺炎は起こります。注入中と注入後30分〜1時間程度は、上半身を30度以上挙上した姿勢を保ちます。口から食べていなくても、唾液の誤嚥を防ぐために口腔ケアが必要です。
在宅での指導では、手技を実際に一緒に行って確認します。また、閉塞・抜去・発熱などが起きたときの連絡先を家族と共有しておくことが、安全な療養の継続につながります。
選択肢の確認
1.「栄養剤の注入後に白湯を注入してください」:正答。チューブ内に残った栄養剤は、凝固による閉塞や細菌繁殖の原因になります。そのため、注入後に白湯を通して内腔を洗い流します。薬剤を注入したあとも同様に行います。
2.「胃瘻のチューブはご家族で交換してください」:胃瘻カテーテルの交換は医行為であり、医師(または特定行為研修を修了した看護師が手順書に基づいて)が行うため、誤りです。家族に指導するのは、交換ではなく日常の観察とケアです。抜けたときにすぐ医療機関へ連絡することも伝えます。家族が行える「吸引」や「注入」と混同しないよう注意します。
3.「胃瘻のチューブは同じ位置に固定してください」:同じ位置で固定し続けると、皮膚潰瘍や不良肉芽、バンパー埋没症候群を招くため、誤りです。正しくは、外部ストッパーと皮膚の間にゆとりをもたせます。毎日チューブを回転・上下させ、テープで留める位置も変えます。「抜けないようにしっかり固定する」という発想と取り違えやすい選択肢です。
4.「下痢のときは栄養剤の注入速度を速めてください」:注入速度が速いことは経管栄養による下痢の代表的な原因なので、速めると悪化し、誤りです。下痢のときは速度を遅くし、栄養剤を常温にします。続く場合は栄養剤の種類の変更を相談します。
覚えるポイント
- 経管栄養・胃瘻では、栄養剤や薬の注入後に白湯を通してチューブ内を洗い流し、閉塞と汚染を防ぎます。
- 胃瘻カテーテルの交換は医行為です。目安はバンパー型でおよそ4〜6か月、バルーン型でおよそ1〜2か月です。抜けたら瘻孔が狭くなるため、すぐに医療機関へ連絡します。
- 固定は「ゆとりをもたせ、毎日回して動かす」が原則です。同じ位置で圧迫し続けると、皮膚障害やバンパー埋没症候群の原因になります。
- 下痢の主な原因は、注入速度が速い、栄養剤が冷たい、浸透圧が高い、細菌汚染、薬剤です。対処は速度を落とすこと、常温にすることです。
- 注入中と注入後30分〜1時間程度は、上半身を30度以上挙上して逆流・誤嚥を防ぎます。口から食べていなくても口腔ケアは必要です。
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