112PM036|第112回 看護師国家試験 過去問
針刺し事故を防止する方法で適切なのはどれか。
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正解: 4
正答
4.針専用の廃棄容器は容量が8割程度に達したら処分する。
この問題のポイント
針刺し事故がどの場面で起こるかを踏まえ、「使用済みの針が人の皮膚に刺さる機会を減らす対策」を選ぶ問題です。選択肢には、手袋着用や皮膚消毒のように感染対策としては正しい行為も含まれています。そのため、感染予防一般と針刺しそのものの防止を区別できるかが鍵になります。リキャップの禁止と廃棄容器の扱い方は、繰り返し出題されるテーマです。
解説
針刺し事故が起こりやすい場面
針刺し事故の多くは、使用済みの針を患者から抜いてから廃棄容器に収めるまでの間に起こります。起こりやすいのは次のような場面です。
- 抜いた針にキャップをかぶせ直すとき
- 針を持ったまま移動するとき
- トレイやベッド上に置いた針を片付けるとき
- 満杯に近い廃棄容器に針を押し込むとき
- 他の人が捨て忘れた針に触れるとき
このため防止策の中心は、使用後の針を手で扱う操作と時間をできるだけ短くすることです。
基本となる防止策
- リキャップをしない:キャップをかぶせる動作では、針先がキャップを持つ手に向かうため、刺す危険が高くなります。抜針後はキャップをせず、そのまま廃棄容器に入れます。
- 使用した本人がその場で捨てる:耐貫通性の専用廃棄容器をベッドサイドなど手の届く位置に持参し、抜針後すぐに捨てます。針を他の人に手渡したり、トレイに放置したりしません。
- 廃棄容器は8割程度で交換する:容器の口近くまで針が溜まると、投入口付近に針先が露出します。さらに、押し込もうとして手を近づけたり、ふたを閉めたりする際に刺しやすくなります。そのため8割程度(容器に表示線があればその線)に達したら、それ以上入れずに密閉して廃棄します。
- 安全機構付き器材を使う:針カバーが付いた翼状針や、安全装置付きの留置針などを使い、使用直後に安全機構を作動させます。
- 作業環境を整える:十分な照明と作業スペースを確保し、患者が急に動く可能性がある場合は協力者を得ます。
感染対策との区別
採血時の手袋着用は、標準予防策に基づく正しい行為です。ただし目的は、血液に皮膚が直接触れることを防ぐ点にあります。針は手袋を容易に貫通するため、刺さることそのものは防げません。針が手袋を通過するときに針表面の血液がある程度ぬぐわれ、体内に入る血液量が減るとされていますが、これは被害を小さくする効果であり、事故の防止ではありません。
採血部位のアルコール消毒は、患者側の刺入部からの細菌感染を防ぐための処置です。医療者の針刺しとは関係がありません。
万一刺してしまったとき
直ちに流水と石けんで十分に洗い流し、速やかに上司や感染管理部門へ報告します。そのうえで、感染源となった患者のHBV・HCV・HIVの感染状況と、自分の抗体の状況を確認し、必要に応じて予防的な処置を受けます。
- HBVに対する免疫がない場合は、HBs抗体含有免疫グロブリンやHBワクチンを投与します。
- HIVの場合は、抗HIV薬の予防内服をできるだけ早く開始します。
事故後の対応は時間との勝負です。針刺しによる感染の起こりやすさは、一般にHBVが最も高く、HCV、HIVの順に低くなります。このため、医療従事者はあらかじめHBワクチンを接種しておくことが重要です。
選択肢の確認
1.採血時に手袋を着用する。:採血時の手袋着用は、標準予防策として血液に直接触れないために行うもので、行為としては適切です。しかし針は手袋を容易に貫通するため、刺さる事故そのものは防げません。手袋をしていても、リキャップをしない、すぐ廃棄するといった針の扱い方の注意は変わりません。「感染防止策」を「針刺し防止策」と取り違えやすい選択肢です。
2.採血部位をアルコールで消毒する。:刺入部位のアルコール消毒は、皮膚の菌を減らし、患者の刺入部からの感染を防ぐための処置です。医療者に針が刺さる事故の防止とは目的が異なります。消毒の場面では、アルコール過敏の有無を確認することや、十分に乾燥してから穿刺することが問われやすいので、あわせて整理しておきます。
3.抜針した採血針はキャップをして破棄する。:使用後の針にキャップをかぶせ直すリキャップは、針先がキャップを持つ手に向かうため、針刺し事故の主要な原因とされ、原則として禁止されています。抜針後はキャップをせず、使用者がその場で専用廃棄容器に入れます。安全装置付き器材の安全機構を作動させる操作は、リキャップとは別のものです。
4.針専用の廃棄容器は容量が8割程度に達したら処分する。:正答。容器が満杯に近づくと、投入口付近で針先が露出したり、押し込む・ふたを閉めるといった操作の際に手を刺したりする危険が高まります。そのため8割程度で投入をやめ、密閉して廃棄します。容器は耐貫通性のものを用い、処置を行う場所の近くに置きます。
覚えるポイント
- 針刺し事故は、使用後の針を扱う場面(リキャップ、移動、片付け、廃棄)で起こりやすく、防止の基本は「手で扱う操作を減らす」ことです。
- リキャップは原則禁止です。使用者自身が、その場で、耐貫通性の専用容器に直接捨てます。
- 針の廃棄容器は8割程度で交換します。容器は処置の場所(ベッドサイド)へ持参します。
- 手袋は血液への接触を防ぐ標準予防策、皮膚消毒は患者の感染予防であり、どちらも針刺しの防止策ではありません。
- 感染性廃棄物のバイオハザードマークは、黄色が鋭利なもの(注射針など)、赤色が液状・泥状のもの(血液など)、橙色が固形状のもの(血液の付着したガーゼなど)です。
- 針刺し後は、流水と石けんで洗浄し、速やかに報告します。感染源のHBV・HCV・HIVを確認し、必要な予防処置を受けます。感染の起こりやすさはHBV>HCV>HIVです。
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