112PM037|第112回 看護師国家試験 過去問

安楽な姿勢を保持する体位と枕を挿入する位置の組合せで適切なのはどれか。

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正解: 2

正答

2.側臥位 ― 胸腹部

この問題のポイント

体位ごとに、どこに隙間ができるか、どこが重みで落ち込んで負担になるかを考え、枕で支える部位を判断する問題です。側臥位では上側の上肢が体の前へ落ち込み、肩と胸郭に負担がかかります。そのため胸腹部の前に枕を置き、上側の上肢を乗せて支えます。枕は「下を向いて浮いている部位」や「支えがないと落ち込む部位」に入れる、という原則で各体位を整理できます。

解説

安楽な体位保持の原則

安楽な体位を保つ(ポジショニング)ための基本は次のとおりです。

  • 支持基底面を広くし、重心を低くして体を安定させる
  • 体とマットレスの間の隙間を枕やクッションで埋め、体重を分散させて局所の圧迫を避ける
  • 関節を良肢位(機能的で無理のない角度)に保ち、筋の緊張を和らげる
  • 胸郭や腹部を圧迫せず、呼吸を妨げない

枕は、浮いている部位や重みで引っ張られる部位を下から支えるために入れます。したがって、枕を入れる位置は「その体位でどこが落ち込み、どこに隙間ができるか」で決まります。

側臥位

側臥位で上側の上肢を支えないと、上肢が体の前に落ち込みます。すると肩関節が前下方へ引かれ、上肢の重みで胸郭が圧迫されて呼吸もしにくくなります。胸腹部の前に枕を置いて上側の上肢を乗せると、肩と上肢の重みが支えられ、体幹が前へ倒れ込むことも防げます。あわせて次の工夫を組み合わせます。

  • 上側の下肢は股関節と膝関節を軽く曲げて前に出し、その下に枕を入れる。両膝が重ならないため骨突出部どうしの圧迫を避けられ、股関節の内転・内旋も防げる
  • 背部に枕を当て、後方へ倒れるのを防ぐ
  • 下側の肩を少し前へ引き出し、肩の圧迫を避ける

なお、90度の側臥位では大転子などの骨突出部に圧が集中しやすくなります。褥瘡予防では、背部から殿部に枕を当てて保持する30度側臥位が用いられます。

他の体位で枕を入れる位置

  • Sims位:側臥位からさらに前方へ傾けた半腹臥位です。下側の上肢を背側へ回し、上側の上肢と下肢は曲げて前に出します。体重が前方にかかるため、枕は上側の上肢の下(胸の前)と、上側の下肢の下に入れます。
  • 半座位(ファウラー位):上体を約45度起こした体位です(約15〜30度のものはセミファウラー位)。体が足側へずり落ちやすいため、膝窩部に枕を入れて膝を軽く曲げ、ずり落ちと腹壁の緊張を防ぎます。足底を支えたり、上肢の下に枕を入れて肩の負担を減らしたりもします。
  • 腹臥位:顔を横に向けます。腹部(必要に応じて胸部)の下に薄い枕を入れて、胸郭・腹部の圧迫と腰椎の過度な前彎を防ぎます。下腿の下(足関節付近)にも枕を入れ、足関節の底屈(尖足)を防ぎます。

どの体位でも、同じ姿勢を長く続けると褥瘡、拘縮、循環障害を招きます。定期的な体位変換と皮膚の観察が欠かせません。臨床では、呼吸器疾患、麻痺、骨折などの状態や本人の訴えに合わせて、枕の位置や大きさを調整します。

選択肢の確認

1.Sims〈シムス〉位 ― 腰背部:Sims位は前方へ傾いた半腹臥位で、体重は前方にかかります。そのため枕は上側の上肢の下と上側の下肢の下に入れて支えます。腰背部は天井側に位置するため、枕を入れても姿勢の保持には役立ちません。背部に枕を当てるのは、後方へ倒れやすい側臥位(特に30度側臥位)の方法なので、取り違えないようにします。Sims位は、肛門・直腸の診察や処置、妊娠後期の休息などで用いられます。

2.側臥位 ― 胸腹部:正答。側臥位では上側の上肢が体の前に落ち込み、肩関節への負担と胸郭の圧迫が生じます。胸腹部の前に枕を置いて上側の上肢を乗せると、肩と上肢の重みが支えられます。体幹が前へ倒れ込むのも防げるため、呼吸が楽になります。上側の下肢の下や背部にも枕を入れると、さらに安定します。

3.半座位 ― 前胸部:半座位は上体を約45度起こして背もたれに寄りかかる体位で、前胸部には支えが要りません。ずり落ち防止と腹壁の緊張緩和のため、膝窩部に枕を入れて膝を軽く曲げるのが基本です。前胸部に枕を当てるのは起坐位の場合です。呼吸困難時に上体を起こして前かがみになり、オーバーベッドテーブル上の枕を抱えて寄りかかる方法なので、混同しないようにします。

4.腹臥位 ― 膝窩部:腹臥位では膝窩部が天井側を向いているため、下から支える必要がありません。腹臥位で枕を入れるのは、腹部や胸部の下と下腿の下です。腹部や胸部の枕は胸郭・腹部の圧迫と腰椎の過度な前彎を防ぎ、下腿の枕は尖足を防ぎます。膝窩部に枕を入れるのは、仰臥位や半座位で膝を軽く曲げる場合です。

覚えるポイント

  • 枕は「体と寝具の隙間」と「重みで落ち込む部位」を支える位置に入れ、体重を分散させて関節を良肢位に保ちます。
  • 側臥位は、胸腹部の前(上側上肢を乗せる)、上側下肢の下(両膝を重ねない)、背部に枕を入れます。褥瘡予防には30度側臥位が適しています。
  • Sims位は前方へ傾いた半腹臥位で、上側の上肢の下と上側の下肢の下に枕を入れます。
  • 仰臥位と半座位は膝窩部に枕を入れ(ずり落ち・腰部や腹壁の緊張予防)、足底も支えます(尖足予防)。
  • 腹臥位は顔を横に向け、腹部・胸部の下と下腿の下(尖足予防)に枕を入れます。
  • 前胸部で枕を抱えて前傾するのは起坐位で、呼吸困難時に呼吸を楽にするための体位です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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