112PM059|第112回 看護師国家試験 過去問

閉経について正しいのはどれか。

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正解: 1

正答

1.閉経すると腟の自浄作用が低下する。

この問題のポイント

閉経の診断基準、日本人の平均閉経年齢、閉経に伴うホルモン変化とその体への影響を問う知識問題です。判断の軸は「閉経=卵巣機能の停止=エストロゲンの低下」です。腟の自浄作用がエストロゲンに支えられていることを知っていれば、正答を選べます。あわせて、12か月・約50歳という数値を正確に覚えているかも問われています。

解説

閉経の定義と診断

閉経とは、卵巣の機能が衰えて消失し、月経が永久に止まった状態です。月経が止まった時点では、まだ閉経とは判断できません。12か月以上連続して無月経であることを確認してから、最後の月経(最終月経)の時点にさかのぼって閉経と判断します。つまり閉経は、後から振り返って診断される状態です。

閉経の前後それぞれ5年、合わせて約10年間を更年期と呼びます。この時期に現れる症状のうち、器質的な病気では説明できないものを更年期症状といいます。そのうち日常生活に支障をきたすものを更年期障害といいます。

日本人の閉経の平均年齢は約50歳です。個人差が大きく、40歳代半ばから50歳代半ばに多く分布します。40歳未満で卵巣機能が低下して無月経となるものは、早発卵巣不全として区別されます。

ホルモンの変化

加齢とともに卵巣内の卵胞は減少し、やがて枯渇します。すると、発育する卵胞から分泌されていたエストロゲン(卵胞ホルモン)が大きく低下します。閉経前のエストロゲンの主体はエストラジオールです。また、排卵が起こらなくなって黄体が形成されないため、排卵後の黄体から分泌されていたプロゲステロン(黄体ホルモン)も低下します。

エストロゲンは視床下部・下垂体に負のフィードバックをかけています。閉経ではこれが外れるため、下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)、すなわちFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が上昇します。特にFSHの上昇が目立ちます。

閉経後もエストロゲンがゼロになるわけではありません。副腎などに由来するアンドロゲンが脂肪組織で変換され、エストロンが少量つくられます。閉経後のエストロゲンは、このエストロンが主体になります。それでも閉経前と比べると非常に低い水準です。「閉経後はエストロゲン低値、ゴナドトロピン高値」を基本の組み合わせとして押さえます。

腟の自浄作用とエストロゲン

性成熟期の腟では、次の仕組みで自浄作用が保たれています。

  • エストロゲンの作用で腟上皮が厚く保たれ、上皮細胞にグリコーゲンが蓄えられます。
  • 腟の常在菌であるデーデルライン桿菌(乳酸桿菌)が、このグリコーゲンを分解して乳酸をつくります。
  • 乳酸によって腟内がpH4前後の酸性に保たれ、雑菌の増殖が抑えられます。

閉経でエストロゲンが減ると、腟上皮は薄く萎縮し、グリコーゲンも乳酸桿菌も減ります。その結果、腟内のpHが中性に近づき、自浄作用が低下します。

このため閉経後の女性には萎縮性腟炎(老人性腟炎)が起こりやすくなります。症状は、帯下の増加、外陰や腟の乾燥感・かゆみ、性交痛、少量の出血などです。尿道や膀胱の粘膜もエストロゲンの影響を受けるので、尿路感染症、頻尿、尿失禁も起こりやすくなります。これらは閉経関連泌尿生殖器症候群としてまとめて扱われることがあります。

エストロゲン低下は全身にも影響します。

  • ほてり(ホットフラッシュ)・発汗などの血管運動神経症状
  • 不眠・抑うつなどの精神症状
  • 骨吸収の亢進による骨粗鬆症
  • LDLコレステロールの上昇と動脈硬化の進行

看護では、これらの変化を本人が理解できるよう情報を提供します。そのうえで、陰部を清潔に保ちつつ洗いすぎないこと、カルシウムとビタミンDの摂取、運動習慣、定期的な検診を支援します。

治療のひとつにホルモン補充療法(HRT)があります。子宮のある女性にエストロゲンだけを投与すると、子宮内膜増殖症や子宮体癌のリスクが高まります。そのため黄体ホルモンを併用するのが原則です。

選択肢の確認

1.閉経すると腟の自浄作用が低下する。:正答。腟の自浄作用は、エストロゲンによって腟上皮に蓄えられたグリコーゲンを、デーデルライン桿菌が乳酸に分解することで成り立っています。この乳酸が腟内を酸性に保ちます。閉経でエストロゲンが減るとこの仕組みが働かなくなり、腟内のpHが上昇して自浄作用が低下します。その結果、細菌が増殖しやすくなり、萎縮性腟炎(老人性腟炎)などを起こしやすくなります。

2.閉経後はエストロゲン分泌が増加する。:閉経後は卵巣の卵胞が枯渇するため、エストロゲンの分泌は増加ではなく著しく減少します。閉経後に上昇するのは、負のフィードバックが外れた下垂体から分泌されるFSHとLHです。「上がるのはゴナドトロピン、下がるのは卵巣ホルモン」と、増減の向きを取り違えないようにします。

3.日本人の閉経の平均年齢は55歳である。:日本人の閉経の平均年齢は約50歳で、55歳は平均より明らかに遅い年齢です。「50歳前後で閉経し、その前後5年ずつの約10年間が更年期」とまとめて覚えます。そうすると、更年期がおおむね45〜55歳にあたることも一緒に整理できます。

4.10か月の連続した無月経の確認で診断される。:閉経の診断には12か月(1年)以上連続した無月経の確認が必要で、10か月では基準を満たしません。閉経が近づくと月経周期が不規則になり、数か月止まった後に月経が再開することもあります。そのため、1年という期間を置いて判断します。なお、それまであった月経が3か月以上止まった状態は続発性無月経であり、閉経の定義と混同しないようにします。

覚えるポイント

  • 閉経は、12か月以上連続した無月経を確認してから、最終月経にさかのぼって診断します(3か月以上の停止は続発性無月経)。
  • 日本人の平均閉経年齢は約50歳です。閉経の前後5年ずつ、約10年間が更年期です。
  • エストロゲン(卵胞ホルモン)は主に卵胞から、プロゲステロン(黄体ホルモン)は主に黄体から分泌されます。閉経後はどちらも低下し、FSH・LHは上昇します(特にFSH)。
  • 腟の自浄作用は「エストロゲン → 上皮のグリコーゲン → デーデルライン桿菌が乳酸を産生 → 腟内が酸性」の流れで保たれます。閉経で低下し、萎縮性腟炎や尿路感染症が起こりやすくなります。
  • エストロゲン低下の主な影響は、ホットフラッシュ、骨粗鬆症、LDLコレステロール上昇と動脈硬化、泌尿生殖器の萎縮です。
  • 子宮のある女性のHRTでは、子宮体癌を防ぐため黄体ホルモンを併用します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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