112PM060|第112回 看護師国家試験 過去問
妊娠に伴う母体の生理的変化とその時期の組合せで正しいのはどれか。
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正解: 4
正答
4.循環血液量が最大になる。 ― 妊娠32週ころ
この問題のポイント
妊娠による母体の代表的な生理的変化が、妊娠のどの時期に起こるかを問う問題です。基礎体温・乳房・つわりはいずれも妊娠初期の変化なので、始まりと終わりの時期を押さえているかが鍵になります。一方、循環血液量は妊娠の進行とともに増え続け、妊娠後期の入り口にあたる妊娠32週前後で最大になります。これが正答の根拠です。
解説
時期を整理する枠組み
妊娠週数は、最終月経の初日を0週0日として数えます。区分は次のとおりです。
- 妊娠初期:13週6日まで
- 妊娠中期:14週0日〜27週6日
- 妊娠後期:28週0日以降
選択肢の週数を当てはめると、5週と11週は初期、15週は中期の初め、32週は後期にあたります。各変化について、「初期に現れて消えていくもの」か「妊娠の進行とともに強まるもの」かを考えると判断しやすくなります。
妊娠初期に現れる変化
- 基礎体温:排卵後は、黄体から分泌されるプロゲステロンの体温上昇作用で高温相になります。妊娠が成立すると黄体は妊娠黄体として維持され、高温相が続きます。高温相が3週間以上続く場合は妊娠を疑う目安になります。高温相は妊娠初期を通じて続き、妊娠中期に入るころ(妊娠4か月ころ)から徐々に下がります。
- 乳房:エストロゲンとプロゲステロンの作用で乳管と腺房が発達します。そのため妊娠のごく早い時期から、乳房の緊満感や圧痛、乳頭・乳輪の色素沈着、モントゴメリー腺の隆起がみられます。乳房の緊満感は妊娠の早期徴候の一つです。
- つわり:妊娠5〜6週ころに始まり、妊娠8〜10週ころに最も強くなります。多くは妊娠12〜16週ころまでに自然に軽快します。hCGの分泌が妊娠10週前後に最も多くなる時期と重なるため、hCGとの関連が考えられています。
循環血液量の変化
循環血液量は妊娠初期から増え始め、妊娠32週前後で最大になります。増加の幅は非妊時の約40〜50%(約1.4〜1.5倍)です。増加の目的は次の3つです。
- 子宮と胎盤への血流を確保する
- 分娩時の出血に備える
- 増大した代謝需要に対応する
血漿量の増加が赤血球量の増加を上回るため、血液は希釈されます。これを水血症といい、ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値が低下します。生理的な希釈による低下と鉄欠乏性貧血を区別して評価することが大切です。妊娠中の貧血は、Hb 11g/dL未満またはHt 33%未満を目安に判断します。
心拍出量も増えるため、心臓への負担は大きくなります。心疾患を合併する妊婦で心不全の危険が高まる時期は次の3つです。
- 循環血液量が最大となる妊娠28〜32週ころ
- 分娩時
- 分娩直後から産褥早期(子宮収縮によって子宮内の血液が体循環に戻り、負荷が一時的に増える)
臨床では、これらの時期に息切れ・動悸・浮腫の増強・急な体重増加がないかを重点的に観察します。
選択肢の確認
1.体温が低下する。 ― 妊娠5週ころ:妊娠5週は、妊娠黄体からのプロゲステロン分泌によって高温相が続いている時期です。体温が下がる時期ではありません。この時期に高温相が続いていることは、むしろ妊娠を疑う手がかりになります。月経予定日ころに体温が下がって月経が来るのは、妊娠が成立しなかった場合の変化です。妊娠した場合に基礎体温が下がり始めるのは、妊娠中期に入るころです。
2.乳房が緊満する。 ― 妊娠15週ころ:乳房の緊満感や圧痛は、月経の遅れに気づくころの妊娠初期から現れる早期徴候です。妊娠15週ころに初めて起こる変化ではありません。妊娠中期以降は乳房がさらに大きくなり、初乳様の分泌がみられることもあります。これらの中期以降の変化と、初期の緊満感とを混同しないよう注意します。
3.つわりが軽減する。 ― 妊娠11週ころ:つわりは妊娠8〜10週ころに最も強くなり、軽快するのは多くの場合、妊娠12〜16週ころです。妊娠11週ころは、まだ症状が続いていることが多い時期にあたります。つわりが軽快する時期を過ぎても嘔吐が続く場合や、体重減少・脱水・ケトン尿を伴う場合は、治療が必要な妊娠悪阻を疑います。
4.循環血液量が最大になる。 ― 妊娠32週ころ:正答。循環血液量は妊娠初期から増加し、妊娠32週前後で非妊時の約1.4〜1.5倍に達して最大になります。血漿量の増加が赤血球量の増加より大きいため、水血症となります。また、この時期は心疾患合併妊婦の心負荷が大きくなる時期でもあります。
覚えるポイント
- 妊娠期間の区分は、初期が13週6日まで、中期が14週0日〜27週6日、後期が28週0日以降です。
- 基礎体温は妊娠の成立で高温相が続き(3週間以上続けば妊娠を疑う)、妊娠中期に入るころから下降します。
- つわりは5〜6週ころに始まり、8〜10週ころがピークで、12〜16週ころに軽快します。重症化して体重減少やケトン尿を伴うものが妊娠悪阻です。
- 乳房の緊満感、乳輪の色素沈着、モントゴメリー腺の隆起は、妊娠初期からみられる変化です。
- 循環血液量は妊娠32週前後で最大(非妊時の約1.4〜1.5倍)になります。血漿量の増加が赤血球量を上回るため水血症となり、Hb・Htが低下します。
- 心疾患合併妊婦の要注意時期は、妊娠28〜32週ころ、分娩時、産褥早期の3つです。
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