112PM007|第112回 看護師国家試験 過去問
正期産の新生児が生理的体重減少によって最低体重になるのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1.生後3〜5日
この問題のポイント
正期産の新生児に起こる生理的体重減少で、最低体重になる時期を問う問題です。体重が減るのは水分の喪失が哺乳による摂取を上回るためで、母乳分泌と哺乳量が増えると回復に向かいます。この「減る理由」と「回復する理由」の流れを押さえれば、時期を丸暗記しなくても判断できます。
解説
生理的体重減少とは
新生児は出生後の数日間、一時的に体重が減ります。これを生理的体重減少といいます。正期産児では減少の幅は出生体重の5〜10%程度で、生後3〜5日ごろに最低体重になります。その後は増加に転じ、生後7〜10日ごろに出生体重に戻ります。
なぜ減るのか
出生直後は、次の理由で水分の喪失が摂取を上回ります。
- 不感蒸泄:新生児は体重のわりに体表面積が大きく、皮膚が薄いため、皮膚と呼気から水分が失われやすい状態です。
- 胎便と尿の排泄:胎便は通常、生後24時間以内に排泄が始まり、尿の排泄も続きます。
- 細胞外液の減少:新生児は体重に占める水分、特に細胞外液の割合が大きく、出生後の利尿で余分な細胞外液が排出されます。
- 哺乳量の不足:出生直後は母乳の分泌量がまだ少なく、児の吸啜も練習の段階です。
産後数日で母乳の分泌量が増え、児の哺乳も上達すると、摂取量が喪失量を上回るようになります。喪失が続き摂取がまだ追いつかない時期の終わりが生後3〜5日ごろで、ここが体重の底になります。回復後は1日あたりおよそ25〜30 gずつ増えていきます。
看護での活用
- 測定条件をそろえる:毎日同じ時間帯に、裸で、授乳前など同じ条件で測定し、経過を比較します。
- 減少率を計算する:減少率(%)=(出生体重−現在の体重)÷出生体重×100です。例えば出生体重3,000 gの児が2,760 gになった場合、240÷3,000×100=8%で、生理的な範囲です。
- 異常を見分ける:減少率が10%を超える場合や、最低体重の時期を過ぎても増加に転じない場合は、病的な体重減少を疑います。哺乳不足、脱水、高ナトリウム血症、感染症などの可能性を考え、授乳の回数と1回量、吸着の状態、排尿・排便の回数、皮膚の張り、活気、黄疸の程度を確認します。
- 黄疸との関連:正期産児の生理的黄疸は生後2〜3日で現れ、4〜5日ごろにピークとなり、1〜2週で消えます。体重減少の最低時期と重なり、哺乳が不十分で排便が少ないと黄疸は強まりやすいため、両方をあわせて観察します。
- 母親への説明:この時期の体重減少は正常な経過で、母乳が足りないことを直ちに意味するわけではありません。そう伝えて、不安から授乳をやめてしまわないよう支えます。出生体重に戻る時期の目安を伝えておくと、退院後の見通しも立てやすくなります。
正期産児以外の場合
設問に「正期産」とあるのは、早産児や低出生体重児では経過が異なるためです。これらの児は体水分の割合が大きく、皮膚が未熟で不感蒸泄が多いため、減少率が大きくなり、出生体重に戻るまでに時間がかかる傾向があります。
選択肢の確認
1.生後3〜5日:正答。胎便・尿の排泄と不感蒸泄による水分の喪失が続く一方で、母乳の分泌量と哺乳量がまだ追いついていないため、この時期に体重が最も少なくなります。この時期を過ぎると、哺乳量の増加とともに体重は増加に転じます。
2.生後8〜10日:この時期の体重はすでに増加に転じており、出生体重に戻るころ(生後7〜10日ごろ)にあたります。「最低体重になる時期」と「出生体重に戻る時期」を取り違えると選んでしまいやすい選択肢です。この時期になっても体重が減り続けている、あるいは増加に転じていない場合は、哺乳不足などの異常を疑って評価する必要があります。
3.生後13〜15日:正期産児では出生体重に戻った後で、1日25〜30 g程度の順調な増加が続いている時期です。早産児や低出生体重児では出生体重への回復がこのころまで遅れることもありますが、正期産児の最低体重の時期ではありません。
4.生後18〜20日:新生児期(生後28日未満)の後半で、体重は出生体重を上回り、増え続けている時期です。この時期には減少の有無ではなく、1か月健診に向けて1日あたりの体重増加量から哺乳が十分かどうかを評価する段階に入っています。
覚えるポイント
- 生理的体重減少は出生体重の5〜10%、生後3〜5日で最低、生後7〜10日ごろに出生体重へ回復します。
- 原因は、不感蒸泄、胎便・尿の排泄、細胞外液の減少、哺乳量の不足で、水分の喪失が摂取を上回るためです。
- 減少率=(出生体重−現在の体重)÷出生体重×100で求めます。10%を超える減少や、最低時期を過ぎても増えない場合は病的と考えて評価します。
- 回復後は1日25〜30 g程度増え、体重は生後3〜4か月で出生時の約2倍、1歳で約3倍になります。
- 早産児・低出生体重児は減少率が大きく、回復に時間がかかりやすい傾向があります。
- 正期産児の生理的黄疸は生後2〜3日で出現し、4〜5日でピーク、1〜2週で消失します。体重減少の最低時期と重なるため、あわせて観察します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。