111PM065|第111回 看護師国家試験 過去問
新生児の呼吸の生理的特徴で適切なのはどれか。
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正解: 2
正答
2.周期性呼吸がみられる。
この問題のポイント
新生児の呼吸の特徴を、ガス交換面積、呼吸のリズム、呼吸の型、呼吸の経路の4つの視点から問う問題です。判断の鍵は、成人との違いが生まれる理由を知っているかどうかです。理由とは、呼吸中枢が未熟なためリズムが不規則になること、胸郭の構造から横隔膜が主役になること、解剖学的に鼻呼吸が優位になることです。理由とセットで覚えていれば、4つの選択肢はすべて判断できます。
解説
呼吸のリズム:呼吸中枢の未熟さ
新生児は、延髄の呼吸中枢や化学受容体の反応がまだ未熟です。そのため呼吸のリズムが不規則になりやすく、速い呼吸と数秒程度の短い呼吸休止が交互にくり返される周期性呼吸がみられます。周期性呼吸は徐脈やチアノーゼを伴いません。正常な新生児にもみられる生理的な現象で、睡眠中や早産児で特に多くみられます。
これと区別すべきなのが無呼吸発作です。無呼吸発作は、20秒以上の呼吸停止、または20秒未満でも徐脈(心拍数100回/分未満)やチアノーゼを伴うものをいい、病的な状態として対応が必要です。早産児では、呼吸中枢の未熟性による無呼吸発作が起こりやすくなります。呼吸の休止を見つけたら、持続時間と、徐脈・チアノーゼの有無を必ず確認します。
なお、成人でみられる周期的な呼吸(チェーン・ストークス呼吸など)は、心不全や中枢神経障害を示す異常所見です。新生児の周期性呼吸は正常範囲である点が、成人との大きな違いです。
呼吸が不規則なので、新生児の呼吸数は1分間かけて数えます。正常はおおむね40〜60回/分で、60回/分を超える場合は多呼吸として注意して観察します。
肺の成熟度とガス交換
新生児の肺は発達の途中です。肺胞の数は成人より少なく、生後も乳幼児期を通じて増えていきます。そのため、肺全体のガス交換面積は成人よりはるかに小さくなります。
一方で、体重あたりの酸素消費量は成人より多いため、1回換気量を大きくして補う余裕がありません。そこで呼吸数を多くして、必要な換気量を確保しています。呼吸の予備力が小さいため、感染や分泌物の貯留などで容易に呼吸障害に陥ります。
呼吸の型:腹式呼吸
新生児の肋骨は水平に近い走行で、胸郭は柔らかく、肋間筋も未発達です。肋骨を持ち上げて胸郭を広げる胸式呼吸は効率が悪いため、主に横隔膜の上下運動による腹式呼吸を行います。成長とともに肋骨が斜めに傾き、呼吸筋が発達するにつれて、幼児期に胸腹式呼吸、学童期ごろから胸式呼吸へと移行します。
腹式呼吸が主体なので、横隔膜の動きを妨げるものは呼吸を苦しくします。たとえば、哺乳後の胃内の空気や便秘による腹部膨満、きつすぎるおむつや衣服による腹部の圧迫です。呼吸数を数えるときは、胸ではなく腹部の上下運動を見ます。
呼吸の経路:鼻呼吸
新生児は喉頭の位置が高く、喉頭蓋が軟口蓋に近接しています。また、口腔の大きさに比べて舌が大きいことから、主に鼻で呼吸しており、生後数か月までは口呼吸へうまく切り替えられません。この構造は、乳汁を飲みながら鼻で呼吸することに役立っています。
その反面、鼻汁や分泌物で鼻腔がふさがると、呼吸困難や哺乳障害を起こしやすくなります。鼻腔の吸引や清拭は、呼吸と哺乳の両方を守るための重要なケアです。両側の後鼻孔閉鎖では、安静時にチアノーゼが出て、啼泣して口から息をすると改善するという特徴的な所見がみられます。これも鼻呼吸優位を示す例です。
臨床での活かし方
新生児の呼吸を観察するときは、次の点をみます。
- 呼吸数(1分間測定)
- リズム(休止の長さ、徐脈・チアノーゼの有無)
- 呼吸障害のサイン(多呼吸、呻吟、鼻翼呼吸、陥没呼吸、チアノーゼ)
あわせて、鼻閉や腹部膨満など、呼吸を妨げる要因がないかを確認します。
選択肢の確認
1.成人に比べて肺のガス交換面積が大きい。:新生児の肺は発達途中で肺胞の数が少ないため、ガス交換面積は成人よりはるかに小さいので、この記述は当てはまりません。体重あたりの酸素消費量や呼吸数は成人より多いため、「新生児のほうが多い(大きい)」という知識と取り違えないよう注意します。ガス交換面積が小さく予備力が乏しいことが、呼吸数の多さや呼吸障害の起こりやすさにつながっています。
2.周期性呼吸がみられる。:正答。呼吸中枢が未熟なため、速い呼吸と短い呼吸休止が交互に現れる周期性呼吸がみられます。徐脈やチアノーゼを伴わない生理的な現象です。20秒以上の休止や、徐脈・チアノーゼを伴う休止は無呼吸発作として区別します。
3.胸式呼吸が主である。:新生児は肋骨が水平に近く、胸郭が柔らかく肋間筋も未発達なため、横隔膜による腹式呼吸が主体なので、この記述は当てはまりません。胸式呼吸が主体になるのは、胸腹式呼吸の時期を経た学童期ごろからです。成人の呼吸の型と混同しないようにします。
4.口呼吸が主である。:新生児は喉頭の位置が高く、舌が口腔に比べて大きいため鼻呼吸が主体であり、この記述は当てはまりません。生後数か月までは口呼吸への切り替えが難しいので、鼻閉は呼吸困難と哺乳障害に直結します。鼻腔の吸引などで鼻の通りを保つことが大切です。
覚えるポイント
- 周期性呼吸は、短い呼吸休止をくり返す正常な現象です。無呼吸発作は「20秒以上の呼吸停止、または20秒未満でも徐脈・チアノーゼを伴うもの」で、早産児に多くみられます。
- 新生児の呼吸数はおおむね40〜60回/分です。不規則なので1分間測定し、60回/分を超えれば多呼吸として注意します。
- 呼吸の型は、腹式(新生児・乳児)→胸腹式(幼児期)→胸式(学童期以降)と移行します。腹部膨満や腹部の圧迫は換気を妨げます。
- 新生児は鼻呼吸が主体です。鼻閉は呼吸と哺乳の両方を妨げるため、鼻腔のケアが重要です。
- ガス交換面積は小さく、体重あたりの酸素消費量は多いため、呼吸数を増やして補っています。呼吸の予備力は小さいと覚えます。
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