34Q120|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。 〔事 例〕 Eさん(35歳、男性)は、1年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。当初の症状としては、ろれつが回らず、食べ物の飲み込みが悪くなり、体重の減少がみられた。 その後、Eさんの症状は進行し、同居している両親から介護を受けて生活をしていたが、両親の介護負担が大きくなったため、障害福祉サービスを利用することになった。障害支援区分の認定を受けたところ、障害支援区分3になった。Eさんは訪問介護員(ホームヘルパー)から食事や入浴の介護を受けて自宅で生活をしている。 Eさんが病院を受診するきっかけになった症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.球麻痺(きゅうまひ)
この問題のポイント
ALSでみられる「ろれつが回らない」「食べ物を飲み込みにくい」という組合せは、構音と嚥下に関係する筋が障害される球麻痺を示します。
解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動をつかさどる上位・下位運動ニューロンが進行性に障害される疾患です。手足の筋力低下や筋萎縮に加え、構音、嚥下、呼吸などに関係する筋にも障害が及ぶことがあります。
球麻痺は、延髄にある脳神経の運動核などの障害により、発声、構音、咀嚼、嚥下に関係する筋が麻痺する状態です。代表的な症状には、ろれつが回らない構音障害、食べ物や水分を飲み込みにくい嚥下障害、舌の動かしにくさなどがあります。
Eさんは、ろれつが回らず、食べ物の飲み込みが悪くなり、体重が減少しています。これらはALSに伴う球麻痺の症状に一致します。
ひっかけポイント
「麻痺」という言葉だけで対麻痺や単麻痺を選ばないようにします。対麻痺と単麻痺は主に手足の麻痺の範囲を表します。構音障害と嚥下障害の組合せは、球麻痺と結びつけます。
介護実践でのポイント
嚥下障害や体重減少がみられたら、食事形態、姿勢、一口量、食事時間、むせ、湿性嗄声、痰、呼吸状態などを観察します。誤嚥や低栄養の危険があるため、医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士などと連携し、発話が難しくなる前から意思伝達手段も検討します。
選択肢の確認
1.対麻痺(ついまひ)
誤りです。
対麻痺は、一般に両下肢が麻痺した状態をいいます。脊髄損傷などでみられますが、ろれつが回らないことや嚥下障害を直接表す用語ではありません。
2.単麻痺(たんまひ)
誤りです。
単麻痺は、右上肢だけ、左下肢だけなど、一つの手足に限局した麻痺です。Eさんの構音障害と嚥下障害には該当しません。
3.球麻痺(きゅうまひ)
正しいです。
球麻痺では、発声、構音、咀嚼、嚥下などに関係する筋が障害されます。ろれつが回らず、食べ物を飲み込みにくいEさんの症状に一致します。
4.安静時振戦
誤りです。
安静時振戦は、筋肉を意識的に動かしていない安静時にみられる震えで、パーキンソン病に代表的な症状です。構音障害と嚥下障害をまとめて表すものではありません。
5.間欠性跛行(かんけつせいはこう)
誤りです。
間欠性跛行は、歩行すると下肢の痛みやしびれなどが現れ、休むと軽減して再び歩けるようになる症状です。閉塞性動脈硬化症や腰部脊柱管狭窄症などでみられます。
覚えるポイント
- ALSは、上位・下位運動ニューロンが進行性に障害される疾患である。
- 球麻痺では、構音障害、嚥下障害、舌の運動障害などがみられる。
- 対麻痺は主に両下肢、単麻痺は一つの手足の麻痺である。
- 安静時振戦はパーキンソン病、間欠性跛行は下肢の循環障害や神経圧迫と関連する。
- 嚥下障害と体重減少は、誤嚥や低栄養につながるため多職種で対応する。