34Q124|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。 〔事 例〕 Fさん(50歳、女性、障害支援区分5)は、アテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(のうせいまひ)(cerebral palsy)による四肢・体幹機能障害がある。居宅介護を利用し、入浴の支援を受けながら母親(79歳)と暮らしていた。Fさんは障害基礎年金1級を受給していて、Fさん名義の貯蓄がある。金銭管理は母親が行っていた。 Fさんは、3年前に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)(aspiration pneumonia)で入院したことがある。言語障害があり、慣れた人でないと言葉が聞き取りにくい。自宅では車いすに乗り、足で床を蹴って移動し、屋外は母親が車いすを押していた。Fさんは自宅内の移動以外の日常生活については、母親から全面的に介護を受けて生活していた。 最近、日中活動の場と短期入所(ショートステイ)の利用について、市の障害福祉課に相談するようになった。 ところが、母親が持病の心疾患(heart disease)で亡くなり、市の障害福祉課がFさんと当面の生活について検討することになった。 Fさんは1人で生活することは難しいと思い、施設入所を希望している。 Fさんは、障害者支援施設に入所できることになり、アセスメント(assessment)が行われた。 相談支援専門員は、Fさんの希望をもとに、これまでの生活状況と身体の様子等から、もう少し本人にできることがあるのではないかと考え、「障害者支援施設で施設入所支援と生活介護を利用しながら、将来の生活を考える」という方針を立てた。また、長期目標を、「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」とした。 Fさんの短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.日中活動として外出や興味のあるグループ活動に参加する。
この問題のポイント
短期目標は、本人の希望とアセスメントに基づき、長期目標の実現へつながる具体的な生活目標にします。この事例では「様々な生活経験を積む」という長期目標に直接つながる活動参加を選びます。
解説
Fさんの長期目標は「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」です。したがって短期目標には、施設内外で新しい経験を得て、興味や人とのつながりを広げられる内容が適しています。外出や興味のあるグループ活動への参加は、本人の選好を確かめながら生活経験を増やすものであり、長期目標に最もよく対応します。
短期目標は、支援者がさせたい訓練や介助内容ではなく、本人が一定期間内に目指す生活上の姿を表します。本人にとって意味があり、現在の力や支援を用いれば達成可能で、達成状況を確認できることが重要です。Fさんは以前から日中活動の場を相談しており、この経過からも活動参加へのニーズが読み取れます。
Fさんは自宅内では足で床を蹴って車いすを動かしていました。施設内を常に介助で移動する目標は、この残存機能を生かしません。入浴動作や筆談の獲得を目標にするには、本人の希望、上肢機能、実現可能性などの追加評価が必要です。誤嚥性肺炎の既往だけで経管栄養を目標にすることもできません。
ひっかけポイント
「安全」「自立」「訓練」という言葉がある選択肢が常に目標として適切とは限りません。本人の希望から長期目標、短期目標までに一貫性があるかを確認します。
介護実践でのポイント
「興味のある活動」を支援者が決めず、写真、見学、体験参加などで本人が選べるようにします。参加後の表情や発言、疲労、参加に必要だった介助を記録し、本人と一緒に目標や支援方法を見直します。
選択肢の確認
1.入浴時に自分でからだを洗えるようになる。
誤りです。
自分で洗うことが本人の希望として示されておらず、四肢・体幹機能や実行可能な範囲の評価も不足しています。「様々な生活経験を積む」という長期目標に最も直接つながる目標でもありません。
2.毎日字を書く練習を行い、筆談で会話ができるようになる。
誤りです。
書字を希望している情報や、アテトーゼ型の不随意運動があるFさんにとって実現可能との評価がありません。毎日の訓練を先に決めるのではなく、本人に合うコミュニケーション方法を検討します。
3.施設内は、車いす介助を受けながら安全に移動する。
誤りです。
安全確保は重要ですが、Fさんは自宅内で足を使って車いすを動かしていました。常に介助を受ける目標では残存機能を発揮する機会を減らし、生活経験を広げる長期目標にも十分つながりません。
4.経管栄養で食事がとれるようになる。
誤りです。
誤嚥性肺炎の既往だけで経管栄養の適応とは判断できません。現在の嚥下状態や本人の意思を評価せず、医療的な栄養方法そのものを短期目標にするのは不適切です。
5.日中活動として外出や興味のあるグループ活動に参加する。
正しいです。
本人の興味を起点に活動と人間関係を広げ、様々な生活経験を積むという長期目標へ具体的につながります。必要な介護を受けながら達成できる生活目標です。
覚えるポイント
- 短期目標は、本人の希望とアセスメントに基づいて設定する。
- 長期目標へつながる、具体的で達成可能・評価可能な生活上の姿にする。
- 支援内容や訓練の実施自体を、本人の目標と取り違えない。
- 残存機能を生かし、本人が興味ある活動を選べるよう支援する。