34Q52|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
認知機能の低下による機能性尿失禁で、夜間、トイレではない場所で排尿してしまう利用者への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.トイレの照明をつけて、ドアを開けておく。
この問題のポイント
機能性尿失禁は、膀胱や尿道そのものの障害だけでなく、認知機能や身体機能、生活環境の問題によって、適切な場所で排尿できない状態です。
この事例では、夜間にトイレの場所を認識できないことが主な問題と考えられるため、トイレを見つけやすくする環境調整が必要です。
解説
認知機能が低下すると、尿意があっても、トイレの場所や道順がわからない、便器の使い方がわからないなどの理由で、トイレではない場所に排尿することがあります。このように、排尿機能が保たれていても、認知・移動・衣服操作・環境などの問題で適切に排尿できない状態を機能性尿失禁といいます。
夜間は周囲が暗く、見当識も低下しやすいため、トイレの照明をつけ、入口のドアを開けておくと、明かりや便器が視覚的な手がかりになり、トイレを見つけやすくなります。トイレまでの動線にも足元灯を設け、障害物を取り除き、本人にわかりやすい表示や色のコントラストを使うことも有効です。
ただし、ドアを開けておくのはトイレを見つけるための手がかりです。排泄中は本人の希望を確認してドアを閉めるなど、羞恥心とプライバシーに十分配慮します。
また、排尿時刻や排尿前のしぐさを観察し、本人の生活リズムに合った声かけやトイレ誘導を行います。失敗を責めると、不安や羞恥心が強くなるため、落ち着いて対応します。
ひっかけポイント
「尿失禁」という言葉だけを見て、膀胱訓練を選ばないようにします。設問は「認知機能の低下による機能性尿失禁」であり、原因に対応する環境調整が優先されます。
介護実践でのポイント
トイレの表示、照明、動線、便器の見つけやすさ、衣服の扱いやすさ、移動能力を個別に確認します。排泄時刻や失敗場所にも一定の傾向がないか記録し、本人に合った誘導方法をチームで共有します。
選択肢の確認
1.日中、足上げ運動をする。
誤りです。
下肢にたまった水分を日中に循環へ戻すことは、夜間多尿への対策として検討される場合があります。しかし、この事例の中心は、認知機能の低下によってトイレではない場所で排尿する機能性尿失禁です。
2.ズボンのゴムひもを緩いものに変える。
誤りです。
衣服を下ろす動作が間に合わない場合には、着脱しやすい衣服への変更が役立つことがあります。しかし、この事例ではトイレ以外の場所で排尿しており、主な課題はトイレの場所の認識です。
3.膀胱訓練(ぼうこうくんれん)を行う。
誤りです。
膀胱訓練は、尿意を一定時間我慢して排尿間隔を徐々に延ばす方法で、主に切迫性尿失禁などで用いられます。認知機能低下によりトイレの場所がわからないという問題への第一選択ではありません。
4.排泄(はいせつ)してしまう場所に入れないようにする。
誤りです。
その場所を単に閉鎖しても、正しい排泄場所を認識できるようにはなりません。別の場所で排尿する可能性があり、行動を一方的に制限することにもつながります。
5.トイレの照明をつけて、ドアを開けておく。
正しいです。
夜間でもトイレの位置と入口を視覚的に認識しやすくなります。機能性尿失禁の原因となっている環境上の障壁を減らす対応です。
覚えるポイント
- 機能性尿失禁は、認知・移動・衣服操作・環境などの問題で適切に排尿できない状態である。
- 認知機能が低下した人には、照明、表示、色、見通しのよい動線を整える。
- 環境調整と同時に、本人の排尿パターンに合わせた声かけや誘導を行う。
- 排泄の失敗を責めず、羞恥心とプライバシーを守る。