34Q53第34回 介護福祉士国家試験 過去問

介護生活支援技術

次の記述のうち、排泄物(はいせつぶつ)で汚れた衣類をタンスに隠してしまう認知症(dementia)の利用者への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.タンスの中に汚れた衣類を入れられる場所を確保する。

この問題のポイント

認知症の人の行動を、単なる「困った行動」として禁止したり注意したりするのではなく、その背景にある思いや認知機能の変化を理解し、本人の行動に合わせて環境を整えることが重要です。

解説

排泄物で汚れた衣類を隠す行動には、「失敗したことを知られたくない」という羞恥心、汚れた衣類をどこへ置けばよいかわからない、洗濯済みの衣類との区別が難しい、後で片づけようとして忘れてしまう、といった背景が考えられます。

タンスの中に汚れた衣類を入れられる場所を確保すると、本人が慣れている「タンスに入れる」という行動を無理に変えず、汚れた衣類を一定の場所にまとめられます。介護福祉職も場所を確認して、本人の尊厳を傷つけないように回収・洗濯できます。

実際には、汚れた衣類をそのまま放置するのではなく、専用の容器や袋、区切られた場所などを用意し、衛生的に回収できる仕組みにします。介護福祉職は手袋の使用や手指衛生を行い、タンス内の汚染拡大を防ぎます。

同時に、排泄の時刻、尿意・便意を示すしぐさ、衣服の着脱能力、トイレの位置、便秘や下痢、尿路感染症などをアセスメントし、失敗そのものを減らす支援も検討します。本人を叱ったり監視したりするだけでは、羞恥心や不安が強まり、さらに見つかりにくい場所へ隠す可能性があります。

ひっかけポイント

正答は、「汚れた衣類をタンスに放置してよい」という意味ではありません。本人の行動を否定せず、決まった場所で衛生的に回収できるよう環境を調整するという考え方です。

介護実践でのポイント

汚れた衣類を見つけても、人前で問い詰めたり失敗を指摘したりしません。本人の羞恥心に配慮して静かに交換・洗濯し、排泄パターンと行動の背景を記録して、チームで対応を統一します。

選択肢の確認

1.タンスの中に汚れた衣類を入れられる場所を確保する。

正しいです。
本人の習慣的な行動を否定せず、汚れた衣類を決まった場所へまとめられるようにする環境調整です。本人の尊厳を守りながら、介護福祉職が衛生的に回収しやすくなります。

2.「汚れた衣類は入れないように」とタンスに貼紙をする。

誤りです。
認知機能の状態によっては、貼紙の内容を理解・記憶して行動を変えることが難しい場合があります。また、禁止を強調する表示は、本人の羞恥心を傷つけるおそれがあります。

3.トイレに行くときには、同行して近くで監視する。

誤りです。
排泄場面を常に近くで監視すると、羞恥心や不安を強め、本人の尊厳やプライバシーを損ないます。必要な介助は行いますが、本人の能力に応じて距離を取り、見守り方を工夫します。

4.つなぎ服を勧める。

誤りです。
汚れた衣類を隠す行動を防ぐ目的で、自分では脱ぎにくいつなぎ服を着せることは、本人の行動や衣服選択を制限し、身体拘束に当たり得ます。行動の背景を考えた支援にはなりません。

5.隠すところを見たら、毎回注意する。

誤りです。
繰り返し注意すると、本人の羞恥心、不安、反発を強め、行動がさらに隠れた形で続く可能性があります。叱るのではなく、行動の理由を考えて環境と排泄支援を見直します。

覚えるポイント

  • 認知症の人の行動には、本人なりの理由や目的がある。
  • 禁止・注意・監視よりも、行動の背景をアセスメントして環境を本人に合わせる。
  • 排泄支援では、尊厳、羞恥心、プライバシーを守る。
  • 本人の行動を受け止めることと、衛生管理を行うことを両立させる。

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