35Q102|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
終末期で終日臥床している利用者に対する介護福祉職の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2.息苦しさを訴えたときは,半座位にする。
この問題のポイント
終末期の介護では、治療の都合だけでなく、利用者の苦痛を軽減し、できるだけ安楽に過ごせるように支援します。
この問題では、呼吸困難への体位調整、入浴、換気、会話、排便時の負担について、安全と安楽の観点から判断します。
解説
半座位は、ベッドの背部を起こして上半身を支える姿勢です。上半身を起こすと、腹部臓器による横隔膜への圧迫が軽減し、胸郭を動かしやすくなるため、仰臥位より呼吸が楽になることがあります。必要に応じて枕やクッションを使い、身体がずり落ちたり、首や腰に負担がかかったりしないように整えます。
終末期の利用者が息苦しさを訴えた場合は、まず表情、呼吸数、呼吸の深さ、努力呼吸、顔色、意識、痰の有無などを観察し、安楽な体位をとります。そのうえで、看護職や医師に速やかに報告し、指示を受けます。新たに生じた強い呼吸困難や急激な悪化では、緊急性を判断して対応します。
肩まで湯につかる全身浴は、温熱や静水圧によって循環・呼吸への負担が大きくなることがあります。終日臥床している人には、その日の状態と本人の希望を確認し、清拭、部分浴、短時間の入浴など、より負担の少ない方法を検討します。
終末期であっても、本人が望む会話や家族との関わりを一律に制限しません。また、排便時に息を止めて強くいきむと、胸腔内圧が上昇して循環・呼吸に負担がかかります。便秘を予防し、安楽に排便できる姿勢や方法を多職種で検討します。
介護実践でのポイント
「終末期だから何もしない」のではなく、本人の希望を確認しながら、苦痛の軽減、清潔、排泄、会話、家族との時間を支えます。状態の変化は介護福祉職だけで判断せず、観察した事実を医療職へ伝えます。
選択肢の確認
1.入浴時は,肩までお湯につかるように勧める。
適切ではありません。
肩まで湯につかると、静水圧や温熱によって心臓や呼吸への負担が増えることがあります。終日臥床している利用者には、体調と希望に応じて部分浴や清拭なども含めて検討します。
2.息苦しさを訴えたときは,半座位にする。
正答。最も適切です。
上半身を起こす半座位は、横隔膜や胸郭を動かしやすくし、呼吸を楽にすることがあります。体位を整えながら状態を観察し、看護職や医師へ報告します。
3.終日,窓を閉めたままにする。
適切ではありません。
室内の空気がこもると、不快感や臭気、温湿度の悪化につながります。利用者の体温、外気温、風、感染対策などに配慮しながら、適切に換気します。
4.会話をしないように勧める。
適切ではありません。
会話は安心や意思の表出、家族とのつながりを支える大切な手段です。疲労や息苦しさに配慮しつつ、本人が望む範囲で関わります。一律に会話を控えさせる必要はありません。
5.排便時は,息を止めて腹に力を入れるように勧める。
適切ではありません。
息を止めて強くいきむと、胸腔内圧が上がり、心臓や呼吸に負担がかかります。便秘予防、姿勢調整、排便習慣の把握などにより、無理なく排便できるように支援します。
覚えるポイント
呼吸困難時の基本は、安楽な体位をとり、呼吸状態を観察し、医療職へ報告することです。
半座位は、上半身を起こして呼吸をしやすくする代表的な体位です。
終末期の介護では、清潔や会話を一律に制限せず、本人の希望とその日の体調に合わせます。