35Q121|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで,問題 120 から問題 122 までについて答えなさい。 〔事 例〕Dさん(38 歳,男性,障害支援区分 3 )は, 1 年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し左片麻痺となった。後遺症として左同名半盲,失行もみられる。現在は週 3 回,居宅介護を利用しながら妻と二人で生活している。 ある日,上着の袖に頭を入れようとしているDさんに介護福祉職が声をかけると,「どうすればよいかわからない」と答えた。普段は妻がDさんの着替えを手伝っている。食事はスプーンを使用して自分で食べるが,左側にある食べ物を残すことがある。Dさんは,「左側が見づらい。動いているものにもすぐに反応ができない」と話した。 最近は,日常生活の中で,少しずつできることが増えてきた。Dさんは,「人と交流する機会を増やしたい。また,簡単な生産活動ができるようなところに行きたい」と介護福祉職に相談した。 Dさんへの食事の支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.食事を本人から見て右寄りに配膳する。
この問題のポイント
Dさんには左同名半盲があり、本人から見て左側の視野が見えにくくなっています。そのため、まず食事を見える右側へ配置すると、残っている視野を活用して自分で食べやすくなります。
食事動作そのものはスプーンを使って自立しているため、必要のない手の介助や食具の変更は行いません。
解説
同名半盲とは、両眼の同じ側の視野が欠ける状態です。左同名半盲では、両眼とも左半分の視野が見えにくくなります。
Dさんは、左側にある食べ物を残し、「左側が見づらい」と話しています。一方、スプーンを使って自分で食べることはできています。したがって、最初は食器や食物を見えやすい右側へ配置し、残存能力を生かして自力摂取を続けられるようにすることが適切です。
ただし、右側への配膳だけを続けて左側を全く使わなくてよいという意味ではありません。本人の状態やリハビリテーション方針に応じて、食器の位置を説明する、顔や視線を左へ動かして確認する練習を行うなど、左側への探索を促す支援も検討します。
ひっかけポイント
左片麻痺があることから食具や手の介助を選びたくなりますが、Dさんはすでにスプーンで自力摂取できています。本問で食べ残しの直接的な原因となっているのは、左同名半盲によって左側の食物を視認しにくいことです。
介護実践でのポイント
配膳時に食器の位置と内容を説明し、本人が見つけやすい右側から配置します。食事中は左側の食べ残し、むせ、姿勢、疲労を観察します。左側へ注意を促す場合も、突然食器を移動させず、「左側にもおかずがあります」などと伝え、本人のペースで顔や視線を動かせるようにします。
選択肢の確認
1.食事の量を少なくする。
誤りです。 食べ残しは食事量が多いためではなく、左側の食物を視認しにくいために生じています。量を減らすと、必要な栄養や水分が不足する可能性があります。
2.テーブルを高くする。
誤りです。 テーブルの高さは食事姿勢に関係しますが、左同名半盲による左側の見えにくさを補う対応ではありません。本人の身体寸法に合わせた高さにします。
3.スプーンを持つ手を介助する。
誤りです。 Dさんはスプーンを使用して自分で食べています。必要のない手の介助は、自立した食事動作を妨げる可能性があります。
4.バネつき箸に替える。
誤りです。 バネつき箸は、箸の開閉が難しい人などに用いる自助具です。Dさんはスプーンで自力摂取できており、食具の操作ではなく視野の問題への対応が必要です。
5.食事を本人から見て右寄りに配膳する。
正しいです。 左同名半盲があるDさんの見えやすい右側へ食事を配置すると、残っている視野を活用して自分で食べやすくなります。
覚えるポイント
- 左同名半盲では、本人から見て左側が見えにくい。
- まず見える側へ必要な物を配置して安全と自立を支える。
- できている食事動作を、不必要に介助しない。
- 左側への視線移動や探索は、本人の状態と支援方針に合わせて促す。