35Q8|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
近年,人と人,人と社会とがつながり,一人ひとりが生きがいや役割をもち,助け合いながら暮らしていくことのできる,包摂的なコミュニティ,地域や社会を創るという考え方が示されている。この考え方を表すものとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.地域共生社会
この問題のポイント
「人と人、人と社会がつながる」「一人ひとりが生きがいや役割をもつ」「支える側と支えられる側を固定しない」「包摂的な地域をつくる」という表現は、地域共生社会の理念を示します。
似た用語の一部分だけに注目せず、設問全体が表している社会像を読み取ります。
解説
地域共生社会とは、制度や分野ごとの縦割り、年齢や障害の有無による区分、「支える人」と「支えられる人」という固定的な関係を超えて、地域の住民や多様な主体が参加し、つながり、支え合う社会を目指す考え方です。
誰かを一方的に支援の受け手として扱うのではなく、すべての人が得意なことや経験を生かして役割をもち、地域づくりに参加できることを重視します。複数の生活課題を抱える世帯に対しても、高齢、障害、子ども、生活困窮などの制度を別々に当てはめるだけでなく、本人と世帯の暮らし全体を捉えて包括的に支援します。
この理念では、専門職による支援だけでなく、住民同士のつながり、参加の場、見守り、就労、居場所づくりなども大切です。ただし、住民の助け合いだけに責任を押しつけるものではなく、公的支援、専門職支援、地域活動を組み合わせます。
ナショナルミニマム、バリアフリー、介護の社会化、生涯現役社会はいずれも社会福祉に関連する重要な考え方ですが、設問の表現全体に最も合うのは地域共生社会です。
ひっかけポイント
地域共生社会は、「地域の人だけで何とかする社会」ではありません。制度による支援を土台にしながら、分野を超えた連携と住民の参加を組み合わせる考え方です。
介護実践でのポイント
利用者を支援の受け手としてだけ見るのではなく、本人が地域で続けたい役割、参加したい活動、他者に提供できる力にも目を向けます。
選択肢の確認
1.ナショナルミニマム(national minimum)
誤り。
ナショナルミニマムは、国がすべての国民に保障すべき最低限度の生活水準という考え方です。設問にある、役割をもち、つながり、助け合う包摂的な地域社会全体の理念とは異なります。
2.バリアフリー社会
誤り。
バリアフリー社会は、物理的、制度的、情報・コミュニケーション上、意識上の障壁を取り除き、誰もが生活しやすくする社会です。地域共生社会を実現するうえで重要ですが、設問の理念全体を表す用語ではありません。
3.介護の社会化
誤り。
介護の社会化は、介護を家族だけの責任とせず、制度やサービスを通して社会全体で支える考え方です。介護保険制度の背景にある重要な考えですが、世代や分野を超えた参加と役割まで含む設問の社会像より範囲が限定されています。
4.生涯現役社会
誤り。
生涯現役社会は、年齢にかかわらず、就労や社会参加を続け、能力を発揮できる社会を目指す考え方です。参加や役割を重視しますが、複合的な生活課題への包括的支援や、支え手・受け手の関係を超えた地域づくりを直接表す用語ではありません。
5.地域共生社会
正答。最も適切です。
人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割をもち、助け合いながら暮らせる包摂的な地域や社会をつくるという設問の説明に一致します。
覚えるポイント
地域共生社会は、制度・分野の縦割りを超える考え方です。
「支える側」と「支えられる側」を固定せず、誰もが役割と参加の機会をもつことを重視します。
複合的な課題は、本人と世帯の暮らし全体を捉えて包括的に支援します。
自助や住民の助け合いだけに任せず、公的支援、専門職支援、地域のつながりを組み合わせます。