35Q85第35回 介護福祉士国家試験 過去問

介護生活支援技術

Hさん(82 歳,男性,要介護 2 )は,一人暮らしで,週 1 回,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。訪問時に,「足の爪が伸びているので,切ってほしい」と依頼された。爪を切ろうとしたところ,両足とも親指の爪が伸びて両端が皮膚に食い込んで赤くなっていて,触ると熱感があった。親指の状態を確認した訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

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正解: 5

正答

5.爪は切らずに,親指の状態をサービス提供責任者に報告する。

この問題のポイント

介護職員が通常の爪切りを行えるのは、爪自体に異常がなく、周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、専門的な管理を必要としない場合です。

この事例では、爪が皮膚に食い込み、発赤と熱感があります。通常の爪切りを続けず、異常を報告して医療職につなげることが重要です。

解説

Hさんの両足の親指は、伸びた爪の両端が皮膚に食い込み、赤くなり、触れると熱感があります。陥入爪や巻き爪に伴う炎症などが疑われ、通常の爪切りとして扱える状態ではありません。

この状態で爪を切ったり削ったりすると、皮膚を傷つけ、出血、疼痛、炎症の悪化、感染につながるおそれがあります。訪問介護員はその場で処置を決めず、爪切りを中止し、発赤、熱感、腫れ、痛み、出血や膿の有無、歩行への影響などを観察して、サービス提供責任者へ速やかに報告します。

報告後は、事業所の手順に沿って看護職員や主治医などへ相談し、必要な受診や処置につなげます。介護職員は、本人の訴えと観察した事実を具体的に伝えることが大切です。

本人の家にある軟膏でも、何の薬か、誰にいつ処方されたか、現在の症状に使用してよいかが確認できなければ、介護職員の判断で塗布しません。絆創膏で覆うことも、圧迫や蒸れを招き、状態を観察しにくくなることがあります。

介護実践でのポイント
爪切り前には、爪の色・厚さ・形、皮膚への食い込み、発赤、腫れ、熱感、出血、膿、痛み、糖尿病などの既往を確認します。異常があれば切らずに報告します。

選択肢の確認

1.親指に絆創膏を巻く。
適切ではありません。
原因を確認せずに絆創膏を巻くと、圧迫や蒸れによって状態を悪化させることがあります。まず爪切りを中止し、観察した異常を報告します。

2.Hさんの家にある軟膏を親指に塗る。
適切ではありません。
自宅にある軟膏を、介護職員の判断で使用してはいけません。薬剤名、使用目的、処方内容を確認し、医療職の指示を受ける必要があります。

3.蒸しタオルで爪を軟らかくしてから切る。
適切ではありません。
発赤と熱感があり、爪が皮膚に食い込んでいます。爪を軟らかくしても通常の爪切りを行える状態にはならず、切ることで炎症や皮膚損傷を悪化させるおそれがあります。

4.爪が伸びている部分に爪やすりをかける。
適切ではありません。
爪やすりも、爪と周囲皮膚に異常がない場合の日常的なケアとして行うものです。この事例では専門的な管理が必要かどうかを医療職が判断します。

5.爪は切らずに,親指の状態をサービス提供責任者に報告する。
正答。最も適切です。
爪の食い込み、発赤、熱感があるため、通常の爪切りは中止します。観察内容をサービス提供責任者へ報告し、看護職員や医師への相談につなげます。

覚えるポイント

介護職員が行える通常の爪切りは、爪と周囲皮膚に異常がない場合に限られます。

発赤、腫れ、熱感、痛み、出血、膿、食い込みがあれば、切ったり削ったりせずに報告します。

薬の塗布や専門的な爪の処置を、介護職員が独断で行ってはいけません。

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