35Q96|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
Kさん(76 歳,女性,要介護 2 )は,介護老人保健施設に入所している。日頃から,「排泄は最期まで他人の世話にならない」と言い,自分でトイレに行き排泄している。先日,趣味活動に参加しているときにトイレに間に合わず失禁した。その後,トイレの近くで過ごすことが多くなり,趣味活動に参加することが少なくなった。Kさんを観察すると, 1 日の水分摂取量,排尿量は変わりないが,日中の排尿回数が増えていることがわかった。Kさんへの介護福祉職の最初の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.排泄について不安に感じていることがないかを聞く。
この問題のポイント
Kさんは失禁後、トイレの近くで過ごし、趣味活動への参加が減っています。日中の排尿回数の増加には失禁への不安が関係している可能性がありますが、支援者が決めつけてはいけません。最初にKさんの体験や不安を丁寧に聴くことが必要です。
解説
Kさんは「排泄は最期まで他人の世話にならない」と話し、自分でトイレへ行くことを大切にしています。趣味活動中の失禁は、Kさんの自尊心や安心感に大きな影響を与えた可能性があります。
失禁後にトイレの近くで過ごすようになり、日中の排尿回数が増えたことから、「また間に合わないかもしれない」という不安によって、尿が十分にたまる前から繰り返しトイレへ行っている可能性があります。しかし、これは観察から考えられる一つの可能性にすぎません。介護福祉職が不安の内容を決めつけず、Kさん自身がどのように感じているかを確認することが最初の対応です。
頻尿には、尿路感染症、過活動膀胱、残尿、糖尿病、服薬、心理的要因など、さまざまな原因があります。本人の話を聴いた後、排尿時刻、排尿量、尿意、切迫感、失禁、排尿痛、尿の性状、夜間排尿などを観察し、必要に応じて医療職と連携します。
ひっかけポイント
日中の排尿回数が増えたことだけを見て、水分制限や薬物療法へ進まないことが重要です。設問は「最初の対応」を尋ねています。まず本人の主観的な体験と不安を確認します。
介護実践でのポイント
他の人に聞こえない場所で、「先日のことの後、排泄について心配なことはありますか」など、Kさんが答えやすいように尋ねます。失禁を失敗として責めず、排泄を自分で行いたいという希望を尊重します。その後、活動前にトイレを利用する、トイレまでの経路や所要時間を確認する、席の位置を本人と相談するなど、希望に沿った方法を検討します。
選択肢の確認
1.日中は水分摂取を控えるように伝える。
誤りです。 排尿回数を減らす目的で安易に水分を制限すると、脱水、便秘、尿路感染症などの危険が高まります。必要な水分量は心身の状態を踏まえて判断します。
2.抗不安薬の処方ができないか看護師に相談する。
誤りです。 本人の不安や頻尿の原因を確認せず、すぐに薬物療法を検討することは適切ではありません。また、薬を処方するのは医師です。まずKさんの話を聴き、状態を把握します。
3.トイレに行く姿を見かけたら,同行する。
誤りです。 Kさんは自分でトイレへ行くことを大切にしています。希望を確認せず毎回同行すると、自立やプライバシーを損なう可能性があります。
4.排泄について不安に感じていることがないかを聞く。
正しいです。 Kさんの行動の背景を理解するため、まず本人がどのように感じているかを丁寧に聴きます。その内容を基に、本人と一緒に支援方法を検討します。
5.積極的に趣味活動に参加するように勧める。
誤りです。 参加が減った理由や不安を確認せずに強く勧めると、Kさんへ負担を与える可能性があります。まず不安を聴き、安心して参加できる条件を一緒に整えます。
覚えるポイント
- 行動の変化がみられたときは、まず本人の思いを確認する。
- 観察から原因を一つに決めつけない。
- 排泄に関する話は、プライバシーを確保して聴く。
- 頻尿には身体的・心理的なさまざまな原因がある。
- 水分を安易に制限せず、本人の自立と希望を尊重する。