36Q10第36回 介護福祉士国家試験 過去問

人間と社会社会の理解

社会福祉基礎構造改革に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 5

正答

5.判断能力が不十分な者に対する地域福祉権利擁護事業が創設された。

この問題のポイント

社会福祉基礎構造改革では、利用者本位の福祉サービスを目指し、行政がサービスを決める措置制度中心の仕組みから、利用者が事業者を選び契約する利用制度へ転換する方向が示されました。

この転換に伴い、判断能力が不十分な人のサービス利用や権利を支える仕組みとして、地域福祉権利擁護事業が創設されました。

解説

社会福祉基礎構造改革は、1990年代後半から進められた社会福祉制度の大きな見直しです。背景には、福祉ニーズの多様化、利用者の権利意識の高まり、サービスの選択肢の拡大などがありました。

改革の柱には、利用者本位、利用者による選択、サービスの質の確保、事業運営の透明性、地域福祉の推進、権利擁護などがあります。2000年の法改正では、「社会福祉事業法」が「社会福祉法」へ改称されました。

サービス利用の仕組みは、行政が必要性と提供内容を決める措置制度から、利用者が事業者を選び契約する利用制度へ移る方向となりました。高齢者分野では介護保険制度、障害福祉分野では後の支援費制度などに具体化されました。

利用契約を基本とすると、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が十分でない人が、必要なサービスを適切に選び利用できない可能性があります。そこで、福祉サービス利用の手続援助や日常的な金銭管理などを支える地域福祉権利擁護事業が1999年に開始されました。現在は日常生活自立支援事業と呼ばれています。

この事業は、成年後見制度と同じものではありません。本人との契約に基づくため、契約内容を理解できる力が一定程度あることが必要です。より強い法的代理権が必要な場合には、成年後見制度の利用を検討します。

ひっかけポイント
法律名と制度転換の方向は逆にしないようにします。「社会福祉事業法から社会福祉法へ」「措置から契約へ」です。

介護実践でのポイント
判断能力が低下していても、本人の意思を置き去りにしてよいわけではありません。理解しやすい説明、意思確認、日常生活自立支援事業や成年後見制度などを活用し、本人の権利と生活を支えます。

選択肢の確認

1.社会福祉法が社会福祉事業法に改正された。
誤り。
改正の方向が逆です。社会福祉事業法が、2000年の改正によって社会福祉法へ改称されました。

2.利用契約制度から措置制度に変更された。
誤り。
改革では、措置制度中心の仕組みから、利用者がサービスを選んで契約する利用制度へ転換する方向が示されました。

3.サービス提供事業者は、社会福祉法人に限定された。
誤り。
改革では、多様な事業者の参入やサービス提供体制の整備も進められました。サービスの種類ごとの指定基準などを満たせば、社会福祉法人以外の法人等が提供する場合もあります。

4.障害福祉分野での制度改正は見送られた。
誤り。
障害福祉分野も改革の対象です。身体障害者福祉や知的障害者福祉では、後に支援費制度が導入され、措置から契約に基づく利用方式への転換が進められました。

5.判断能力が不十分な者に対する地域福祉権利擁護事業が創設された。
正答。最も適切です。
利用者が契約によって福祉サービスを選ぶ仕組みを支えるため、判断能力が不十分な人に対して、福祉サービス利用援助や日常的金銭管理などを行う事業が創設されました。現在の日常生活自立支援事業です。

覚えるポイント

社会福祉事業法は、社会福祉法へ改称されました。

制度の方向は、「措置から契約へ」「提供者中心から利用者本位へ」です。

社会福祉基礎構造改革では、サービスの質、情報公開、権利擁護、地域福祉も重視されました。

地域福祉権利擁護事業は、現在の日常生活自立支援事業です。

日常生活自立支援事業は契約に基づく支援であり、成年後見制度とは役割が異なります。

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