36Q9第36回 介護福祉士国家試験 過去問

人間と社会社会の理解

地域福祉において、19世紀後半に始まった、貧困地域に住み込んで実態調査を行いながら住民への教育や生活上の援助を行ったものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 5

正答

5.セツルメント

この問題のポイント

19世紀後半、支援者が貧困地域に住み込み、住民と生活を共にしながら、地域の実態調査、教育、保育、医療、生活援助などを行った地域福祉の実践がセツルメントです。

単に物や金銭を与える救済ではなく、住民との関係を築き、地域の課題を理解し、生活と地域を改善しようとした点が特徴です。

解説

セツルメントは、英語の「定住する」という意味に由来します。19世紀後半のイギリスで、大学関係者や宗教家などが都市の貧困地域に住み込み、地域住民と直接関わりながら活動したことから始まりました。

活動には、貧困や生活状況の調査、住民教育、保育、医療、法律相談、余暇活動、労働者支援などが含まれました。代表例として、1884年にロンドンで設立されたトインビー・ホールがあります。セツルメントは、現在の地域福祉やコミュニティワークの源流の一つとされています。

重要なのは、地域の外から一時的に物を届けるだけでなく、支援者が地域に入り、住民との継続的な関係を通して課題を捉えたことです。個人への援助と、教育や地域づくりなどの社会的な働きかけを結びつけました。

世界保健機関、福祉事務所、地域包括支援センター、生活協同組合は、それぞれ重要な機関や組織ですが、問題文が示す19世紀後半の住み込み型の地域福祉活動ではありません。

ひっかけポイント
問題文の「19世紀後半」「貧困地域に住み込む」「実態調査」「教育や生活援助」が、セツルメントを見分ける手がかりです。

介護実践でのポイント
セツルメントの考え方は、地域の課題を外から決めつけず、住民との関係の中で把握し、住民と共に解決を考える現在の地域福祉にもつながっています。

選択肢の確認

1.世界保健機関(WHO)
適切ではありません。
世界保健機関は、国際的な保健・医療課題に取り組む国際連合の専門機関です。貧困地域に支援者が住み込んで地域活動を行うセツルメントとは異なります。

2.福祉事務所
適切ではありません。
福祉事務所は、生活保護をはじめとする社会福祉行政を担う地方公共団体の機関です。19世紀後半に始まった民間の住み込み型地域福祉運動ではありません。

3.地域包括支援センター
適切ではありません。
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防支援、地域の支援体制づくりなどを担う現代の地域資源です。セツルメントの歴史的説明には該当しません。

4.生活協同組合
適切ではありません。
生活協同組合は、組合員が出資し、生活に必要な物品やサービスの共同利用などを行う協同組織です。貧困地域への住み込みと調査・教育を特徴とするセツルメントではありません。

5.セツルメント
正答。最も適切です。
支援者が貧困地域に住み込み、住民と生活を共にしながら実態を調べ、教育や生活援助、地域改善に取り組んだ運動です。地域福祉の源流の一つです。

覚えるポイント

セツルメントは、19世紀後半にイギリスで始まりました。

貧困地域への住み込み、住民との共同生活、実態調査、教育・生活援助が特徴です。

代表例は、ロンドンのトインビー・ホールです。

個人への援助だけでなく、地域の生活環境や社会課題の改善を目指しました。

現在の地域福祉やコミュニティワークの源流の一つです。

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