36Q102第36回 介護福祉士国家試験 過去問

介護生活支援技術

Mさん(98歳、男性、要介護5)は、介護老人福祉施設に入所している。誤嚥性肺炎{ごえんせいはいえん}(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、医師からは終末期が近い状態であるといわれている。 介護福祉職が確認すべきこととして、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。

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正解: 3

正答

3.経口摂取に対する本人の意向

この問題のポイント

人生の最終段階における医療・ケアでは、適切な情報提供と十分な話し合いを行ったうえで、本人の意思決定を基本とします。

誤嚥性肺炎を繰り返しているからといって、本人の意向を確認せずに経口摂取を中止したり、家族の希望だけで方針を決めたりすることは適切ではありません。まず、本人が口から食べることをどのように考えているのかを確認します。

解説

食べることは、栄養や水分を摂取するだけでなく、味や香りを楽しむこと、生活の満足感、本人らしさとも深く関係しています。一方、Mさんは誤嚥性肺炎を繰り返しており、経口摂取には再度の誤嚥や呼吸状態悪化の危険があります。

このように利益と危険の両方がある選択では、医学的な見通しや選択肢について本人が理解できるように説明し、そのうえで本人が何を大切にしたいのかを確認することが必要です。本人の意向を中心に、医師、看護職、言語聴覚士、管理栄養士、介護福祉職などが話し合い、安全性と本人の生活の質を両立できる方法を検討します。

本人が意思を表明することが難しい場合は、過去の発言、生活歴、価値観などから本人の意思を推定し、家族等と医療・ケアチームが慎重に話し合います。家族の希望を、そのまま本人の意思として扱うのではありません。

ひっかけポイント

誤嚥性肺炎を繰り返しているため、入院先や家族の希望を先に確認したくなります。しかし、問題文にはMさんが意思表示できないとは書かれていません。最初に中心へ置くのは、本人の経口摂取に対する意向です。

介護実践でのポイント

本人が落ち着いて話せる環境を整え、理解しやすい言葉で意思を確認します。「食べますか、やめますか」と結論を迫るのではなく、何を楽しみにしているか、どのような状態を望むかを丁寧に聴き取ります。確認した内容は記録してチームで共有し、本人の状態や意向の変化に応じて繰り返し見直します。

選択肢の確認

1.主治医の今後の見通し

誤りです。
病状や今後の見通しは、本人が十分な情報に基づいて意思決定するために重要です。しかし、問題文ではすでに医師から終末期が近いと説明されています。介護福祉職が最も優先して確認するのは、経口摂取についての本人の意向です。

2.誤嚥性肺炎{ごえんせいはいえん}(aspiration pneumonia)の発症時の入院先

誤りです。
急変時の対応や入院先をあらかじめ確認することは必要ですが、それは本人が望む医療・ケアの方針を踏まえて検討する内容です。まず本人の意向を確認することが優先されます。

3.経口摂取に対する本人の意向

正しいです。
人生の最終段階における医療・ケアでは、本人による意思決定を基本とします。経口摂取の利益と危険について適切な説明を受けられるよう支援し、本人が口から食べることをどのように考えているのかを最初に確認します。

4.経口摂取に対する家族の意向

誤りです。
家族の意向も話し合いに必要な情報ですが、本人が意思を表明できる場合は、本人の意向より家族の意向を優先することはできません。本人の意思確認が困難なときには、家族から本人の過去の発言や価値観を聴き取ります。

5.延命治療に対する家族の希望

誤りです。
延命治療に関する話し合いは重要ですが、家族の希望のみで方針を決定するものではありません。また、本問で直接問われているのは経口摂取に関する意思確認であり、本人の意向が最優先です。

覚えるポイント

  • 人生の最終段階でも、本人の意思決定を基本とする。
  • 本人の意思を確認できるときは、家族の希望より先に本人の意向を確認する。
  • 食べることには、栄養摂取だけでなく、楽しみや本人らしさという意味がある。
  • 本人の希望だけで危険な方法を直ちに実施するのではなく、利益と危険をチームで検討する。
  • 本人が意思を表明できない場合は、過去の発言や価値観から本人の意思を推定する。
  • 意思は変化することがあるため、記録・共有し、繰り返し確認する。

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