36Q105|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
次のうち、握力の低下がある利用者が使用する杖{つえ}として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.ロフストランド・クラッチ
この問題のポイント
握力が低下している人に適した杖を選ぶ問題です。ロフストランド・クラッチは、手で握る部分に加えて前腕を支えるカフがあり、手と前腕の2か所で支持できることが特徴です。
解説
ロフストランド・クラッチは、一本の支柱に握りと前腕カフがついた杖です。握りだけでなく前腕でも杖を支えられるため、握力が低下している人や、軽度のバランス能力低下がある人の歩行を補助する用具として用いられます。
T字杖やオフセット杖は、基本的に握りを手で把持して使用します。多点杖は杖先が3点以上に分かれていて支持面が広く、一本杖より高い安定性を得られますが、握力低下を補う前腕支持部はありません。サイドケインは多点杖よりも広い支持面をもつため安定性に優れますが、幅と重さがあり、前方へ動かすには腕の力が必要です。
ただし、「握力が低下している」という情報だけで実際の杖を決定することはできません。下肢の支持力、バランス、上肢の筋力、関節可動域、疼痛、認知機能、使用する場所なども確認し、本人に合わせて種類と高さを調整する必要があります。
なお、握力が極端に弱く、手や手関節で体重を支えられない場合には、前腕を台に乗せて支持するプラットホーム・クラッチなどが検討されることもあります。本問では、選択肢の中で握力低下に最も適しているロフストランド・クラッチを選びます。
ひっかけポイント
多点杖やサイドケインは「安定性を高める」用具ですが、「握力の低下を補う」構造とは異なります。設問で示された身体機能と、それぞれの杖の構造を対応させて考えます。
介護実践でのポイント
杖は本人の判断だけで選ばず、理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員などと連携して適合を確認します。前腕カフと握りの位置、杖の長さ、先ゴムの摩耗、床面への接地状態を確認し、安全な歩き方を練習します。導入後も、手や前腕の痛み、ふらつき、転倒、使いにくさがないかを観察します。
選択肢の確認
1.T字杖
誤りです。
T字杖は、握りを手で把持して身体を支える一般的な一本杖です。前腕を支える構造がなく、握力低下への対応としてはロフストランド・クラッチより適切ではありません。
2.オフセット杖
誤りです。
オフセット杖は、握りに加えた力が支柱へ伝わりやすい形状の一本杖ですが、基本的には握りを手で把持して使用します。前腕支持部はありません。
3.ロフストランド・クラッチ
正しいです。
握りと前腕カフを備え、手と前腕の2か所で支持できます。厚生労働省の補装具費支給事務ガイドブックでも、軽度のバランス能力低下があり、握力が低下している人が適応例として示されています。
4.多点杖
誤りです。
多点杖は、杖先の接地点を3点以上にして支持面を広げ、歩行の安定性を高める杖です。握力低下を補う前腕カフはなく、平らな面にすべての杖先を接地させる必要があります。
5.サイドケイン
誤りです。
サイドケインは支持面が広く高い安定性を得られますが、幅と重さがあり、片手で持って動かすには腕の力が必要です。握力低下に最も適した杖ではありません。
覚えるポイント
- ロフストランド・クラッチは、握りと前腕カフで支持する。
- 握力低下には、前腕でも支えられる構造が有効である。
- T字杖とオフセット杖は、基本的に握りを手で把持して使用する。
- 多点杖は支持面が広く、歩行の安定性を高める。
- サイドケインは安定性が高い一方、幅と重さがある。
- 杖の選定では、身体機能、住環境、使用目的を評価し、専門職と適合を確認する。