36Q84|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
回復期にある左片麻痺{ひだりかたまひ}の利用者が、ベッドで端座位から立位になるときの基本的な介護方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.利用者の左の膝頭に手を当てて保持し、膝折れを防ぐ。
この問題のポイント
左片麻痺では、左側が麻痺側、右側が健側です。端座位から安全に立ち上がるには、足底を床につけ、臀部をベッドの端に近づけ、体幹を前傾して重心を前方へ移動しながら、主に健側の下肢を使います。
麻痺側の膝は支持力が低下して膝折れを起こすことがあるため、介護福祉職は麻痺側を支え、膝の過度な屈曲や前方移動を防ぎます。
解説
立ち上がり動作では、座っている状態の重心を、足でつくられる支持基底面の上へ移す必要があります。そのため、利用者には臀部を前方へ移して浅く腰かけてもらい、足底が床につく位置を整え、体幹を前傾してもらいます。臀部が浮いた後に、健側下肢を中心として膝と股関節を伸ばし、立位へ移ります。
左片麻痺では、左下肢の筋力や支持性が低下し、立ち上がる途中で左膝が急に曲がる「膝折れ」が起こる可能性があります。介護福祉職が左膝を保持して膝折れを防ぐことは、安全な立ち上がりを支える基本的な介護です。
ただし、麻痺側の膝を強く押したり、最初から必要以上に固定したりするのではありません。利用者の残存能力、麻痺の程度、装具の有無、リハビリテーションの方針に応じて支え方を調整します。
ひっかけポイント
立ち上がるときは、背すじを伸ばしたまま「真上」に動くのではありません。まず体幹を前傾して重心を足の上へ移し、臀部を浮かせてから上方へ伸びるという動きが基本です。
介護実践でのポイント
立ち上がる前に、ベッドの高さ、足底の接地、履物、周囲の障害物、めまいや痛みの有無を確認します。利用者に動作を説明し、できる部分は本人に行ってもらいます。麻痺側の腕を引っ張らず、膝折れやふらつきがあれば直ちに支えられる位置で介助します。
選択肢の確認
1.利用者の右側に立つ。
誤りです。
右側は健側です。左片麻痺では麻痺側である左下肢の膝折れや、左方向への転倒に注意する必要があるため、基本的には麻痺側または前方から安全を確保できる位置で介助します。
2.利用者に、ベッドに深く座るように促す。
誤りです。
深く座ったままでは、臀部を浮かせるために必要な前方への重心移動が難しくなります。足底が床につくように、臀部をベッドの端へ移して浅く腰かけてもらいます。
3.利用者に、背すじを伸ばして真上に立ち上がるように促す。
誤りです。
真上に立とうとすると重心が後方に残り、臀部を浮かせにくくなります。まず体幹を前傾し、重心を足の上へ移動してから立ち上がります。
4.利用者の左側に荷重がかかるように支える。
誤りです。
左側は麻痺側で、十分な支持力が得られない可能性があります。基本的には健側である右下肢を主な支持脚として活用します。麻痺側への荷重練習は、身体状況とリハビリテーションの方針に基づいて行います。
5.利用者の左の膝頭に手を当てて保持し、膝折れを防ぐ。
正しいです。
左下肢は麻痺側であり、立ち上がる途中に膝折れを起こす可能性があります。左膝を適切に保持して過度な屈曲を防ぐことは、安全な立ち上がりを支える基本的な介護です。
覚えるポイント
- 左片麻痺では、左が麻痺側、右が健側である。
- 立ち上がる前に、臀部を前へ移して浅く座る。
- 足底を床につけ、主に健側下肢で支持する。
- 立ち上がりは「体幹前傾→臀部を浮かせる→上方へ伸びる」の順で行う。
- 麻痺側の膝折れを予防できる位置で介助する。
- 麻痺側上肢を引っ張らない。
- 介助量と支え方は、本人の残存能力やリハビリテーションの方針に合わせる。