37Q23|第37回 介護福祉士国家試験 過去問
Aさん(78歳、女性)は、友人から口臭を指摘されて悩んでいる。また、食事をするときに、「水分と一緒に食べないと飲み込みにくい」とも話している。Aさんに歯の欠損、麻痺{まひ}はなく、ストレスの訴えもない。 次のうち、Aさんのからだの中で、機能低下が考えられるものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.唾液分泌
この問題のポイント
唾液には、食べ物を湿らせてまとめ、飲み込みやすい食塊をつくる働きがあります。
また、口腔内を洗い流し、細菌の増殖を抑えるため、唾液分泌が低下すると口臭や飲み込みにくさが生じやすくなります。
解説
Aさんには、友人から指摘された口臭と、「水分と一緒に食べないと飲み込みにくい」という二つの訴えがあります。この両方に関係する機能として、最も考えられるのは唾液分泌です。
唾液には、口腔内を潤すだけでなく、食べ物を湿らせて咀嚼しやすくし、まとまりのある食塊をつくる働きがあります。食塊の表面を滑らかにして、舌で咽頭へ送り込みやすくすることも、円滑な嚥下に重要です。
唾液分泌が低下すると、乾いた食べ物がまとまりにくく、口腔内や咽頭へ付着しやすくなります。そのため、水分と一緒でなければ飲み込みにくいと感じることがあります。
唾液には、食べかすや細菌を洗い流す自浄作用、細菌の増殖を抑える抗菌作用、口腔内の酸を中和する緩衝作用などもあります。唾液が少なくなると、舌苔や食べかすが残り、細菌が増殖しやすくなるため、口臭が強くなることがあります。
Aさんには歯の欠損や麻痺がないため、咀嚼運動の低下を直接示す情報はありません。また、ストレスも訴えていません。事例に示された口臭と、水分を必要とする飲み込みにくさを合わせると、唾液分泌の低下が最も適切です。
実際の支援では、年齢だけを原因と決めつけず、服用薬、脱水、口呼吸、糖尿病、シェーグレン症候群、口腔内の疾患なども確認します。口腔乾燥や嚥下の問題が続く場合は、歯科医師、医師、歯科衛生士、言語聴覚士などと連携します。
ひっかけポイント
「飲み込みにくい」という言葉だけで、直ちに咽頭や食道の運動障害と判断しません。「水分と一緒なら飲み込みやすい」「口臭がある」という情報を関連づけます。
介護実践でのポイント
飲み込みにくい人に水分を多く与えるだけでは、誤嚥の危険が生じる場合があります。むせ、湿性嗄声、食後の口腔内残留などを観察し、安全な食形態や水分の性状を専門職と検討します。
選択肢の確認
1.咀嚼{そしゃく}
誤りです。 咀嚼機能の低下でも食べにくさは生じますが、Aさんには歯の欠損や麻痺がありません。また、咀嚼機能の低下だけでは、口臭と、水分を必要とする飲み込みにくさの両方を最もよく説明できません。
2.蠕動運動{ぜんどううんどう}
誤りです。 食道や消化管の蠕動運動が低下すると、食物の通過や消化に影響します。しかし、口腔内の乾燥による食塊形成の難しさや口臭を直接説明する機能ではありません。
3.嗅覚
誤りです。 嗅覚が低下すると、においを感じにくくなります。しかし、Aさんの口臭は友人が指摘したものであり、嗅覚の低下によって口臭が発生したわけではありません。飲み込みにくさとも直接関係しません。
4.唾液分泌
正しいです。 唾液分泌が低下すると、食べ物を湿らせて食塊を形成することが難しくなり、飲み込みにくさが生じます。自浄作用や抗菌作用も低下するため、口臭が強くなりやすくなります。
5.胃液分泌
誤りです。 胃液は、胃に送られた食物の消化に関係します。口腔内での食塊形成や口臭を直接説明するものではありません。
覚えるポイント
- 唾液は、食べ物を湿らせ、まとまりのある食塊をつくる。
- 唾液は嚥下を滑らかにし、食物を咽頭へ送り込みやすくする。
- 唾液には、自浄作用、抗菌作用、緩衝作用がある。
- 唾液分泌の低下は、口腔乾燥、口臭、う蝕、歯周病、摂食・嚥下の困難につながる。
- 口腔乾燥の背景として、薬剤、脱水、口呼吸、全身疾患なども確認する。
- 飲み込みにくさがある場合は、水分を与えるだけでなく、誤嚥の危険を評価して専門職と連携する。