38Q114第38回 介護福祉士国家試験 過去問

総合問題総合問題

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。 〔事 例〕 Aさん(66歳、女性)は、一人息子と二人で暮らしている。会社の趣味サークルや地域活動に熱心に参加してきた。半年前に、長年勤めた仕事を定年退職して、継続雇用で週2日の勤務になった。その頃から不眠を訴え、疲れやすく気持ちが落ち込む日が増えてきた。しばらくすると、睡眠中に大声をあげたり、息子の部屋までふらふらと歩いてきたり、自室のカーテンの花柄が動いて怖いと話したりするようになった。近隣の大学病院を受診した結果、手足の震え、小刻みな歩行、顔のこわばりなどがみられ、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の診断を受けた。 Aさんは、趣味活動や自宅で息子と過ごすことを優先し、これからの生活を楽しみたいと考えて、仕事を辞めた。そして、安全に歩く力を維持するために介護サービスを活用しようと考えた。Aさんは要支援2の認定を受けて、介護予防通所リハビリテーションの利用を始めた。 Aさんの手足の震えは、ある体内物質の影響によって生じている。 次のうち、その体内物質に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 2

正答

2.ドーパミン(dopamine)

この問題のポイント

レビー小体型認知症にみられる手足の震え、小刻みな歩行、顔のこわばりは、パーキンソニズムを示す症状です。

パーキンソニズムは、脳内のドーパミンを利用する神経系の障害によって生じます。「ドーパミンが多いため」ではなく、ドーパミン神経の障害によってドーパミンの働きが低下することがポイントです。

解説

ドーパミンは、脳内で神経細胞同士の情報を伝える神経伝達物質の一つです。特に、中脳の黒質から大脳基底核の線条体へ向かう黒質線条体系では、身体の動きを滑らかに調整する働きに関係しています。

レビー小体型認知症では、αシヌクレインを主成分とするレビー小体が神経細胞内に蓄積し、ドーパミン神経系などに障害が生じます。その結果、ドーパミンの作用が低下して、振戦、筋固縮、動作緩慢、小刻み歩行、姿勢保持の障害などのパーキンソン症状が現れることがあります。

事例では、手足の震え、小刻みな歩行、顔のこわばりがみられています。これらはパーキンソニズムとして整理できるため、関係する体内物質はドーパミンです。

また、事例中の「睡眠中に大声をあげる」という様子はレム睡眠行動障害を、「カーテンの花柄が動いて見える」という訴えは幻視や錯視を示唆します。認知機能や症状の変動、幻視、レム睡眠行動障害、パーキンソニズムは、レビー小体型認知症を理解するうえで重要な特徴です。

選択肢の確認

1.メラトニン(melatonin)

誤りです。 メラトニンは主に松果体から分泌され、体内時計や睡眠・覚醒のリズムの調整に関係するホルモンです。不眠との関連を連想しやすい選択肢ですが、パーキンソニズムによる手足の震えの中心的な原因物質ではありません。

2.ドーパミン(dopamine)

正しいです。 レビー小体型認知症ではドーパミン神経系が障害され、ドーパミンの作用が低下することで、振戦、小刻み歩行、筋固縮、動作緩慢などのパーキンソン症状が現れることがあります。

3.アドレナリン(adrenaline)

誤りです。 アドレナリンは主に副腎髄質から分泌され、心拍数や血圧を上げるなど、緊張時や危機的状況に身体を対応させる働きがあります。緊張時に一時的な震えが現れることはありますが、レビー小体型認知症のパーキンソニズムを説明する物質ではありません。

4.コルチゾール(cortisol)

誤りです。 コルチゾールは副腎皮質から分泌され、ストレスへの反応、血糖の維持、代謝や炎症の調整に関係するホルモンです。パーキンソニズムによる震えの中心的な原因物質ではありません。

5.グルカゴン(glucagon)

誤りです。 グルカゴンは膵臓のα細胞から分泌され、肝臓に働いて血糖値を上昇させるホルモンです。運動の調整やレビー小体型認知症のパーキンソニズムとは直接関係しません。

覚えるポイント

  • レビー小体型認知症では、ドーパミン神経系の障害によってパーキンソニズムが現れることがある。
  • パーキンソニズムの代表は、振戦、筋固縮、動作緩慢、小刻み歩行、姿勢保持障害。
  • 幻視、認知機能の変動、レム睡眠行動障害、パーキンソニズムは、レビー小体型認知症の重要な特徴。
  • メラトニンは睡眠、アドレナリンは交感神経反応、コルチゾールはストレス反応、グルカゴンは血糖上昇に関係する。

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