38Q122|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。 〔事 例〕 Aさん(42歳、男性)は、知的障害がある。父親(72歳)と二人暮らしをしている。半年前、Aさんに血便がみられたため病院を受診したところ、大腸がん(colorectal cancer)と診断され、S状結腸ストーマを造設した。パウチの交換に支援が必要となり、退院後は父親が自宅で介護をしていた。父親の介護負担が大きくなったため、居宅介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。 ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんの自宅を訪問したところ、Aさんの父親から、「地震のニュースを見たら、知的障害があり、ストーマの管理が必要な息子に対する災害時の対応が心配になった」と相談があった。訪問介護員(ホームヘルパー)は、相談支援専門員に状況を報告し、相談支援専門員とともにほかの利用者家族に確認したところ、同様に災害時の不安を感じている親が多く、この地域では個別避難計画の作成が遅れていることがわかった。そこで、訪問介護員(ホームヘルパー)はこの課題を地域の課題としてとらえ、サービス提供責任者や相談支援専門員とともに対応することを確認した。 次のうち、この地域課題の検討を働きかける場として、最も適切なものを1つ選びなさい。 (注)「協議会」とは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第89条の3第1項に規定するものである。
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正解: 1
正答
1.協議会
この問題のポイント
一人の家族から始まった相談が、複数の障害のある人と家族に共通する「地域課題」だとわかったとき、どの場で検討するかを問う問題です。
障害者総合支援法に基づく協議会は、地域の関係機関が課題を共有し、連携方法や不足する支援体制を検討する場です。個別避難計画の作成の遅れは、個人だけでは解決できない地域全体の課題であるため、協議会へ働きかけることが最も適切です。
解説
事例では、父親の不安をきっかけに確認を進めたところ、ほかの利用者家族にも同じ不安があり、この地域では個別避難計画の作成が遅れていることがわかりました。これはAさん一人のサービス調整だけでは解決できず、行政、防災部門、障害福祉サービス事業者、相談支援事業者、当事者・家族、地域住民などの連携が必要な地域課題です。
障害者総合支援法に基づく協議会は、地域の関係機関等が相互に連絡し、障害のある人への支援体制に関する課題を共有して、地域の実情に応じた支援体制の整備や連携の強化を図る場です。個別の相談事例から明らかになった共通課題を、地域の仕組みづくりへつなげる役割があります。
個別避難計画では、避難する場所や経路だけでなく、避難時に必要な支援者、連絡方法、障害特性に応じた情報提供、ストーマ装具や衛生用品の確保、避難先でのパウチ交換場所なども検討する必要があります。Aさん本人の希望や理解しやすい伝え方を確認し、父親だけに責任を負わせず、地域の関係者で支える計画にすることが重要です。
介護福祉職は、地域全体の計画を単独で決定する立場ではありません。しかし、日々の支援から把握した本人・家族の不安を相談支援専門員やサービス提供責任者へ報告し、同じ課題が繰り返されていることを整理して、協議会での検討につなげる役割を担えます。
また、地域課題として共有するときも、Aさんの病気、障害、家庭状況などの個人情報を必要以上に広めてはいけません。本人と家族へ目的を説明し、同意を得て、個人が特定されない形に整理するなど、プライバシーに配慮します。
ひっかけポイント
「介護保険審査会」と「介護認定審査会」は別の機関です。介護保険審査会は介護保険の行政処分に対する不服申立てを審理する場であり、地域の障害福祉課題を話し合う場ではありません。
介護実践でのポイント
災害時の備えは、計画書を作るだけで終わりではありません。装具の備蓄、連絡先、支援者、避難経路、避難所で必要な配慮を本人と確認し、訓練や定期的な見直しにつなげます。
選択肢の確認
1.協議会
正答。最も適切です。
協議会は、障害のある人への支援に関係する機関や当事者・家族等が地域課題を共有し、連携や支援体制の整備を検討する場です。個別避難計画の作成の遅れという地域課題を取り上げる場として適切です。
2.運営適正化委員会
適切ではありません。
運営適正化委員会は、福祉サービスに関する利用者からの苦情解決などを行い、福祉サービスの適正な運営を支える機関です。地域全体の個別避難計画作成を検討する場ではありません。
3.介護保険審査会
適切ではありません。
介護保険審査会は、要介護認定や保険給付など、介護保険に関する市町村等の処分への不服申立てを審理します。障害福祉分野の地域課題や防災体制を検討する機関ではありません。
4.障害者政策委員会
適切ではありません。
障害者政策委員会は、国の障害者基本計画の実施状況の監視や、障害者施策に関する意見を述べる役割をもつ機関です。個別の地域で明らかになった支援課題を、地域の関係者が実務的に検討する場としては協議会が適切です。
5.地方更生保護委員会
適切ではありません。
地方更生保護委員会は、仮釈放など更生保護に関する事務を担う法務省の機関です。障害福祉サービスや個別避難計画の地域課題を検討する機関ではありません。
覚えるポイント
個別事例から複数の人に共通する問題が見つかったら、個人の課題から地域課題へ整理します。
障害者総合支援法に基づく協議会は、地域課題の共有、関係機関の連携、地域の支援体制の整備を進める場です。
個別避難計画は、本人の障害特性、意思、必要な医療・介護、避難支援者、物品、避難先での配慮を具体化します。
介護福祉職は、現場で把握した課題を記録・報告し、相談支援専門員やサービス提供責任者と連携して地域の検討につなげます。
地域課題を共有するときも、本人の同意と個人情報の保護を忘れてはいけません。