7PM141|第7回 公認心理師国家試験 過去問
20 歳の男性A、医療系大学生。下痢と腹痛を訴え、内科クリニックを受診した。Aによると、半年前から学外の病院に実習で通うことになった。その頃から、ストレスを感じるようになり、下痢が始まった。3 か月前からは、腹痛を伴うようになっている。実習がある日は、排便の頻度が 1 日 10 回程度に増え、何度もトイレに駆け込んでしまったことがある。トイレに行くことを周囲の学生に気づかれるのではないかと不安で、実習に行くことが怖いという。症状は排便によって改善し、実習がない日の便通や便の形状は正常である。内科的検査が行われたが、異常は認められなかった。 Aの病態の理解として、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、ストレス状況で悪化する下痢と腹痛から、過敏性腸症候群を判断することが問われています。
事例のキーワードは、「実習がある日に下痢が増える」「腹痛を伴う」「症状は排便によって改善する」「内科的検査で異常なし」です。
解説
過敏性腸症候群は、明らかな器質的異常が認められないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感と、便通異常が慢性的にみられる機能性消化管障害です。
Aは、学外実習が始まった半年前からストレスを感じるようになり、下痢が始まっています。3か月前からは腹痛も伴い、実習がある日は排便頻度が1日10回程度に増えています。
さらに、症状は排便によって改善し、実習がない日の便通や便の形状は正常で、内科的検査でも異常が認められていません。これらは、ストレスと関連して便通異常と腹痛が生じる過敏性腸症候群として理解するのが最も適切です。
Aには「トイレに行くことを周囲に気づかれるのではないか」という不安もありますが、主病態は社交不安そのものではなく、腹痛・下痢・排便による改善を特徴とする身体症状です。
医療・保健領域のポイント
過敏性腸症候群では、症状が心理的ストレスと関連することがあります。公認心理師は、医学的評価を踏まえたうえで、ストレスマネジメント、生活リズム、回避行動への支援を考えます。
選択肢の確認
1.社交不安症
判定:適切とはいえない。
社交不安症では、他者から注目されたり評価されたりする場面への強い不安と回避が中心です。Aには周囲に気づかれる不安がありますが、主症状は実習日に悪化する下痢と腹痛であり、排便で改善する点から過敏性腸症候群が最も適切です。
2.広場恐怖症
判定:適切とはいえない。
広場恐怖症では、逃げられない、助けが得られないと感じる場所や状況への強い恐怖・回避が中心です。Aは実習場面での腹痛と下痢が中心であり、広場恐怖症として理解するより過敏性腸症候群が適切です。
3.潰瘍性大腸炎
判定:適切とはいえない。
潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が生じる器質的疾患で、血便、粘血便、持続的な下痢、腹痛などがみられます。本事例では内科的検査で異常がなく、実習のない日は便通や便の形状が正常であるため、潰瘍性大腸炎より過敏性腸症候群が適切です。
4.過敏性腸症候群
判定:最も適切。
内科的検査で異常がないにもかかわらず、ストレス状況で下痢と腹痛が生じ、排便によって症状が改善しています。過敏性腸症候群の理解として最も適切です。
5.機能性ディスペプシア
判定:適切とはいえない。
機能性ディスペプシアは、胃もたれ、早期満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感など、上腹部症状が中心となる機能性消化管障害です。本事例では下痢、排便頻度の増加、排便による改善が中心であり、過敏性腸症候群が適切です。
覚えるポイント
- 過敏性腸症候群は、器質的異常がない腹痛と便通異常が中心です。
- 排便によって腹痛が改善することは重要な手がかりです。
- 社交不安や広場恐怖との鑑別では、主症状が不安か、腹痛・便通異常かを確認します。