8AM62第8回 公認心理師国家試験 過去問

心理療法・心理支援-05 精神分析・対象関係・防衛

19 歳の男性A、大学1年生。部活の人間関係で悩み、大学を休みがちとなり、周囲に勧められて学生相談室を訪れ、公認心理師Bが面接を行った。Aは、初回面接では涙を流して悩みを話したが、2回目以降の面接では淡々と話した。その点についてBが尋ねると、子どもの頃、弱音を吐いて泣くと親に叱られたという。その後の面接で、Aは、時折、泣き言を言ってきまり悪そうにしていたが、Bがそれを受容的な態度で聞いていると、Aは次第に安心して泣き言を言うようになり、「弱音を吐いてもいいんだと思えて、ほっとした」と話した。 ```  この面接場面を記述する心理力動的な概念として、最も適切なものを1つ選べ。

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正解: 5


## 正答

5

## この問題のポイント

この問題では、過去の対人関係で形成された感情体験が、面接関係の中で新しく体験し直される**修正感情体験**が問われています。

事例のキーワードは、「弱音を吐いて泣くと親に叱られた」「Bが受容的な態度で聞いた」「弱音を吐いてもいいんだと思えて、ほっとした」です。

## 解説

**修正感情体験**とは、過去に傷つきや不安を伴った対人関係のパターンが、治療関係の中で新しい安全な体験として修正されることです。

Aは子どもの頃、弱音を吐いて泣くと親に叱られていました。そのため、悩みや弱さを表現することには、叱られる、恥ずかしい、受け入れてもらえないという感情が結びついていたと考えられます。

初回面接では涙を流して話したものの、2回目以降は淡々と話すようになっています。これは、弱さを出すことへの不安や防衛が働いていた可能性があります。

その後、Aが泣き言を言ってきまり悪そうにしたとき、Bは受容的な態度で聴きました。その結果、Aは「弱音を吐いてもいいんだと思えて、ほっとした」と話しています。これは、過去には叱られた感情表現が、面接関係の中で受け止められる体験へと変化したものです。

> 心理力動的理解のポイント
> 修正感情体験では、過去の対人関係で傷ついた体験が、安全な治療関係の中で新しく体験され、感情の意味づけが変化します。

## 選択肢の確認

1.徹底操作
判定:適切とはいえない。
徹底操作は、洞察された葛藤や防衛を繰り返し扱い、理解を深め、変化につなげる過程です。本事例では、弱音を吐いても受け止められる新しい感情体験が中心であるため、修正感情体験が適切です。

2.反動形成
判定:適切とはいえない。
反動形成は、受け入れがたい感情や欲求と反対の態度や行動を示す防衛機制です。Aが弱音を吐けるようになった変化を説明する概念としては適切ではありません。

3.反復強迫
判定:適切とはいえない。
反復強迫は、過去のつらい体験や関係パターンを無意識に繰り返す傾向です。本事例では、過去の叱責体験がそのまま繰り返されるのではなく、Bの受容によって新しい体験に修正されています。

4.投影同一視
判定:適切とはいえない。
投影同一視は、自分の受け入れがたい感情を他者に投げ込み、相手がそれに沿って感じたり行動したりするような対人過程を指します。本事例の中心は、受容的な関係による修正感情体験です。

5.修正感情体験
判定:最も適切。
Aは、弱音を吐くと叱られるという過去の感情体験を持っていましたが、Bに受容的に聴かれたことで、弱音を吐いてもよいという新しい感情体験を得ています。修正感情体験として最も適切です。

## 覚えるポイント

* **修正感情体験**は、過去の傷ついた感情体験が治療関係の中で新しく修正されることです。
* 安全で受容的な関係は、感情表現の再学習につながります。
* 反復強迫は過去の繰り返し、修正感情体験は新しい体験による変化として区別します。

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