8AM75|第8回 公認心理師国家試験 過去問
神経・生理心理学-05 高次脳機能障害・遂行機能
74 歳の女性A、夫と二人暮らし。Aの様子を心配した夫と共に医療機関を受診した。夫によると、Aはもともと料理上手で、以前は遊びに来た娘家族に手料理を振る舞うことを楽しみにしていた。しかし、半年前から調理に手間取るようになった。2週間前に娘家族が来たときは、目に見えて調理に手間取り、夕食の時間に間に合わせることができなかった。Aはそのことでひどく落ち込んでいた。医師がAに生活歴を尋ねると、おおむね語ることができたが、最近の出来事については詳細を覚えていなかった。 ``` Aに生じている神経心理学的症状として、可能性が高いものを2つ選べ。
2つ選択
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正解: 3・4
## 正答
3、4
## この問題のポイント
この問題では、高齢者の生活場面の変化から、**記銘力障害**と**遂行機能障害**を読み取ることが問われています。
2つ選ぶ問題なので、「最近の出来事を覚えていないこと」と「調理を段取りよく進められないこと」を分けて考えます。
## 解説
Aはもともと料理上手で、娘家族に手料理を振る舞うことを楽しみにしていました。しかし半年前から調理に手間取るようになり、2週間前には夕食の時間に間に合わせられませんでした。
調理は、献立を考える、材料を準備する、複数の作業を順序立てる、時間配分をする、火加減を調整する、同時並行で進めるといった複雑な活動です。このような段取りや計画、柔軟な調整の困難は、**遂行機能障害**として理解できます。
また、医師が生活歴を尋ねると、おおむね語ることができた一方で、最近の出来事については詳細を覚えていませんでした。新しい情報を覚える力の低下が疑われ、**記銘力障害**が考えられます。
一方、言葉が出ない喚語困難、身体部位の認識に関する身体失認、脱抑制や社会的ルールから外れる社会的行動障害は、事例からは中心症状として読み取りにくいです。
> 高齢者支援のポイント
> 認知症の初期では、記憶だけでなく、料理、買い物、服薬管理、金銭管理などの複雑な日常活動に変化が出ることがあります。
## 選択肢の確認
1.喚語困難
判定:誤り。
喚語困難は、言いたい言葉が出てこない症状です。Aは生活歴をおおむね語ることができており、言葉が出ないことが中心とは示されていません。
2.身体失認
判定:誤り。
身体失認は、自分の身体部位や身体の状態を認識できない症状です。Aにそのような症状は示されていません。
3.記銘力障害
判定:正しい。
Aは生活歴はおおむね語れる一方、最近の出来事について詳細を覚えていません。新しい情報を覚える力の低下が疑われ、記銘力障害として理解できます。
4.遂行機能障害
判定:正しい。
料理に手間取り、夕食の時間に間に合わせられなくなっています。調理には計画、順序立て、同時処理、時間配分が必要であり、遂行機能障害が疑われます。
5.社会的行動障害
判定:誤り。
社会的行動障害は、脱抑制、反社会的行動、社会的ルールの逸脱などを指します。Aにはそのような行動は示されていません。
## 覚えるポイント
* **記銘力障害**は、新しい出来事や情報を覚えにくい状態です。
* **遂行機能障害**は、計画、段取り、時間配分、同時処理の困難として日常生活に現れます。
* 調理、買い物、金銭管理、服薬管理の変化は、認知機能低下の重要な手がかりです。