9AM59|第9回 公認心理師国家試験 過去問
28 歳の女性A、会社員。 1 年ほど前、Aは特別なストレスはないものの、仕事の意欲を失い、転職を考えていた。しかし、入社時から業務の指導や相談に応じていた上司Bの推薦によって、半年前、新規プロジェクトのチームリーダーに抜てきされた。Aは当初張り切っていたが、プロジェクトは難航し、Aは集中困難や不眠など、心身の不調に陥った。このため、 3 か月前、Bは自らAのチームに加わった。BはAからチームリーダーとしての苦労とチームが抱える問題を聞き取り、チーム運営に関する情報を提供した。その結果、Aの体調も回復し、積極的に仕事に取り組むようになり、プロジェクトも動き始めた。 Aの変化を説明するために用いられる仮説やモデルとして、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
この問題では、職場ストレスとソーシャルサポートの関係を説明する緩衝仮説が問われています。
A は、新規プロジェクトのチームリーダーとなった後、プロジェクトの難航により集中困難や不眠などの心身の不調を示しました。その後、上司 B がチームに加わり、A の苦労を聞き取り、チーム運営に関する情報を提供したことで、A の体調と仕事への取り組みが改善しています。
解説
緩衝仮説とは、ストレスが心身の健康に悪影響を及ぼすとき、周囲からの支援であるソーシャルサポートがその影響を和らげるという考え方です。
本事例では、A はチームリーダーとして大きな負担を抱え、プロジェクトの難航によって不眠や集中困難に陥っています。これは、職場での役割負荷や課題遂行上のストレスが心身の不調につながった状態と理解できます。
そこで、入社時から A を指導し相談に乗ってきた上司 B が、A のチームに加わりました。B は A の苦労を聞き取り、チームが抱える問題を整理し、チーム運営に関する情報を提供しています。
この支援には、次のようなソーシャルサポートが含まれます。
- 苦労を聞く情緒的サポート
- チーム運営の情報を提供する情報的サポート
- チームに加わって支える道具的サポート
その結果、A の体調が回復し、仕事への取り組みも改善しています。このように、ストレスの悪影響をサポートが和らげたと考えられるため、緩衝仮説が最も適切です。
事例問題で見るポイント
事例では、誰が、どのようなストレスを受け、誰からどのような支援を受け、その結果どう変化したかを整理します。
産業・労働領域での注意点
職場のメンタルヘルス支援では、本人の努力だけでなく、上司や同僚からの支援、業務量、役割調整、情報共有、職場環境を含めて見立てます。
選択肢の確認
1.緩衝仮説
判定:最も適切。
緩衝仮説は、ストレスが心身の健康に与える悪影響を、ソーシャルサポートが和らげるという考え方です。本事例では、A がプロジェクトの難航によって不調に陥った後、上司 B の支援により体調と仕事への取り組みが改善しているため、この仮説が最も適切です。
2.接触仮説
判定:誤り。
接触仮説は、異なる集団の成員同士が適切な条件のもとで接触することで、偏見や差別が低減するという仮説です。本事例は、集団間の偏見低減ではなく、職場ストレスに対する上司からの支援の効果が中心です。
3.感情混入モデル
判定:誤り。
感情混入モデルは、感情状態が判断や認知過程に影響を及ぼすことを説明するモデルです。本事例では、A の感情が判断に混入したことよりも、上司 B の支援がストレスの影響を和らげたことが重要です。
4.自己評価維持モデル
判定:誤り。
自己評価維持モデルは、身近な他者の成果や自分との比較が自己評価に影響することを説明するモデルです。本事例では、A と B の比較や自己評価の維持ではなく、B のサポートによるストレス緩和が中心です。
5.精緻化見込みモデル
判定:誤り。
精緻化見込みモデルは、説得過程において、中心ルートと周辺ルートのどちらで態度変容が生じるかを説明するモデルです。本事例は、説得による態度変容ではなく、職場ストレスとソーシャルサポートの関係を扱っています。
覚えるポイント
- 緩衝仮説は、ソーシャルサポートがストレスの悪影響を和らげるという考え方です。
- 職場では、上司や同僚からの情緒的、情報的、道具的サポートが重要です。
- 接触仮説は、集団間の偏見低減に関する仮説です。
- 事例問題では、ストレス要因、支援内容、変化の流れを確認します。